九百四 1.ここ十年で最も慌しかった日、2.国民は郵貯と信用金庫を使はう

平成二十八年丙申
十一月十五日(火)
先日はここ十年で最も慌ただしい日となった。旧家屋の解体業者に代金を振り込むことになってゐる。朝八時三十分頃会社近くの信金に行った。ATMで振り込むためだ。ところが一日に五十万円、一ヶ月で百万円が限度とある。丁度看板を外に出さうとする店員がゐたため尋ねた。ICカードで指の静脈で本人確認するものだと無制限で送金できる。これにするには通帳と印鑑が必要だ。よく考へるとすぐカードが出来る訳ではない。それなら通帳と印鑑を使って窓口で送金すればよい。と云ふことで午後半休を取り、家の近くの信金から送金することにした。午後三時に一時間の余裕がある。
午後半休は昼休み抜きで取ることができる。用事のある人には便利だ。この日は野菜だけ家から持ってきた。ウィンナードックを予め二つ購入した。携帯飲み物入れ(200ccくらいしか入らない、ふたを閉めても傾けると漏れる)にお茶を入れておいた。午後一時と同時に野菜を三十秒で食べて会社を出て、地下鉄の駅で待つ間にウィンナードック1つを食べ終へたところで地下鉄がホームに進入した。車内でドアの近くで目立たないようにもう一つを食べて簡易水筒のお茶を飲んで昼食は無事終了した。簡易水筒は飲みにくい。或いは湯茶碗やカップに入れるための道具なのかも知れない。これほど慌ただしい昼食は初めてだった。
家に帰ったが通帳が見当たらない。一旦はこの日の送金を諦めて限度額だけ送金するなど考へたが、家の中をあちこち探すと見つかった。と云ふことで信金に午後二時三十分に到着した。手続きをしたが午後二時を過ぎると送金は明日になると云ふ。午後三時を目指して頑張ったのに残念だったが、終了後に電話を掛け、送金結果は明朝調べると云ふことだったので、無事に一件落着した。

十一月十六日(水)
その二日後も忙しい日となった。家屋を抹消する登記に、住所を移転した証明が必要になった。市のサービスコーナーは朝から開く。住民票を取り、不動産屋さんに立ち寄り、始業十分前に会社へ着いた。昨日午後半休を取ったのでこの日は取らずに済んだと喜ぶのも束の間、午後に電話があった。解体現場から浄化槽と大谷石が出た。追加料金が必要だと云ふので午後半休を取り、写真を撮りに行った。

十一月二十三日(水)
一昨日も忙しかった。いよいよ登記移転の日が近付いた。住民票と印鑑証明と土地資産評価証明を取るため、出勤前にサービスコーナーに行った。今回はそのまま会社に行くから時間はある。ところが朝地震があった。電車が遅れて会社に着いたのは三分前だった。評価証明は直ぐには出来ないから帰宅時に寄り受け取った。と云ふことでこの日も慌ただしかった。

十二月四日(日)
登記変更の日も忙しかった。不動産屋さんの店内に買ひ主、私、司法書士、不動産鑑定士などが集まり、買ひ主の講座に振り込まれたことを確認の上で金融機関に移動した。ここでかなり時間が掛かり、待つ間に解体業者、不動産屋、不動産鑑定士への料金を振り込まうとして、また50万円の上限に引っ掛かった。取り合へず金額の少ないものだけを済ませて、急いで家に帰り、印鑑を持って別の支店に駆け込み、何とか間に合った。終はったときには3時を過ぎたので、別の扉に案内され外に出た。ここ二ヶ月間忙しかったが、やっと一段落した。多くの方々の助けがあってここまで来れた。
移転先の賃貸マンションは昨年、日本庭園付き家屋の購入を検討したときの不動産屋さんにお願ひした。あのときは購入に至らなかったので、今回賃貸で小額だが儲けさせてあげられてよかった。あと旧宅の斜め向かひに地元不動産に勤務する人がゐる。十六年前に旧宅を購入するとき、別の物件で案内してもらった。その物件ではなく別のものの購入を決めたところ「あの物件は北斜面ですからねぇ」と言った。私と妻は購入を決めたのだが父が、斜面は地震のとき危ないと云ふので旧宅に決めた。その人に再び質問されたからこの物件に決めましたと云ふと、「あっ」と言ったまま絶句した。何と斜め向かひだった。
購入のとき別の物件を案内してもらったのと、地元産業の育成は大切だからここに売却をお願ひしようと訪問したところ、何と16年前の2人の営業の方が全員残ってゐた。不動産屋は地元かどうかと定着率が高いかどうかは信用に重要だ。ところが提示する価格があまりに安いので、駅前のT急リバブルにお願ひした。しかし売れなかった。今思ふと地元の不動産屋さんは良心的だ。売れる金額を正直に教示してくれるのだから。そこへ行くとT急リバブルは大手だから扱ふ件数が多い。こちらの言ひ値は駄目元で試みる。契約期間が過ぎたら売れないですねと行って価格を下げさせるが、それでは売り主が困ってしまふ。我が家もたまたま二月が私の定年で退職金が多くはないがあったので、二人の子どもの学費を払へた。
最初地元の不動産屋さんに相談に行ったとき、近所で我が家が売却してゐることを知られなければよいがとはまったく思はなかった。何しろ斜め向かひの家のほかにその隣、つまり我が家の向かひの家の女性もパートで店にゐた。そればかりかT急リバブルに専任販売をお願ひしたときに、隣近所に営業に行ってもいいですかと訊くから、いいですよと答えた。私が土曜に洗濯物を干してゐると「こんにちは、T急リバブルですが実はお隣が売りに出てゐまして」と大きな声が聞こえた。家の中にゐれば聞こへなかったが、あまりにタイミングがよいので苦笑した。

十二月五日(月)
最後に題が「国民は郵貯と信用金庫を使はう」なので一言追加しませう。郵貯は手数料無しで休日も使へて便利だ。信金は別の信金のATMでも手数料無しで使へて便利だ。この二つを国民の金融機関として大いに活用すべきだ。(完)


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