四百、孫の教育資金減税は絶対に認めてはいけない(その二、我が家の受験日誌)
平成25年
四月二十日(土)「高校が第一の分岐点」
上の子供が獣医を志望し高校二年のときから受験勉強を本格的に始めた。獣医は人間の医学部に次ぐ難関である。高校は公立高校だがいはゆる受験校ではなかつた。三年前に中学の成績だと準受験校に合格できるから私はそちらを勧めたが妻と子供が話し合つて決めた。
高校一年の成績はクラスで十番程度で、ここの高校でよかつたと私自身も納得したが二年で塾に行きだすとクラスで一番か二番になつた。そのとき改めて思つた。子供の学力は親の収入に比例する。
高校では教頭先生が国立を受験する生徒数名を対象に補習をしてくださつた。数学のN先生も補修をしてくださつた。お二人には本当に感謝の気持ちでいつぱいである。しかし不合格だつた。しかも二人とも別の学校に転任になつてしまつた。私が残念なのはもう一つ理由がある。教へ方の上手な先生は私も授業参観で見たいと思つてゐた。
四月二十一日(日)「中学の塾、私立中学」
高校で受験校に合格するため中学のときから塾に行けばよかつたのだらう。親によつては私立中学に入学させることもある。これには親の収入が関係する。
高校受験の時に安全を見込んで非受験校を選ぶか、多少のリスクを覚悟で受験校を選ぶかの選択もある。受験校で不合格のときは私立に行くからリスクを取れるかどうかここでも親の収入が関係する。
四月二十二日(月)「親の邪まな欲がないと進学校には行かない」
下の子供が小学生のときに突然「いい学校、いい学校」と云ひ出した。友達が言つてそれがうちの子供に伝はつたのだらう。とはいへ私立中学に入学させるお金はない。当時は中高一貫校が新聞によく載つたから、家から通へる公立の一貫校を探すと東京中野区の東京大学付属一貫校しかない。中野区といふのは悲惨な土地である。ああいふ所で仕事をしたり居住する野蛮人どもがゐるとは驚く、といふのは冗談で私も勤務地が中野である。親子そろつて通勤通学しようとあちこちの大きな本屋を調べたが東大付属一貫校の受験参考書がない。取り寄せの手続きをする数日前に突然、子供が市立の中学に行くといふ。どうやら友達が市立中学に決めたらしい。
中学進学のときからいい学校と言ひ出したら、それは親の邪まな欲と言つてよい。もちろん私も大きな本屋を調べたのだからその例外ではない。
四月二十三日(火)「二つの共通点」
上の子供が受験したのは岩手大農学部獣医学科である。作家Xは岩手大農学部だから第一の共通点である。推薦、前期、後期と三回受験した。推薦対策はたまたまドイツのバイオ系企業代表と知り合ひ獣医の話が出たので、うちの子供に英文のメールを出させ返事と併せて面接に持つて行かせた。使ふ機会があれば合格の期待があつたが不合格だつた。前期試験も不合格だつた。後期は東京近辺の国立大の農学系を受けるよう勧めたが岩手大の獣医を受けて不合格だつた。
これで私は相当落胆した。昨年の十一月くらいからだらうか通勤の途中でX経と題目を心の中で唱へることを始めた。受験が近づくにつれて現世利益に期待する度合いが高くなつた。
不合格が決まつたあとはもう永久にX経を唱へることはないと思つた。しかし四週間ほどして復活した。今回は100%瞑想の一環である。だから僧X系各宗派のような観念文は唱へない。題目の代はりにパーリ語で三帰依文を唱へることもある。
作家Xも妹が亡くなるまでは僧X式だつたがその後独自の傾向を強めた。私は作家Xの真似をしようとしたのではなく、上座部仏教の瞑想は肩こりがひどいのでX経を用いた瞑想に回帰したところ似た方法になつた。だから作家Xはサンスクリツト語、私はパーリ語と違ひがある。
四月二十四日(水)「ぼつたくり商売」
滑り止めに或る私立大学の獣医看護学科を受けた。受験料が無駄になるだけだから受けるなと口を酸つぱくして言つたのに普通とセンターで受験し、当然合格して前期納入額を払つた。それなのにそこは辞退し浪人を選んだ。受験料二回分と入学金が無駄になつた。さういふ滑り止めをするからだといへばまつたくその通りだが、結構かういふ滑り止めで辞退者が多いと噂を聞いた。親の不安感に便乗した商売で実に後味の悪い出来事であつた。
四月二十五日(木)「岩手大」
岩手大を選択したのは私ではない。私は東京の国立大を希望したが岩手大を受験することになつた。子供にとつては小さいときに遊んでくれた従兄弟が岩手大なので心強いことはあつただらう。従兄弟は工学部で来年卒業である。仙台のIT会社に内定が決まつた。IT業界の私としては複雑な思ひだが、義弟も日立の子会社に長かつたので事情は判つてゐる。義弟が了承したのなら私が口を出すべきではないだらう。
工学部以上に農学部の就職が厳しいことは昨夏岩手大を訪れたとき就職担当教授から伺つた。農協は給料が安い。日本はやはり輸出だから製造業が給料はよい。農機具メーカーがよい。そんな感じだつた。今は製造業よりサービス業といふ時代だからその一つ前の農学部は就職が大変である。諸悪の根源は東京にばかり就職先が多くて仙台や盛岡に少ないことである。
ここは小沢一郎氏にがんばつてもらひ、いかにも都会系といふ感じの口先だけのシロアリ民主党を撲滅してもらふしかない。そして自民党も怪しげな拝米猿真似新自由主義者ではなく本来の国民政党に戻るべきである。自民党は孫の教育資金減税なんか絶対に認めてはいけない。偏差値詐欺男やマスコミ詐欺女を出さないためにも。ますます日本が都会系になつてしまふ。都会とは地球を破壊する勢力である。(完)
項目別検索を先頭ページに作り、ここに「孫の教育資金減税は絶対に認めてはいけない(その一)」へのリンクを付けたため、(その一)と(その二)のリンクを廃止しました。
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