二百七十四、ブラツク企業に立ち向かふ仲間たちの集會

平成二十四年
五月十九日(土)「都勞委元勞働者委員水谷氏」
昨夜は文京區民センターで「ブラツク企業に立ち向かふ仲間たちの集會」が開かれた。日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)、ネツトワークユニオン東京、首都圏青年ユニオン、新聞勞連、全國一般東京南部による實行委員會が主催し、参加は約200名であつた。この集會は参加するかだうか迷つた。マスコミの取材に應じたら實質解雇の阪急トラベルサポートの契約添乗員、東北大震災の後は實質解雇のすき家仙薹泉支店など労働紛争に頑張る仲間達の貴重な争議報告である。時間が許せば幾らでも聞きたいが人生は時間が限られすべきことは多い。今回参加したのは次の理由による。
1 A副委員長は組合分裂以來、心勞が重なり脳出血で倒れた。回復が著しく友誼組合との交流にも力を入れてゐるから我々も應援すべきだ。
2 第二部では、都勞委の斡旋委員であり元勞働側委員である水谷氏が對談される。私の都勞委申立事件も、最初の勞働委員が病氣になり、途中から水谷氏が担当となつた。これは万難を排して出席すべきだ。
3 水谷氏と対談する新聞勞連委員長が、小澤報道と消費税増税報道で明らかになつた大手マスコミの偏向にどう発言するか。新聞社上層部と新聞勞連は違ふから批判なり賛成なりしないほうがよいと思つたが、東海林委員長はその期待に答へてよかつた。
4 主催者に名を連ねる首都圏青年ユニオンとはどういふ組織か興味があつた。

五月二十日(日)「新聞勞連は新聞社に、東電勞組は東電に對抗するためにある」
今回、辞書を使はずどこまで正字体が使へるか試さうと思ひ立つた。だから「当」や「体」のように判らないものは略字のままである。「文」や「社」のように正字が出ないものも略字である。
小澤報道と消費税増税報道で大手マスコミの偏向が明らかになつたが、それは新聞勞連の責任ではない。大手マスコミの偏向を批判する立場と新聞社と對抗する新聞勞連は同じ立場である。
これは東電と東電勞組と同じである。今年のメーデーはデモ行進のあと最初の案では、全國一般といつしよに東電本社前の原発抗議集會に参加しその後リネンサプライ工場閉鎖反對集會にも参加の予定だつた。東電の原発抗議集會には参加しないことになつたが、参加したとしても問題はなかつた。中勞委の勞働側委員は東電勞組出身だが、東電勞組は東電と對抗するためにある。抗議集會参加者と東電勞組は同じ立場である。
東電と東電勞組が同じ立場だと思ふ人は、東電勞組は勞組ではないと思ふに等しい。

五月二十二日(火)「勞働情報誌」
集會では水谷氏が勞働情報誌に勤務してゐるといふ話があつた。私が労働運動に係はるようになつたのは勞働情報誌の影響が大きい。偶々二五年くらい前に或る図書館の雑誌コーナーに勞働情報誌があり(寄贈だつた)読んでみた。当時は発行人が清水慎三、編集人が市川誠だつた。公害問題の一人者の宇井純氏もしばしば登場した。
勞働運動や社会運動に参加するきつかけは人によりいろいろあるが、私は環境問題であつたる。昭和40年代にこのまま行けば地球が滅びることは判つた筈だ。
その後、清水氏が亡くなり総評元議長の市川誠氏が発行人となつた。太田薫、岩井章、市川誠の3氏は勞研センターを作り総評解体に反対したが、今の聨合はさういふことも知らない人が多くなつた。

五月二十三日(水)「勞働者委員の大改革を」
勞働委員會に申し立てる事件は勞働組合を不当に扱ふ不当勞働行為事件である。ところが大手組合は不当労働行為なんか五十年以上受けてゐない。だから勞働者委員は實際に不当労働行為の被害を受けた組合から選ばないと駄目である。
大手組合には大手組合の、中小組合には中小組合の役割がある。

五月二十五日(金)「改善点」
水谷氏が参加され、全勞連系の労組とも共闘した。實行委員會には心から敬意を表するが、誉めるだけだと進歩しないから改善点を述べたい。
終了時刻は守るべきだ。バスの終車や翌日の勤務など事情のある人も多い。どうしても話さなくてはならないことなら時刻を過ぎても話すべきだが、それ以外は省略する臨機應変が必要である。それとは別に、話した内容を費やした時間で割つた密度の向上に努めるべきだ。とかく労組関係者は大量に話さうとしがちだが、それだと密度が減少する。
現場報告と対談以外の発言者では、青年ユニオンの話が最も有意義だつた。「團結がんばろう」のやり方が特によかつたからだ。今は出来ない人も多い。しかしやり方の前の話が長かつた。時間当りに話す内容には聴衆を退屈させない熱意も含まれる。その心配りがあれば労組の組織率は今後向上するだらう。だから私も首都圏青年ユニオンに気配りをして、最も有意義だつたと思ふ。
今回試しに正字体を用いたのはよかつた。活用語の正かな遣ひだけより重厚感が出る。しかしパソコンで正字体を打つには普通の十倍は時間が掛かる。時間で割ると数値が激減する。(完)


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