七百三十 都営地下鉄一日乗車券(秋葉原と上野松坂屋を訪問)

平成二十七乙未
八月十日(月) 秋葉原
今年の夏はお寺参りに都営地下鉄一日乗車券を使ひ、その余韻で都内を観光する形態が多かつた。まづは秋葉原のラジオ会館である。一日目は十時前のため入口が閉まつてゐた。二日目は夕方着いた。建て替へ前のように電器店が集中すると思つてゐたが、行つてみて驚いた。アニメランドと化してしまつた。
昭和六十年代までは家電の聖地だつた秋葉原は、その後、パソコンの聖地と化して久しい。コンピュータ業界の私としては平均して二年に一回は秋葉原を訪問する。ところが今回訪問して判つたことは半分がアニメの聖地となつた。

八月十一日(火) 変はり果てたラジオ会館
ラジオ会館は幅の狭いエスカレータと、ボタンを押してもなかなか来ないエレベータが二台あるだけで、階段がない。私が入つたときは二階から一階へのエスカレータが異常に混んでゐた。建て替へ前はフロアの中央に階段が二つX状にあつた。階段の隣にはエレベータもあり、それらの四方に店が並んでゐた。今もエスカレータの周りに店があるがエスカレータは狭い。一つのフロアに店が一つまたは二つのことが多い。かつてのように十店近くが軒を並べることは無くなつた。
それにしてもどの階もアニメの店ばかりで店内はすごい混みやうである。ミリヲタ(軍事オタク)向けの店もあつて、別に軍国主義だと心配する必要はないが、それより心配なのは欧米のものばかりだ。今から十年くらい前だらうか、少年向け漫画雑誌をちらつと見たら、米軍が主人公の漫画があつてかう云ふものを小さいときから見ると拝米人間になつてしまふと心配になつたことがある。それと同じ心配である。

八月十三日(火) ラジオセンター、ラジオデパート、ラジオガァデン
口直しにラジオセンターに行つた。ここは小学生のときの記憶とまつたく変はらない。厳密に言ふと一番南側の一列はラジオストアで一昨年に閉鎖された。代はりに中型店が暫定だらうか三つ入つた。ラジオセンターの二階に昔の電気少年向けの懐かしいラジオやテープレコーダの販売がある。乾電池の006Pはどうするのか尋ねたところ一社だけ製造するところがあるさうだ。値段は二百円くらいで手頃である。かつて006Pは80円した。今の貨幣価値だと800円である。
次にラジオデパートに行つた。ここは真空管も販売してゐる。インターネットで調べたらラジオガァデンといふものもある。万世橋の高架下で二年ほど前だらう歩いたときに電子部品を扱ふ店が幾つかあるのを目にした。

八月十五日(土) 上野松坂屋
この日は秋葉原に行く前に上野御徒町の松坂屋に行つた。本館と南館のうち南館を取り壊した。跡地に何の商業施設が建つたかを見に行くためである。ところが南館を取り壊したところでこれから建設するところだつた。私は既に開業したのだと思つた。このあと秋葉原に行くのだが、JRか銀座線で行けば一駅である。しかし都営地下鉄一日乗車券があるから、大江戸線と新宿線を乗り継いで大回りした。

八月十七日(月) 獅子吼会と哲学堂
昨日は増上寺の法話を聴いたあと、お墓参りに都営地下鉄一日乗車券を使つた。都営地下鉄は上野御徒町しか通らないから鶯谷まで歩かなくてはいけない。最初は都バス一日乗車券を使はうと思つた。しかし増上寺から鶯谷にバスで行くのは大変である。特に途中で乗り換える上野公園行きは本数が少ない。といふことで上野御徒町から鶯谷まで歩いた。広小路から上野駅までの地下道を始めて歩いた。往路は曇天だつたが帰路は晴れた。といふことで疲労が蓄積した。
地下鉄の車内で、久しぶりに哲学堂に行かうと思つた。おそらく十年ぶりである。最初は中井で降りた。駅前の地図に哲学堂がない。代はりに法華宗獅子吼会といふものがあるので行つてみた。法華宗の寺院で会祖大塚日現以下歴代の会長は法華宗の管長になつてゐる。さういふ末寺もあるのかと感心した。
本日インターネットで調べて判つた。獅子吼会は仏立講の会員だつた会祖が出家し、仏立講が本門仏立宗として独立した後も宗内に留まつた。歴代会長は鷲山寺貫首を兼務するとある。しかし歴代会長が会祖と同じ苗字なのは気になる。世襲の宗教でよいことは何も無い。会祖の跡は弟子に継がせ会長の権限を大きく削り会祖とは別だとするのがよい。
次に一駅乗り、落合南長崎で降りた。駅前の地図を見ると哲学堂は歩いて十五分。往復するのは大変なのでそのまま帰宅した。(完)

追記八月二十七日(木) 秋葉原が虫食ひ状態の理由
先週金曜の電波新聞に、Laox南浦和店が08年(平成20)年に閉鎖された記事が載つた。一面のコラムである。さう云はれ武蔵野線の高架下に家電量販店があつたことを思い出した。かなり繁盛してゐたが、Laoxは経営不振になり郊外の店舗をすべて閉鎖し中国系企業の傘下になつた。インターネットで調べると秋葉原に二十店舗あつたが、本店は家電のほか時計や宝石類、雑貨、民芸品、食品等の総合免税店、その他の店はマツモトキヨシ、フロントプレイス秋葉原、AKIBAカルチャーズZONE、コトブキヤ秋葉原館、カラオケ、飲食店街などになつた。昔は秋葉原は家電店ばかりがずらりと並んでゐた。先日訪問したときは普通の店舗に混ざつて家電店があつた。なるほどさういふ事情があつたのかと合点がいった。


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