二千九百八十八(うた)短編物語「トロツキーが後継者に」
乙巳(西洋地球破壊人歴2025)年
十一月十日(月)
第一章 レーニンの後継者
レーニンの死後、スターリンが後継となり、トロツキーを追ひ出し、亡命先のメキシコで暗殺した。更に、残りの幹部も次々に処刑し、スターリンだけが残った。
とんでもない男だったが、死後の1956年にフルシチョフによるスターリン批判までは、個人崇拝の対象だった。その理由は、西側諸国もひどかった。世界中を植民地にし、二回の世界大戦を行なった。
スターリン死ぬ迄批判されざるは西側諸国同じく悪し 帝国主義に
もし、スターリンではなく、トロツキーがレーニンの後継者だったら、世界はどうなっただらうか。それが今回の短編物語である。
第二章 レーニンと変はらず
トロツキーは、メンシェビキだったこともある。だからレーニンとの違ひを期待され、当初はその傾向を示した。しかし権力の地位に留まるうちに、レーニンと変はらなくなった。と云っても、後世のスターリンとは全く異なる。それなりに機能し、期待に応へた。
第二次世界大戦が起きても、ソ連とドイツは平穏だった。スターリンは、個人崇拝と粛清を併せ持つ。それはヒトラーも同じなので、互いに黒い腹の内を読み合ひ、戦争になった。
対するトロツキーは、まったく人格が異なる。理想主義の一面も持つ。これなら裏切ることはない、とトロツキーとの戦争は行はなかった。ドイツは、ソ連と戦争をしなかった分、英米との戦争を有利に進めた。とは云へ、国内にトロツキー支持の労働運動が起こり、ヒトラーを処刑し英米と講和した。
第三章 世界革命論
世界で共産主義の国家は、ソ連と中国だけだ。東欧は西側だし、朝鮮半島とベトナムはどうなるか分からない。そこでトロツキーは、世界革命論を実行した。これ自体は失敗したが、西側諸国は資本主義と社会主義の中間になった。
AI技術が進化し、将来を予想できるやうになった。するとスターリンが後継者になった場合も、西側諸国はこれと同じ状態である。つまり、トロツキーの世界革命論は役立たなかったが、一方でソ連国内では住民の暮らしが西側諸国と変はらず、この部分はスターリンと大きく異なる。
何よりベトナムは、トロツキーならディエンビエンフーでフランス軍とベトナムが戦って以来、戦争は起きなかったが、スターリンだとそのあとアメリカが介入し、戦争が再発した。朝鮮半島は事情が複雑だ。不確定要素が多すぎて結果が大きく変動する。スターリンだと、共産主義国家が、世襲制の王国になってしまふ、とする結果さへ出た。
あとスターリンだと死後に、カンボジアで虐殺が起き、それを巡って中国とベトナムが戦争を始める、と云ふ突拍子もない結果も出た。そのやうなことはあり得ないので、これはAIが未完成のためだらう。誰もが、さう思った。
世の中は一つ違ふとそのあとがすべて異なる人生も同じ(終)
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