八百三十七(丙) 東京スネークセンター(蛇カフェ)訪問記
平成二十八年丙申
六月一日(水)
日曜日に原宿の東京スネークセンターに行った。通称ヘビカフェと呼ばれ、テレビやコミックでも取り上げられ、たくさんの来場者で賑はふ。獣医さんが五月末で退職し付属の診療所も終了する。その前にお話を伺はうと思った。
私もお客として入場するのでいつ行ってもよいのだが、お店の回転を上げる為に開店直後の空いてゐる時間に行くことにした。11時まで15分ほど余裕があった。一旦ビル8階の東京スネークセンターの前まで行くと、支配人の方が扉を開けて準備してゐた。獣医さんの出勤日かをお聞きして1階に降りた。
明治神宮前の交差点の向かひ側に新しいファッションショッピングのビルができた。エスカレータの前に大勢が開店を待つ。私は腕時計を持たないので開店時刻に合はせて行くことにした。開店と同時にビルの一階に行くとエレベータに乗らうとする女子グループがゐた。私は客として入場するもののお店の回転を下げないことを重視したから、すぐにはエレベータに乗らず、少し経ってから8階に行った。
六月二日(木)
私の前に2グループゐた。入口で経営者の方が説明し、ケースに入った蛇をテーブルに置き、それを観察しながら飲み物を飲む。1ドリンク付きで入場料1000円だから手頃だ。
暫くすると若い男女のアベック、更に少しして父親と男の子が入場し、テーブルは残り1つとなった。私は飼育室をノックし獣医のWさんのお話を伺った。仕事の都合で郷里に帰るといふことで、残念ではあるが仕方がない。蛇の飼育と診療所を受け持ち、ここまで軌道に乗せた功績は大きい。
Wさんは数年間普通の獣医をされた後、ジャパンスネークセンターなどに勤務し、蛇の専門医として経験を積まれた。今回、臨時職員として就職される。地方自治体では獣医の募集が定員に達せず引く手あまたの印象があったが、それは若い人の話で35歳を過ぎると転職が難しくなるのは会社員と同じようだ。Wさんのように専門性の高い人の有効活用が日本の急務だ。
六月三日(金)
インターネットで検索したいろいろなページを綜合すると、一昨年11月から昨年三月まで明治神宮の交差点を左折し竹下通り一つ手前のビル5階のソーシャルラウンジAJITOを間借りしプレオープンした。週末を中心に期間限定で、行列ができたりマスコミが取材に来たり予約制になったりと大いに賑わった。時間は10時00分~16時00分(昨年3月より17時までに変更)。受付順に番号カードが渡され写真撮影、抱っこタイムの順番とある。今は触れ合ひは別料金となった。全員に触られるとヘビはストレスが溜まるだらうから、別料金のほうがいいのかも知れない。私は群馬県藪塚のジャパンスネークセンターで触ったが、ヘビは手の広い面積で触るのは構はないが指など狭い面積で触ると嫌がるさうだ。
書き込みをまとめて紹介すると(要旨)
口コミで人気に火がつき店内はほぼ満席。常連さんやリピーターも多い。一人で来店の方も。次回の予約を取って帰られる人も。次回の営業予定日は2015年2月21日~22日、3月14~15日、3月28~29日と週末の6日間。来店時間によって60分~110分で1人1000円(税込)下手したら普通のカフェより安い。ソファー席とふたりがけのテーブル席が、中央の長机を囲んでいました。長机の上にずらっと、ケースに入ったヘビが並んでいる。
とある。写真を見ると移転後の机より大きくテーブルカバーが掛けられてゐる。ラウンジを間借りしたためだらう。写真によると席は窓に面してゐる。開店前にテーブルを移動させたのかも知れない。
六月四日(土)
そして昨年八月、東京スネークセンターが本格的に開業した。支配人の方は20年間のサラリーマン生活を卒業し、ヘビをデザインした雑貨製品を開発する会社を立ち上げて五年経過した。サラリーマンとは異なり髪の色と髪型から芸術家を感じだが、しかし人当たりが柔らかだった。
先ほどインターネットを調べて驚いた。NTTで営業をされたさうだ。しかし30歳を過ぎて趣味で音楽を配信するうちに創作活動で仕事をしたくなった。しかし音楽で食べていくのは難しいので、副業禁止のNTTを退職して知り合ひの経営するIT企業に移り、グラフィックデザイナーの弟さんと組んで副業で始めた。IT企業には副業をしてゐることは云へず、その最中にリーマンショックが起きた。広告の発注が減り、請け負ふのではなく、起業する直前に自分から発信することにしたさうだ。そして選んだのがヘビだった。
最初は大変で奥さんからサラリーマンに戻ってくれと云はれたこともあったが営業を続けるうちに売上げが拡大し、そしてヘビカフェに至った。その事業力、営業力、企画力は見事だ。世の中にはすごい人がゐるなあと感心した。
六月五日(日)
店内を見渡すと、多くのサイトに書かれてゐるように、ほとんどが二十代の女性だ。アベックが一組ゐるが女性が主導だった。その後若い女性が更に二人来店し、テーブルは満席になった。お店の回転を下げないため、私は支配人に挨拶して店を出た。
終了した診療所について記すと、電話受け付けは開店日時と同じ火曜を除く11時から20時。診察は予約制で簡易治療、注射、入院、往診、健康相談。外傷や口内炎などで麻酔下での処置が必要でない程度の症状に対応。店内での治療は水曜と木曜の11時から19時、往診は水曜と木曜の11時半から13時半。
Wさんは常勤だが、水曜と木曜以外はオプションの蛇との触れ合ひや、蛇の世話で忙しいやうだ。(完)
メニューへ戻る
(乙)へ
(丁)へ