六百八十一、県立川崎図書館訪問記(1.理工教養の薦め、2.少ない桜の美学)

平成二十七乙未
三月二十九日(日) 久しぶりの川崎市内
今日は1年ぶりに県立川崎図書館に行つた。駅から15分あるのでいつも自転車で行く。つまり川崎図書館に行くとともに川崎市内を自転車で走るといふ目的もある。川崎大師に行つたり海底トンネルを渡ることもあるが、私の一番のお気に入りは川崎貨物駅の周りを一周することである。平日は廃棄物処理業者の粉塵、臭気と多数のトラックで環境が劣悪だが休日は静かな工場街である。京浜急行大師線の終点から川崎貨物駅の反対側に、川崎市電の線路跡が斜めに走り、舗装されて月極めの自動車駐車場だつた。そこにワンルームマンションみたいな建物が細長く建つた。これが今回の変更点である。あと四つ角の中小企業の工場が解体中だつた。

四月一日(水) 県立川崎図書館
神奈川県立の図書館は二つある。県立図書館は文系の本、県立川崎図書館は理工系の本である。県立図書館の地下の食堂は安く行つたついでにここで昼食を食べることが楽しみだつたが、一昨年だつたか閉店してしまつた。かつては図書館や区役所、市役所には安価な食堂があつたが、図書館の食堂は閉店、市役所の食堂はレストラン化が進んでゐる。これはプラザ合意による円高弊害の一つでよくないことである。
川崎図書館に行くと最近、宇宙の誕生やブラックホールの本をよく読む。その前は電気自動車やハイブリッド車の本、その前は鉄道貨物。要は特定の分野ではなく目に入つた本を読む。理工教養の薦めである。

四月二日(木) 桜のある街
川崎を自転車で走つて思つた。桜の木があちこちの公園や街かどに点在する。一本や二本の桜を見るのもよいものである。大きな公園の桜を見るのは勿論よい。しかし人が多く疲れる。私のように普段から速く歩く人はたまにゆつくり歩くと疲れる。だから混んだ場所が苦手である。川崎に桜が多いのは昔からの街だからであらう。ここでいふ川崎とは川崎区のことで、川崎市内のことではない。

四月三日(金) 速く歩くきつかけ
私が速く歩くようになつたのは、川崎市内に関係がある。武蔵小杉で降りて富士通小杉ビルまで歩くとき、日本電気玉川事業所の膨大な数の従業員と同じ方角に向かふ。そのとき歩き煙草の人がよくゐた。後を歩いて煙を吸ふのは嫌なので歩くのが速くなる。小杉ビルに勤務したのは一年程度だつたがあのときから速く歩くようになつた。

四月四日(土) 社史
県立川先図書館の特長は四階に神奈川県内に工場などがある各社の社史がある。聞いたことのある会社の社史を見るのも楽しいし、何かの目的で調べてもよい。今までに20社ほど読んだだらうか。JR東日本の大船工場の工場史を読んだのは車電区と客車区の関係を調べるためだつたか今では思ひ出せない。

四月五日(日) 県立図書館の役割
横浜にある県立図書館は文系、川崎にある県立川崎図書館は理系と役割が分類され、どちらも昔からの専門書がそろつてゐる。ここが最近の図書に偏つた市立図書館との相違である。しかし市立図書館が最近の本に偏つたのはここ三十年ほどではないのか。昔は市立(東京は区立)図書館も専門書を揃へた。これは来館者層の高齢化とともに司書の低質化が原因だと思ふ。前に、大学生の書いたコンピュータの本とかいふものがあり、ためしに読んで見たが説明の仕方は下手だし内容は低級だしなんでこんな本を購入したのかと呆れたことがあつた。題名だけで全国の低級な市立図書館司書向けに一儲けしようとねらつたのではないか。
司書は県立だけでよい。市立は県立からの指示に従つて役割分担で県立の購入しない本を揃へればよい。司書や学芸員や薬剤師は年月とともに劣化し既得権になる。(完)


メニューへ戻る 前へ 次へ