五百六十一(丙)、ミャンマー経典学習会(その六)
平成二十六甲午
五月十二日(月)「期待はずれだつた代々木公園のソンクラン」
昨日は代々木公園でソンクランといふタイ旧正月のお祭りがあるといふ民間イベント会社のページをみつけた。日本では水掛け祭りと呼ばれる。午後からはミャンマー経典学習会がある。だから十時開始と同時に代々木公園に行き十一時半に出発しよう。さう予定を立てた。ところが代々木公園では沖縄祭りをやつてゐる。会場を一周したあと念のためNHKの方角に歩くとタイ料理、タイ雑貨、その他アジア中南米料理が約三十店舗でやつてゐた。これでソンクランはお粗末である。といふことで二周したが10分で終了した。
気温が高くなつたので先月のように歩くことはせず地下鉄で千川まで行つた。一時間半あるので水道局の大谷口給水所の敷地内に作られた区立公園のベンチで30分ほど過ごした。ここに以前は大谷口配水塔があつた。撤去されたのは10年前なので私は見たことがない。その跡地に大谷口給水所の円形の建物が作られた。敷地の余つた部分に駐車場と区立公園が作られた。私が経典学習会に参加し始めた頃はまだ工事中だつた。
昼食はサミットで購入した。店内に休憩コーナーがあることを見つけここで食べた。飲料水もありなかなかよい雰囲気である。
五月十三日(火)「カラニヤ メッタ スッタ」
今月からカラニヤ メッタ スッタ(慈経)である。ミャンマーではメッタ スッタと呼ぶ。メッタとは自分と他人と両方よくなること悪い仕事(毒を売ったり動物を殺す)をする人はメッタを得られない。僧がうらない、土産を渡し自分を尊敬させる、治療する、はメッタを得られない。そのような法話があつた。
木を切ることの質問があつた。木には神が宿るが、下のおばけに近い神は人が恐怖を感じる。木を切るときメッタを唱へる。スリランカでは大きな木を切つてはいけないといふ法律があるらしい。僧が森林で修行すると木の神々は僧の修行の邪魔にならないよう出て行つた。しかし僧がなかなか帰らないので怖い顔や声で帰させた。僧は病気になり仏陀のところに戻つた。しかし仏陀が見たところ森しかないのでこの経を唱へるようになつた。
私は日本語とパーリ語は子音+母音で発音が似てゐるのではないかと質問した。Karaniya mattha kusalena yantam santam padam abhi-sameccaと語尾のmを除いてすべて子音+母音だからである。僧侶も似てゐると思ふといふ回答で、日本にゐるミャンマー人の子にお経を教へるときはミャンマー語よりパーリ語のほうが教へやすいさうだ。
yantam(パーリ語辞典だと、ところのもの) santam(それは) padam(静寂の)の意味の質問もあつた。ここは詩で決められた文字数に合はないと読みやすいように同じ語を入れてある。ガターは八つ、九つ、十一など。一つの語に複数の意味があるからyantam(あの) santam(涅槃) padam(涅槃)になる。
五月十三日(火)その二「お茶の時間」
終了後、一階の集会室でお茶を飲んだ。皆でミャンマーそばを御馳走になつた。片栗粉で具を固めてあつた。昨年まで通訳をしてくださつた男性はミャンマーに帰り出家したさうだ。ミャンマーでは通訳が足りず高額に跳ね上がつたため母国で活躍してゐるのだらうとばかり思つてゐた。
新しい通訳の女性にパゴタの質問をした。予ねて僧は係らないと本で読んだが半信半疑のところがあつた。やはり僧は僧院で修行、信徒はパゴタで奉仕といふ形であつた。上座部仏教と大乗仏教が分かれたのは根本分裂のときとかつては言はれたが、その後、パゴタを守る信徒の集団から大乗仏教が生まれたと考へられるといふ説が出てきた。しかし上座部仏教の信徒もパゴタを信奉するのだからこの説は正しくないと思ふ。
五月十四日(水)「大塚の旧ミャンマー仏教協会」
先月大塚のMTBA宛の郵便物を見たので、始まる前に日本人の中心者の方に質問すると、ここができる前は大塚にMBA(ミャンマー仏教協会)として存在したが駅から5分のビルの七階で部屋が狭く周りにネオンがあり環境がよくなかつた。そこで今の場所に移りNPO法人として設立するためMCWA(ミャンマー文化福祉協会)になつた。
宗教は宗教として分別できるものではなく文化の重要な構成要素なのだから文化を名乗るのは当然である。宗教法人として設立する方法もあるが施設がないと設立が難しいらしい。
インターネットで調べると鈴木一生師(天台宗の僧、ミャンマーで修行)がミャンマーに出発する前に大塚のMBA(ミヤンマー仏教協会)を訪ねミャンマーのクムダ・セヤドーにお会いした話があつた。
MCWAが平成二十一年四月十九日(日)に設立されたときの式典の案内が別のページにあつた。
11:00頃より僧侶への食事供養、その後、参加者への食事
休憩後12:30頃より法要(お経)
仏像入魂式(仏像にお経を唱えてくださるので希望者は仏像を持参)
法話
終了は15:00を予定
参加予定の長老たち
ミャンマーから:バモー・セヤドー、クムダ・セヤドー
日本在住:門司の平和パゴダ、ヴッジャーナンダ長老、大洋村のニャーヌッタラ長老
現在MCWAに滞在中の僧侶
バモー・セヤドーはこのとき82歳の大長老でミャンマー東北部のバモー市に僧院があることからバモー・セヤドーと呼ばれてゐる。
五月二十三日(金)「経典学習会に参加する理由」
経典学習会は多数の在日ミャンマー人の善意で成り立つてゐる。まづMCWAを作る為に三千九百万円の寄進をした多数の人たち、法話をされる比丘、ボランティアで通訳をされる若い女性。ミャンマー人も何人か参加される。
次にここはミャンマーの生活の雰囲気が漂ふ。日本にゐてミャンマーを体験できる貴重な存在である。そしてここに来る人は皆が純粋に仏教を信じる。このことが一番の理由かも知れない。不純な目的の人がゐると言動で判る。といふか誰でも心に不純があるからそれが言動に表れることがある。企業は営利を目的とするから仕方がないが労組や宗教団体でそれがあると嫌な気分になる。しかしここにはそれがない。心の浄化のために多くの日本人が参加してほしい。(完)
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