八百二十 子供の受験

平成二十八年丙申
三月十二日(土) 下の子の受験
二人の子供は、なるのが大変な職業を選択した。上の子は獣医希望なので、一浪し獣医学科に進学した。下の子は教員になりたいといふ。私が二月末まで非常勤で教へた学校の若い教員二名に一昨年訊いたところ、一人は教員採用試験に受からないと駄目だから学芸大学がよいといふ。もう一人は理数系だつたので、或る国立大学の理数系の修士を挙げた。
下の子も一浪し、今週の合格発表で或る地方国立大学の教育学部に合格した。長い一週間だつた。合格が判ると実家にも電話を掛けた。早速お赤飯を郵送してくれた。
本人の希望を尊重したが、受験科目がどの大学はどうのなどと云つてゐるうちに、終つてみると自分のやりたい体育会競技の強い大学を選んだ。しかし「大学リーグに出場するぞ」と書いた紙を部屋に貼つて受験勉強に頑張るところを見て、これがやる気の源泉となつた。
昨年度は横浜国大を狙つた。今年度は筑波を狙つた。途中で東京にするかとも云つた。三校とも関東の上位リーグだ。偏差値を考へずに強豪チームかどうかで決める。結局は地方の国立大学になつたが、ここも強い。

三月十四日(月) お金がどんどん無駄に
上の子の受験の時に、この学科は受けないように、と厳命したのに受験したから、受験料が無駄になったと思つたところ、その学科の入学手続きまで進めて結局は一年浪人したから、入学金も無駄になつた。
下の子も昨年滑り止めに或る私立を受験するがそこには絶対に行かないといふから、だつたら受験しない方がいいと云つたのに受験し、結局は浪人した。受験は塾の進路指導で云はれたさうだ。これなんかは塾の合格者数を増やすだけの目的に利用された。とにかく受験の時は、無駄なお金がどんどん出て行く。しかし今年一番不快だつたのは下宿のアパートを借りる不動産屋事件だ。

三月十五日(火) 悪徳不動産屋事件
大学で行はれた二次試験を受験した数日後に、下宿先のアパートを探しに再度往復するといふ。今回は新幹線を使はず高速バスだつた。私はまづ大学生協に寄るやうに云つたのに行かなかつた。不動産屋で見つけて予約金も払つた。その後、大学寮に当選した。妻が不動産屋に連絡して、返却してもらへることになつた。ところが暫くして電話があり返却できないさうだ。
悪徳不動産屋がゐるものだと思ひたいが、一番悪いのは寮に合格したら返金してくれるよう前以つて云はなかつたこちら側にある。といふことで往復の運賃とその時間と、予約金が無駄になつた。無駄になるのはまだよい。悪徳不動産屋の不当利益になるところが不愉快だ。

三月十七日(木) 国立大学の存在意義
私立大学は体育会を大学有名化の戦略としてゐる。それが優秀な学生を採るためなら賛成だ。しかし受験料や滑り止め入学金を稼ぐためだつたら批判しなくてはならない。
国立大学の存在意義は、入試で儲けないところにある。国立大学には国立大学の、私立大学には私立大学の特長がある。(完)


メニューへ戻る 前へ 次へ