七百八、振り子電車廃止から判る旧国鉄と現JRの官僚性

平成二十七乙未
五月二十四日(日) 振り子電車の廃止
産経新聞Webページに次の記事が載つた。
国鉄時代に開発され、カーブが多い路線のスピードアップに貢献した特急電車が、今年度中にも近畿圏のJR各線から姿を消す。振り子の原理で車体を傾け、カーブ区間でも高速走行できる「自然振り子式」の電車で、紀勢線の特急「くろしお」などで長年活躍した。しかし、特有の揺れで乗り物酔いする乗客が続出したこともあり、JR西日本は後継に振り子装置のない一般型の特急電車を充てる方針だ。

この記事を見て、旧国鉄とその後のJRに見られる官僚性が気になる。といふことで今回は、JRばかりか役所全般に見られる官僚性を批判し消費税増税を取り消させようといふのが趣旨である。

五月二十五日(月) その後も製造が続いた振り子電車
振り子電車が昭和四十八年「しなの」に登場した当時から乗り物酔ひを起こすことが問題になつた。当時のテレビで、遠心力が働いた後に車体が傾くため船の横揺れの状態になり乗り物酔ひが起きることが放送されたからかなり話題になつたのだらう。それなのに五年後は「くろしお」、その四年後には「やくも」にも採用された。当時の国鉄は、常磐線の各駅停車を千代田線に全車乗り入れたため、西日暮里で乗り換へる人は余分にお金を取られるといふ常識では考へられない方法を採用し、その官僚性は世間の許容範囲を超えてゐた。
国鉄の末期に予め曲線の位置をマイコンに入力しておく制御式が試作された。しかし実用には至らず、JRになつてから各社に採用された。ここで問題になるのは制御式が実用されたなら、自然式車両は改造するか、或いは振り子機能を停止して一般路線に使ふべきだ。私は当然さうしたのだらうと思つてゐた。だから今回の記事を見て、何を今さらと驚いた。国鉄の官僚性は民営化されても改善されなかつたやうだ。そればかりではない。常磐線各駅停車の全車千代田線乗り入れは未だに改善されてゐない。

五月三十日(土) 公共交通で不公平をしてはいけない
旧国鉄で一番不公平なのは、私鉄が競合する区間を値引きしたことだ。こんなでたらめはない。線区の黒字赤字によつてキロ程の単価を変へることはあり得る。新線では減価償却が済むまで単価が高いといふのもあり得る。しかし競合するからと変へては駄目である。旧国鉄と運輸省はこんなでたらめをやつた。多くの国民が、役所は融通は利かないが公平だと思つてゐる。しかし旧国鉄と運輸(現、国土交通)省の実態は異なる。自分たちに都合のいいように法律や規則を曲げることにたけてゐる。

五月三十一日(日) 振り子式の事情は産経より複雑
産経の記事より事情は複雑である。自然式の振り子は 半径400 mの曲線で本則+20 km/hで走れる。これは魅力である。しかし乗り物酔ひのため、その後の振り子車両は制御式になつて全JRに普及した。今回の「くろしお」は自然式を普通の車両に戻すもので、技術の退行である。しかし重心を下げた上に全電動車のため、所要時間は五分前後延びただけだつた。
産経の乗り物酔ひする乗客が続出したため一般車に戻すといふ記事は正確ではない。日本は全国紙が少ない上にテレビ局も系列だから、競争が起こらない。そのためこんな間違つた記事が載る。その一方で、私が高校生のときに出現した自然式振り子が四十二年間も使はれたことに驚くばかりである。諸悪の根源は官僚思考である。(完)


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