二百九十五、埼玉縣内の或る地域勞組の定期大會

平成二十四年
七月二十九日(日)「定期大会」
昨日はSユニオンの定期大會に来賓として参加させていただいた。Sユニオンはたまたま五年くらい前に高沼用水(見沼代用水西縁の分水路)を調べた帰りに旧中山道を散歩してゐて組合事務所を見つけた。組合名は聞いたことがあつたので事務所のドアを押したが休日で閉まつてゐた。
その翌年の全労協メーデーで、Sユニオンの旗を見つけた。(この当時私の所属する労組は連合に加盟してゐたが個人では全労協のメーデーにも参加した。)
早速S労組の旗の近くの人に話かけた。組合事務所にぜひ寄つてくださいと言はれた。しかし立ち寄る機会のないまま年月を過ごしてしまつた。今回やつと約束を果たすことができてよかつた。(厳密にいふと私が訪れたのは大会会場の浦和市民会館なので約束を果たしてゐないが)
最近Sユニオンに群馬県内の日系ブラジル人からの労働相談が多く、K委員長は休日に群馬県内を飛び回り労働相談をしてゐるといふ活動報告があつた。K委員長の活躍には本当に頭が下がる思ひである。

七月三十日(月)「全労協全国一般」
大会の雰囲気が何となく二十五年前の総評全国一般東京地本北部地域支部に似てゐた。それはその筈でSユニオンは北部地域支部(三多摩、板橋と合併して東京労組)から分離した。二十五年間の違ひを探すと当時の大会は社会党の都会議員、区会議員が来賓として参加した。今回の来賓は最初は私だけだつた。月とすつぽんの違ひがある。大会の終る直前に我々の組合とは兄弟組合のN労組の委員長が来た。
大会が終つたあとの懇親会には中小ネツト、全労協全国一般、北関東ネツトなど労働運動の大先輩ともいふべき人たちが多数来られた。といふことは私も懇親会だけに参加すればよいのだが、他の組合の大会は参考になる。私の所属する労組の改善点も見へる。
Sユニオンの組合名は正式には「全国一般」が付く。しかし全国一般には所属してゐない。しかし全労協全国一般の関係者たちが多数来る。この大らかさは貴い。全労連も見習ふとよいと思ふ。一方の連合は労働者のために日夜奮闘する熱心さを見習つてほしい。

七月三十一日(火)「組織内候補」
来賓議員は来なかつたが、執行委員の女性市会議員が一人ゐる。元幼稚園教師でかつては各種学校専修学校労組協議会でも活躍されたので私も共通点が多く、親しくお話を伺ふことができた。今回の大会でもう一人別の市に組織内候補者を立てることが決まつた。男性の執行委員でぜひ当選し、市制改革にがんばつてほしい。
総評、中立労連、社会党が駄目になつたのは組織内候補が既得権化したことである。中小労組が市会に議員を送るのはよいことだ。既得権を破壊するからだ。しかし大組織の場合は本来の目的を忘れて組織の利益だけを図るようになる。今回の消費税増税騒ぎでの古賀(電機連合パナソニック労組出身)のみにくい言動がいい例である。あと、組織で自分が後釜を狙つてライバルを議員に転出させるといふこともあつた。例へば連合(民間先行時)結成時の会長は竪山で、官公労合併後は全電通の山岸か電機の藁科かと言はれたが、藁科は社会党の参議院議員になつた。そして山岸が連合会長になつた。藁科はその後、社会党分裂時に民主党へ行き、前原に近く社会党右派より悪かつた。
労働組合は中小が中心にならなくてはいけない。といふか大企業も企業別をやめれば中小と同じ立場に立てる。今回の古賀のみにくい言動を機に日本の大労組は変革すべきだ。さうしないと既得権にしがみつくだけで一般国民に有害な存在となる。

八月一日(水)「国労の話題」
Sユニオンの大会には国労高崎地本からメッセージが来た。私の所属する組合も分裂前はメツセージが来たが分裂後は来なくなつた。分裂前は連合所属、分裂後は全労協系である。といつて高崎地本が連合系といふ訳ではない。単に機械的に毎年送つてゐて分裂後に移転先の住所を高崎地本に連絡しないから来なくなつただけである。
北関東ネツトの来賓は高崎地本なのでいろいろお話を伺つた。定年前は電力区に所属されてゐた。「水銀整流器は直流を交流に戻すことができるのですか」「変電区と電力区の関係はどうなつてゐるのですか」「昔、東京鉄道荷物の関係で隅田川駅で年末のアルバイトをしたことがあり、首席助役、小荷物総括助役、小荷物助役とゐましたが総括助役といふのはどういふ位置付けなのですか」など質問した。
回転変流機といふ言葉も飛び出した。さういふものも過去にはあり、これは直流を交流に変換することが確実に出来た。高崎地本の管内には碓氷峠があるから直流を交流に戻すことは重要である。

一ケ月前のオルグ塾で、講師の一人は国労出身で地区労にゐた関係から総評解散後は連合に所属した。決して連合が悪い訳ではない。悪いのは消費税増税に賛成する電機連合パナソニツク労組出身の古賀のような連中である。この方の所属を伺つたところ「ふくおかこうえき」と言はれた。私は「福岡公役」かと思ひ、さうか福岡要員機動センターかと思つた。翌日になつて福岡港駅だと判つた。香椎から分かれるとも言はれたのでその時点で気が付かなくてはいけないが福岡港駅があつたとは夢にも思はなかつた。

八月四日(土)「中小政策ネツト」
かつて全労協全国一般が中心になり、失業者対策事業として鶯谷駅近くにリストランといふレストランを開業したことがある。莫大な赤字を出して倒産した。マスコミに乗せられたといふ意見も多い。ささやかな老後の預金を出資した人もいて、借金は中小政策ネツトが予算の一部を回して返済し続けて既にほとんどを返済した。なぜ中小政策ネツトが返済するのかといふ問題はあるが、どこかが返済しなくてはいけない。倒産したのだからカネは戻らないよ、といふのは新自由主義の論理である。労働者の団結組織なのだから返済を続けたといふのはよい話である。
我々の労組が一昨年に分裂したときにまつ先に所属したのが中小政策ネツトである。今回の労働契約法改正案では中小政策ネツトが先頭に立つて各党の国会議員を訪問し問題点を説明した。
インターネツトでリストランを検索してももはや出てこない。やつと一件見つかつた。国鉄争議団最年長の佐久間さんの書かれたものだつた。
5月に入り連続的に上映会が行われた。まず俺の職場があった神奈川で11、12日と2日間連続上映。18日が東京の目黒。鶯谷にあったリストランでも下旬に連日上映。25日には地元大田区で世話になっているデイベンロイ労組。

デイベンロイは工場閉鎖で今大変な騒ぎである。私も二回支援集会に参加した。争議や支援集会にどんどん参加するのはよいことである。さうしないとKホテルの解決金搾取騒ぎのようにみにくい結果になる。われわれは示談屋になつてはいけない。これは多くの組合関係者が口にする言葉である。(完)


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