三百七十、日本の美しい民家街を守るには


平成25年
二月十七日(日)「(郊外編)建ぺい率に車庫を加へよ」
郊外は建ぺい率が70%やそれ以下なので、樹木や植木や空き地があり、心を和ませてくれてゐた。ところが平成年間に入り様子が変つてきた。自家用車を持つ輩が現れたのである。といふと今は奇異に聞こへる。自家用車がない家のほうが珍しい。我が家にも三台ある。タイヤの数は全部で六、発動機の数は零である。
それは自転車が三台あるだけぢやないかとすぐ気付いた人は偉い。我が家には自動車がない。昭和四〇年代はこれが普通だつた。自動車を持つ家が多くなつて建ぺい率の意味が減少した。郊外のみどりを守れ。夏には蝉が、秋には虫の音が聞こへるには樹木と空き地が必要である。敷地の内に車をとめるのは構はない。地面をコンクリートで固めるな。屋根を付けるな。コンクリートや屋根は建ぺい率に算入すべきだ。

二月十八日(月)「(下町編)路地を守れ」
建築基準法で、道路は4m以上ないといけない。それより狭い道路はセツトバツクといつて、新築時に境界線を後退させなくてはいけない。その分は一種の没収である。
これが下町から路地を少なくする原因である。新規の住宅地は4mでよい。既存の住宅地は路地を認めるべきだ。

二月十九日(火)「(非首都圏編)マンション規制」
首都圏は人口が多いからマンションもやむを得ないが、マンションは街の景観を悪くするだけではない。マンションは日本家屋の良さを失ふ。首都圏以外はマンションを規制すべきだ。
首都圏もマンションは郊外に建てるべきだ。そのため地下鉄は都内の住宅地の駅は廃止すべきだ。

二月二十一日(木)「(屋外編)縁側の似合ふ街」
日本家屋には縁側が似合ふ。ところが今は縁側が少なくなつた。一つは屋外が縁側に適さなくなつた。自動車の騒音、夏の冷房室外機の熱。
住宅地に自動車は要らない。地球温暖化の原因でもある。冷房の室外機は熱を前方ではなく上空に放出するよう既成すべきだ。そして将来は住宅地の冷房を廃止すべきだ。私は家では真夏でも冷房はほとんど使はない。人類は長いこと冷房なしで過ごした。

二月二十二日(金)「(民家編)昔の民家の展示と利用を」
昔の民家を展示した市立の施設に年に一回は行くようにしてゐる。かつてはあのような民家が普通だつた。私が住んでゐた家もさうだし近所の家も向島や川崎や松本の親戚の家もさうだつた。小学校の社会科見学で行つた川越辺りの農家もさうだつたし、夏に海水浴のため宿泊した千葉海岸(といふ駅が昔はあつた)の民宿もさうだつた。
ふすまで部屋を区切るのはよいことだ。床にレールのある重い引き戸で部屋を区切るのは駄目である。閉める時に少し力加減を間違へると、柱との間ですごい衝撃音がする。
アルミサツシも駄目である。ダニの原因になる。まあ少し前までは嘘をついて消費税をごり押ししたダニみたいな連中が官邸にゐたが。
床の間も必要である。神棚も仏壇も必要である。中庭も敷地に余裕のある家は作つた。
昔の民家を保存し展示するだけではなく、公民館は民家式に作るべきだ。学校も民家式に作り畳敷きで勉強すべきだ。さうすれば不登校も学級崩壊もなくなる。昔からの伝統を壊した結果、醜い街と不安定な世の中になつた。何でも西洋の真似をしては駄目である。(完)


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