九百二 インフルエンザの予防接種

平成二十八年丙申
十一月八日(火)
私がインフルエンザの予防接種を受けるやうになったのは、上の子の大学受験の年だ。子供にうつさない配慮だった。会社に注射チームが出張して集団接種を始めたことも大きい。その年から毎年会社で接種をしてきた。昨年までは千五百円(健保組合からの補助千五百円を入れないと三千円)だったが、今年は二千百円(同三千六百円)に値上がりした。
これだと高いので私は近くの犬猫病院で注射をしてもらった。と云ふのは冗談で補助金を使用できる診療所を調べた。会社から歩いて行ける距離に千三百円(同二千八百円)の診療所がある。良心的なところだ。と云ふことで有給半休を取るついでに寄ることにした。

十一月十二日(土)
この診療所は二代に亘る。名誉院長と院長がゐる。もう一人顧問の医師も非常勤で来られるらしく、それぞれ専門科が異なる。入口に三名の医師名、四名ほどのナース名、数名の事務員名の札が掛かる。入り口でスリッパに履き替へる。待合室の雰囲気と云ひ、昭和四十年代の香りがする。診療室がカーテンで三つに分かれ、これは昭和四十年代の病院のやうだ。
診療科目は内科・胃腸科・消化器科・外科・整形外科・皮膚科とあり、よく診療科目の多い医院は危ないと云ふ話を聞くが、ここに限ってそのやうなことはないと確信する。根拠は診療所の雰囲気だ。職員の雰囲気を見るとその組織の様子が判る。欧米によくある、たくさんの科目が判る家庭医なのだらう。
日本の家庭医1435人といふAERA臨時増刊号に載ったのも頷ける。

十一月十三日(日)
健保組合は東振協といふ団体に加入し、これは都内の中小企業が加入する総合健保組合で構成される。東振協がインフルエンザ接種として指定した医療機関は全国に3000ある。そのうち安いほうから2000円が4(都内がこのうち2)、2100円から2500円が37(同4)、2600円が5(0)、2700円は18(2)、2800円は19(2)。私は2800円の機関で接種してもらった。
高いほうは3890円が1531で何と全体の半分以上を占める。それ未満の3800円台が152、3700円台が128と続く。普通は左右対称の正規分布になるのになぜこんないびつなグラフになるかと云へば、上限を3890円に指定するからだ。
組合員に余分な自己負担をさせないやうに上限を設けるのならよいことだ。ところがこれでは上限が標準だから値上げしてくださいと言ってゐるやうなものだ。上限金額は公表せず、しかしそれを超えるときは指定機関から外す。そのやうな配慮が必要だ。
東振協は86組合で事業所数59956、組合員数447万6773人。 平均で1組合697社、1社74人。組織は長く存続すると初期の目的を忘れて、組織のための組織となりやすい。初期の目的を忘れず中小企業従業員の健康のため活動してほしい。(完)


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