三百四十、IMF報道に見る日本のマスコミの偏向
平成24年
十二月二十九日(土)「偏向する大マスコミの報道」
高橋洋一氏が10月18日ダイヤモンドオンラインに「偏向する大マスコミの報道、これが本物のIMFの指摘」といふ寄稿をされたので内容を紹介したい。
IMFというと、いつも日本に増税ばかり要求する国際機関という印象だ。これは、ワシントンでIMFに取材する日本のマスコミが、日本語が通じる日本人スタッフからコメントを求めるからだ。その日本人スタッフは財務省からの出向者ばかりなので、どうしても財務省に都合のいい、緊縮財政マンセーのコメントばかりになるのだ。ところが、東京総会ではホンネが聞けた。
それにしても財務省とマスコミの癒着には驚く。と同時に事務方でありながら政治を偏向させようとする財務省官僚の悪どさにも驚く。
その好例がIMFのラガルド専務理事だ。日本のマスコミでは、中国人民銀行総裁と中国財務相の欠席に対し残念だと言ったことを、盛んに取り上げている。しかし、実は、率先して歳出削減と増税に走っている国々に警告を発し、「もうちょっと時間をかけた方がいい場合もある」と、緊縮財政にプレーキをかけるよう促す発言を行った。安易に緊縮財政に走ると成長に悪影響が出てしまって、かえって危機が深刻化するのでやめた方がいいと。
次にブランシャール調査局長の発言を紹介し
「日本の財政政策と金融政策について、非常な低金利であるために財政再建を急いで進める必要はそれほどない」、「低金利による利払い負担は小さいことなどから、急激な財政再建はかえって好ましくない」といいながら、「緩和的な金融政策の継続は、経済成長にとって非常に強い力となる」と述べた。
私は、日本の財務省の出向者がIMFに工作をして増税発言を繰り返すのだらうと思つてゐた。だから今年十月に日比谷野外音楽堂で行はれた反原発集会のときは、最初の部分は抜け出して外のIMF反対デモに参加したくらいだつた。なるほど大手マスコミの怠慢と財務省との癒着が原因だつたとは知らなかつた。高橋氏は今回の寄稿の冒頭で
税率を引き上げて税収が上がるかどうかは経済状況に依存する。それは商品単価を引き上げて売上増になるかどうかと同じだ。「増税」が税収増になるためにはデフレからの脱却が必要であるが、これが増税の前にやるべきことだ。筆者は、小泉・安倍政権時代、完全なデフレ脱却はできなかったが、増税なしでほぼ財政再建を達成している。こうした経験から、増税は政策経験のない人の下策であると思う
と述べてゐる。自民党も今回の勝利が、偏向マスコミによる国民への洗脳工作の結果であることを踏まへ、増税を停止すべきだ。それにしても偏向マスコミは腹黒い連中である。小沢氏の裁判問題を大々的に取り上げ続け、維新の会を持ち上げて第三極を分断し、未来の党の比例区順位騒動を大きく取り上げ、石原氏の戦争発言を取り上げ、最後は国民を自民党に投票させた。
十二月三十日(日)「元NHKヨーロッパ総局長大貫康雄氏の記事」
次に元NHKヨーロッパ総局長大貫康雄氏の書いた記事をインターネツトで見つけたので紹介しよう。大貫氏は「日本の民主主義化の芽をつんだ“小沢一郎暗殺事件”」と題してNHK時代の先輩大治浩之輔氏が編集代表を務める月刊「マスコミ市民」の記事を紹介してゐる。
・東京地検特捜部が「小沢一郎事件」を始めたのが、2009年3月3日。戦後初めての本格的な政権交代が実現する2009年8月30日の総選挙の直前であった。政権交代必至の野党党首に政治資金規正法で強制捜査、バランスの取れない異例の非常識な捜査である。
・小沢の政治団体・陸山会が秘書寮新築のため2004年10月に3億5200万円で東京世田谷の土地を買った。その取引の届けを、本来の2004年でなく翌2005年の政治資金報告書で届けたのが犯罪になるか。担当秘書は、届がずれたのは、土地の移転登記が翌年にずれたのに合わせたので適法だと思っていたと抗弁。
・検察はこれを認めずに秘書を起訴。そして、検察審査会が小沢を強制起訴。『秘書に任せたていた』といえば政治家本人の責任は問われなくていいのか」「市民目線からは許しがたい」という、罪刑法定主義を無視した衆愚の暴論で小沢をも起訴すべしという議決を繰り返し、小沢は強制起訴で被告になってしまった。
・2012年11月12日。その「小沢一郎事件」を東京高裁が無罪判決で締めくくった。
・高裁判決の翌日、「小沢事件」が無ければ首相になっていたはずのない野田が、かつて、へなへなと政権を投げ出した自民党の安倍を相手に「11月16日に衆議院解散」を宣言して、幻滅の政権交代の終わりを告げた。
大貫康雄氏は月刊「マスコミ市民」を次のように賞賛してゐる。
月刊「マスコミ市民」は67年2月創刊以来、日本社会の言論の自由、平和、人権、民主主義の確立を目指した論陣を張っている。言論・報道に携わる者に原点からの姿勢を問う数少ない雑誌と言って良い。
日本の大手マスコミの異常さは世界でも稀だらう。大手新聞社とその関連会社のテレビ局を解体しない限り日本はよくならない。
一月三日(木)「12月29日の毎日新聞」
毎日新聞は小型朝日新聞である。つまり根底が拝米新自由主義である。12月29日の朝刊は特に悪い。この日だけ特に悪いのは毎日新聞社の社内事情があることだらう。国民に公表すべきだ。それが報道機関の務めである。此の日は一面の二番目の
未来 党分裂を発表といふ見出しの記事で嘉田新党は結党から1カ月で、党首を追い出す形で分裂した。直前の衆院選で得た民意を裏切る分裂は厳しい批判を浴びそうだ。
とある。普通に考へれば国会議員のほとんどを小沢派なのに党首嘉田氏、党首代行が嘉田派の飯田氏、といふ組織で更に共同代表に嘉田派より更に左の阿部智子女史では小沢派が怒るのは当然である。前にも述べたが私はエコロジー派だから本来は嘉田氏や飯田氏に近いし、エコロジーであるが故に購読してゐた「労働情報」誌に年頭広告を掲載した阿部智子議員には極めて近い。しかしこの人事は平衡が取れないから駄目だとすぐ判る。決して党首を追い出したのではない。嘉田党首と小沢議員は握手で分党を発表したから双方が伸びてほしいと本当に思ふ。ところが毎日(といふか特定の日に悪質な記事が多量に載る)新聞は
記者会見には小沢一郎氏も同席したが、ほとんど質問に答へなかつた。
これは偏向がひどい。小沢氏が指名されれば小沢氏が答へるし、普通の質問は党首が答へる。毎日新聞12月29日担当者はそんなことも判らないのか。最終ページの前のページ、いはゆる社会欄のトツプに
「未来の党 分裂」「裏切り」「やっぱり」「卒原発 投票者の思いどこに」と大きな見出しが並ぶ。(完)
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