39、マッカーサーからの独立
平成十七年二月十三日
1月2日のテレビ朝日「戦後60年新春特別企画日本を震撼させた戦後7大事件は アメリカの陰謀 」
はタイムリーな番組である。
司会はビートたけし。呼び方は他にも、北野武監督、北野武教授、ツービートのうち今は亡きビートきよしを除いた残り、いろいろある。あっ、ビートきよしはまだ生きていた。
いずれにせよ、娯楽番組が多い三箇日にこのような番組が放送されたことは喜ばしい。朝日新聞もテレビ朝日を見習い、マッカーサー物真似路線はそろそろ止めてもらいたい。
今は亡きビートきよしも、元相棒の活躍に草葉の陰で喜んでいることであろう。
1 3S作戦
アメリカが日本で実施したのは、3S作戦である。番組を途中から見たため不確実だが、ビートルズ来日はアメリカの陰謀であり、3Sとはスクリーン、セックス、サウンドだったと記憶している。番組では男女が公衆の面前でキスをするシーンを写していた。戦後の不道徳は、アメリカが仕組んだ罠である。
3Sはスクリーン、セックス、スポーツ(観戦するスポーツ)とする資料もある。日本の場合はサウンドがまさに適合している。今でもアメリカ軍が、イスラム過激派と対戦するときにはロックなどを大音量で流し、相手の神経を撹乱する作戦を取っていることを、忘れてはならない。
一部の鉄道会社が、車内放送で英語の録音を流すのは、10年前までは単なる流行というか政府の保護下にある企業の道楽であった。しかし最近の流れについては、政治家や官僚の圧力がなかったかどうか検証する必要があるかもしれない。選挙で当選のために、大臣になれるために、将来総理大臣になるために、という動機で公益を売ってしまうことは防がなくてはならない。何気なく英語が流れてくるのはサウンド作戦の1つである。
2 スポーツ
3Sがサウンドではなくスポーツだったとすると、同じく今の日本で気がかりなことがある。
以前はスポーツといえば国民のためになっていた。例えば、現ソフトバンク監督の王貞治氏が30年以上前に、他の野球選手たちが自分の会社を作り税金対策をしているのに王選手は、脱税みたいなので、といって個人収入にしているという記事を読んだことがある。
大相撲の春日野親方(故人)が理事長時代に、母親が子供にお相撲さんを見なさい勝っても負けてもお行儀よくしているでしょ、と言うのが相撲だ、と語ったのをを覚えている。
翻って今のテレビの相撲放送はよくない。「NHK Sports」とかいう国籍不明言語が放送席の前に書かれている。
3 マッカーサーの犯罪
アメリカのスタンフォード大学フーバー研究所客員学者の西鋭夫氏に「マッカーサーの犯罪」という著書がある。この本はアメリカ向けに英語で書かれたものを日本語化したもので「マッカーサー将軍」など日本人には少し違和感のある表現があるが重要なのは次の内容である。
・マッカーサー将軍は日本占領行政の絶対的権威を背景に「日本的なものには何にでもナタを振るう殺し屋」的な軍人、軍属たちを使って政治、経済から教育のあらゆる分野で日本という国をズタズタにした。マッカーサー将軍が本当に日本にアメリカと同様な民主主義を育てようとしたのなら、このようなやり方はしなかったはずである。
・マッカーサー司令官は「すべての日本的なもの」を破壊しようとしただけではなく、それに「悪」「罪」というレッテルを貼り付けた。
4 狂人カーツ大佐
副島隆彦氏は著書「日本の秘密」で、映画「地獄の黙示録」のモデルはマッカーサーだと述べている。東アジアの奥地で原住民の王となったカーツ大佐なる狂気の人物を、本国に強制送還するか射殺してこいという物語である。
副島氏はグレンデイビスの「軍隊なき占領」と片岡鐵哉氏の「さらば吉田茂」を引用しつつ次のことも述べている。
・マッカーサーは相も変わらず「原住民の王様」気取りだった。
・マッカーサーは日本でまるで「国王」のように君臨していた6年間に日本の国力を落とすために努力していた。八幡製鉄所を解体して戦争賠償として中国に渡そうとまでしていた。
・マッカーサーが強制送還されたあと「ダレスが来る」と吉田はうめいた。吉田はダレスからの再軍備要求と財閥再建要求を撃退するため鈴木茂三郎率いる社会党左派と慣れあって、彼らに憲法擁護と再軍備反対の大闘争を行うように頼んでいる。
・鳩山も三木武吉も河野一郎も石橋湛山も無実の罪で追放された。マッカーサーと吉田が日本を弱体化させた。
5 軍隊なき占領
グレンデイビス他「軍隊なき占領」では次のようなことが書かれている。
・ACJ(アメリカ対日協議会)は岸信介をACJ初のリモコン首相にするため戦犯としてのイメージを払拭することに力をそそいでいた。岸に英語と政治家としての振る舞いを教えた。
・米占領当局はA級戦犯容疑者の岸が日本における共産主義の急激な拡大を阻止するために役に立つことに気がついた、児玉誉士夫、笹川良一と同じ拘置所に留置されたのはそのためであろう、三人は絞首刑を免れることと引き換えに親米的な特殊任務を担った。
6 日本永久占領
片岡鐵哉氏は「日本永久占領」で次のように述べている。
・マッカーサーは極度にはったりが上手だった、護衛機もつけずに厚木に乗り込み、日本の新聞記者を事前に呼んでおいてパイプをくゆらせながら、ゆったりと下りたったのは、日本人を威圧する芝居だった。
・マッカーサーは日本占領で世界史に自分の名声を永遠に残そうと密かに決意していた。
・マッカーサーは1937年に在比米軍の総司令官としてフィリピン民兵の総司令官を兼ねていた。全国の民兵をマニラに集合して一大軍事パレードをやる案が浮かんだ。副官だったアイゼンハワーは予算がないと進言したが押し切られた。フィリピン大統領ケソンがびっくりしマッカーサーにパレードを取り消すよう命令した。目に見えるほどに立腹したマッカーサーはケソンの前でアイゼンハワーを怒鳴りつけて責任を転嫁した。アイゼンハワーによるとマッカーサーは「最高司令官はいかなる犠牲を払っても、過ちを決して認めてはならない」といった。
・ルーズベルトは独断で外交をやる癖があり、そのためにヤルタ会議では日本固有の領土である千島列島をスターリンに譲渡するというへまをやっている。
・日本占領は制裁が目的であったために、アメリカではとても実施できないような過激なニューディール政策の実験場となった。
・マッカーサーは次のように語った。アングロサクソンが45歳だとすればドイツ民族は同じくらいに成熟している、日本民族は非常に教化を必要とする、12歳の少年にあたる、ドイツ民族はわれわれと同じくらい成熟している、しかし日本民族の場合は全然違う、類似点はまったくない。
・アメリカ国務省初代政策企画部長ジョージケナンは次のように語った。一国の歴史はその国に固有な特殊なものでありユニヴァーサルな尺度で判断できない、マッカーサーの財閥解体はビジネスマンの追放と賠償取りたてとの相乗効果で日本経済を完全にスランプに陥れている、国民総生産は戦前の三割に停滞し日本からの賠償として工場施設がどんどん船積みされ中国共産党に占領されつつある大陸に送られている。
・またジョージケナンは、マッカーサーによる、日本語と家族制度の無意味ないじくりまわしを非難している。
7 英語英語アメリカアメリカと叫ぶ人に
西氏、副島氏、片岡氏は英語が堪能である。以前紹介したビルトッテン氏も英語が堪能である(アメリカ人なのだから当たり前だが)。英語が堪能な人は、英語公用語だの小学生に英語だのと、ここ10年ほどの英語英語と国内で騒ぐ人たちにうさん臭さを感じ取っている。
西氏や片岡氏はアメリカの大学に務めているしビルトッテン氏はしばしばアメリカに里帰りしている。アメリカの政治姿勢を批判することは別にアメリカ入国禁止になる訳ではなくアメリカ滞在禁止になる訳でもない。アメリカに色目を使い英語英語アメリカアメリカとわめく人たちは日本の恥さらしであり、アメリカから特別扱いされる訳ではないので、そういうみっともない真似は止めてもらいたい。特に首相で任期が長くなると考えたり、大臣で将来首相になれるかも知れないと勘違いする人が、過去に何人もいたので一言述べておきたい。
8 日本独立のために
マッカーサーが財閥解体や賠償取りたてで日本経済をめちゃくちゃにしていながら、アメリカ軍は軍政基本司令で「日本のいまの苦境は自業自得である。連合国軍はその損害を修復する重責を負うつもりはない」と述べている。
しかし日本全体が餓死寸前となり、さすがのマッカーサーも「いま日本で予想されている大量餓死が現実のものとなれば、占領の主要目的達成は不可能となる」「食糧を送るか兵員を送れ」(マッカーサーの犯罪)とまで述べている。いまだに終戦直後の食糧援助をありがたがる日本人が多いが実態を知る必要がある。農地解放にしても「土地の再分配は日本農村地帯における共産主義の浸透を防ぐ強固な防壁を築いた」(同書)。
目を現在に向けるとマッカーサーが「日本民族の場合は全然違う、類似点はまったくない。」とまで断言しているのに、アメリカを何でも真似しようとする人が多い。これは日本の自殺行為である。
「軍隊なき占領」には次のことが書かれている。
石原慎太郎の言うとおり、日本がアングロサクソンの砦から逃れて自由になるにはアジアへ戻るのが唯一の道であるかもしれない。「アングロサクソン的民主主義の規範はアジアには適していない。われわれは独自のやり方で民主主義の本質的要素を生み出さなければならない。」「一見、逆説的だが違いは違いとしてはっきり尊重し東洋と西洋の差異を冷静に認識しあうことが、唯一、東と西のあいだの調和と協力を達成する道である」
日本が占領状態から抜け出せる唯一の方法が石原氏の主張である。我々の世代だけなら占領状態だろうと属国だろうとかまわない。しかし子孫のことを考えるとき、真の独立はわれわれの世代の務めである。
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