五百九十四、田中将大選手の故障は日米混合が原因

平成二十六甲午
七月二十六日(土) 日本が原因とする日本の一部マスコミ
今年からアメリカ大リーグに移籍した田中将大選手が故障した。これについては アメリカが悪い。或いは渡米したことが原因である。なぜなら日本で投げるときは まつたく問題が起きなかつた。ところが日本のマスコミで日本で酷使されたとする 記事がこれまでに一件あつた。ところが今回もう一つ現れたのでその過ちを指摘 しよう。週刊ポスト8月8日号に次の記事が載つた。
ニューヨーク・ヤンキースの田中将大が故障者リスト入りした。そんな状況下、田中 の故障を考える上で、ある指標が注目されている。PAP(pitcher abuse point) という米国の野球専門のシンクタンク「Baseball Prospectus」が考案した指標で、 いわば「投手酷使指数」である。
先発投手が1試合で投げた球数から100を引き、その数を3乗した数を算出(例え ば110球なら、10の3乗で1000ポイント、140球なら40の3乗で6万4000ポイント)。 これを毎試合累計して、シーズン通算で10万ポイントを超えると故障の可能性が 高まり、20万以上で「いつ故障してもおかしくない水準」と見なされる。

そして日本のセリーグ三人(うち一人メッセンジャーといふ外国人)、パリーグ は三人でいづれも昨年は20万を超える。メッセンジャーに至っては62万8000で ある。アメリカは三人で9万8000から13万2000である。

だから日本は駄目なんだと短絡してはいけない。アメリカは中4日で投げるから 一試合当りの投球数が少ない。日本は中6日空けて完投を目指すから一試合 当りの投球数は多い。
この記事は「メジャー担当記者」が書いたことになつてゐるがアメリカかぶれの 過ぎた実によくない記事である。

七月二十六日(土)その二 日本が原因ではない理由
日本が原因ではない理由を見てみよう。まづは楽天の星野仙一監督である。
4月、メジャー初登板で初勝利を飾った田中 将大投手。それをテレビで見届けた楽天・星野仙一監督は、勝利の祝福コメント を寄せた一方で、複雑な表情でこうも言った。
「ちょっと変化球が多い。捕手とのコミュニケーションもあるんだろうけど、変化球 ばっかりで中4日。あれではケガするぞ」
それから3カ月、メジャートップの12勝を挙げる大活躍を見せた田中将が、右肘 の違和感で離脱した。右肘じん帯の部分断裂。今後の経過次第では、じん帯の 再建手術「トミー・ジョン手術」の可能性もあるという。
(デイリースポーツ)

次に田中投手と同じく大リーグでレンジャーズのダルビッシュ有投手 である。
田中将が受ける可能性のある肘の腱(けん)移植手術(トミー・ジョン手術)。開幕 直後から同手術を受ける選手が続出している現状に「これだけトミー・ジョンが出て るんだから、何でかってことで、本当に議論しなきゃいけない」と、警鐘を鳴らした。 その上で提言、指摘は、4項目に及んだ。(デイリースポーツ)

一つ目は中4日を中5日にすることだ。
現在、故障防止のために行われている1試合100球の球数制限は「ほとんど関係ない。 140球投げても、(中5日や)中6日あれば靭帯(じんたい)の炎症は全部取れる」と 言い切った。

二つ目はメジャー球の改良で、日本の公式球よりも大きく滑りやすい。
「ボールが滑るってことは、ちゃんと持たなきゃ(握らなきゃ)いけない。 (肘に)ストレスがかかるわけだから、そこは大きい。(メジャー球は) 大きさも違えば、最初から変形してるものがあったりする」

三つ目は故障原因はスプリットではないとして
「スプリットぐらい(握りが)浅ければ(負担は)ツーシームと変わらない。むしろ チェンジアップの方が、(ボールに)薬指がかかっている。薬指は尺骨につながって るから関係あるのかな、と」と指摘した。

四つ目はバランスのとれたウエートトレで
球速を上げるための下半身と背部の部分的強化に重点が置かれているが、 これにも反論。「それをやると、球は速くなるんだけど、腕とか胸とかプロテクト できない。やるんだったら全身。やらないんだったらやらない方がいい」

七月二十七日(日) 松坂投手も故障
大リーグの松坂投手も右肘の違和感で昨日十五日間故障者リストに入れられた。 三年前にも靱帯を損傷しトミー・ジョン手術で1年間を棒に振つた。これだけ続けば さすがの拝米マスコミもアメリカのやり方が悪いと気付くことだらう。

七月二十八日(月) 各国それぞれやり方がある
日本の野球は日本のやり方で今日まで問題なくやつてきた。アメリカもアメリカの やり方で、トミー・ジョン手術を受ける投手が続出するとはいへ、一応平穏に やつてきた。それぞれ選手たちは体と意識が今までのやり方に慣れてゐる。途中 で変へると今回のようなことになる。(完)


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