五百六十三、雇用共同アクションの派遣法改悪反対集会

平成二十六甲午
四月二十六日(土)「許すな派遣法大改悪4.23学習決起集会」
雇用共同アクションといふ労組の任意団体がある。インターネツトで調べると共産党機関紙「しんぶん赤旗」で昨年十月の結成が取り上げられ、
日本弁護士連合会(日弁連)の河田英正副会長、日本労働弁護団の棗(なつめ)一郎常任幹事があいさつ。日本共産党の高橋ちづ子衆院議員、田村智子、吉良よし子両参院議員があいさつし、民主党、社民党の国会議員も参加しました。
「雇用共同アクション」参加団体は、全労連、全労協、MIC(以上、事務局)、全日本港湾労働組合、航空労組連絡会、純中立労組懇、中小労組政策ネット、下町ユニオン、東京争議団、けんり総行動。


とある。これについても面白い話がある。コミュニティユニオン首都圏ネットの運営委員会で、下町ユニオンがなぜうちだけ直接加盟なのかといふ話になりそれではコミュニティユニオン首都圏ネットとして加盟しようといふことになつた。だから今は下町ユニオンではなくその上部協議体が加盟してゐる。
その雇用共同アクションが「許すな派遣法大改悪4.23学習決起集会」を日比谷の旧都立図書館地下で開催した。全労連とうちの労組の委員長代行の二人が司会である。ここは万難を排しても参加しなくてはならない。夜六時半からなので会社が終つてからで間に合つた。
それにしても労働者派遣法といふのは天下の大悪法である。労働者は社会の最下層だから団結権が認められる。それなのにその下を作つたらどうなるか。私が反対するのは当時も今もそれが理由である。
こんなことは少し考へれば判るのに電機労連(当時は中立労連。その後は連合の中心単産で現、電気連合)は法律を可決するよう社会党に圧力を掛けたと当時の新聞に報道された。

四月二十七日(日)「真剣な労働運動」
参加者は真剣に労働運動をする人達ばかりだつた。それは「安倍は今頃オバマと寿司を食べてゐますが」といふ発言に現れる。会場の周りに警察官が多いのでなぜかと思つたら安倍とオバマが寿司屋に行く通り道だつた。「派遣は女性が多い」「子どもを産みたくても産めない」といふ発言もあつた。
必要のない職場にあるシロアリ労働運動だと「自由と民主主義の」だとか「女性の管理職比率を」と的外れな発言をする。「女性の管理職比率を」がなぜ的外れなのか説明しよう。本来管理職になるのはごく一部で、管理職にならなくてもきちんと生活ができる。さういふ労働運動をすべきだ。「管理職比率を」などといつてゐる職場は公務員か政府の規制下にある業界で、さういふ職場は労働者ではなく身分である。

四月二十七日(日)その二「開会あいさつ、講演」
全港湾委員長の開会あいさつでは港湾労働法で日雇ひが禁止され、料金はかつては認可制だつたが2000年に撤廃された。そのような話があつた。

萬井(よろい)龍谷大学名誉教授の講演では、次のような話があつた。
・ILO1944年フィラデルフィア宣言「労働派商品ではない」 労働することを売買や賃貸借の対象としてはならない
・派遣は最大400万人、今は130万人。規制が多いので偽装請負が増へた。
・派遣法40条の6は重要
・直接雇用の原則を東京は言はないが関西は言ふ。
・50万~60万人が政令指定業務。20万人は事務機操作業務。
・職務能力や技術取得の評価を派遣元に伝える(40条6項)の危険性
キャリアといふ言葉にろくなことはない。例、追ひ出し部屋をキャリア開発チームなどと呼ぶ
・法律の努力義務は、良心的な人は守らうとするが企業は守らない。しかし労組は団交の足掛かりにできる。
・安倍がダボス会議で、2年間で「岩盤規制」を「ドリル」で破ると公言

四月二十八日(月)「各団体からの報告、決意表明、閉会あいさつ」
次に各団体から発表があつた。全労協の女性の常任幹事より、派遣は女性が多いといふ報告があつた。次に民法労連より、70年代に労組は偽装請負摘発をやつた、大阪の民放は法に違反してゐた、雇用破壊ではなく労働者の障碍を破壊するといふ発表があつた。純中立労組懇談会からは農協労連がTPPと労働法制改悪は結びついてゐるのではといふ発表があつた。これは賛成である。安陪のやることは大企業だけが大儲けして一般の国民が貧することばかりである。航空労連からは女性は(1)バリキャリ(2)出産し退職(3)出産し派遣、といふ三つになるといふ報告があつた。下町ユニオンからは産休も取れず子を産みたくても産めないといふ報告があつた。最後に全労連事務局次長が閉会挨拶で国会の医療介護総合法案の審議が遅れたので派遣法改悪はその次に遅れるだらうと状況報告があつた。

四月二十九日(火)「派遣に反対する理由」
私は派遣労働者ではない。それなのになぜ派遣に反対するかといへば理由が二つある。
一つは派遣を認めれば労働者より下層が生まれる。労働組合は最下層の団体ではなくなるから世の中の不均衡を増大させる既得権団体となつてしまふ。
二つには企業の利益が上がれば給料も上がり利益を抑へる。つまり人件費は社会の平衡作用である。ところが派遣や非正規雇用や下請けを認めると平衡作用が機能しなくなる。冷却装置が機能しないときの福島第一原発と同じである。

なぜこんな悪どい制度を合法化するのか。派遣法が制定されたときちようど総評は解散が決まつた。諸悪の根源は経営側ではない。機能しない労働運動にある。もし機能するなら派遣だらうと非正規雇用だらうと下請けだらうと労働条件に差は付けさせない。経営側に利点はないから正規雇用を選ぶ。(完)


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