二百六十一、実効ある有期労働規制を求める4・25共同集会

平成二十四年
四月二十五日(水)「全労連、全労協の共同集会」
本日は全労連、全労協の組合などによる「実効ある有期労働規制を求める4・25共同集会」に参加した。共産党系と旧社会党系の共同集会は総評が解散して以来ではないだろうか。
「全労連、全労協の組合など」の「など」に私の所属する組合も含まれる。私の組合はかつては全労協に所属してゐたがその後連合に行き、二年前の分裂後は全労協系の中小ネツトに復帰した。中小ネツトは全労協系組合の集まりだから改めて全労協に加盟はしない。だから我々は純中立で「など」に入る。とは言へ昨年に続き今年も全労協のメーデーに参加する。
「など」にはMICも含まれる。今回の集会は、開会挨拶が全労連事務局長、閉会挨拶が全労協事務局長、団結がんばろうがMIC議長だつた。私はMICが何の略か知らない。家に帰つてから調べたらマスコミ関係労組だと判つた。私は国売り(自称読売)、拝米新自由主義の朝日、小型朝日の毎日、中日は救ひようのない連中だと思つてゐたが、MICはまともかも知れない。

四月二十六日(木)「有期雇用と派遣を禁止しなくてはいけない理由」
有期雇用と派遣は禁止しなくてはいけない。その理由は普通の労働者が最下層ではなくなるからだ。最下層だから団結が認められる。この原則を崩すと労働組合は既得権精力となつてしまふ。
私が有期雇用と派遣の禁止を熱心に主張するため「有期雇用ですか」「派遣ですか」と聞かれることがある。この前の集会で実際に聞かれた。私は有期雇用、派遣ではないが、全労働者の団結が重要だ。有期雇用や派遣を認めたら、我々の世代はよいが子供の世代は大変なことになる。否、既になつてしまつた。

四月二十七日(金)「大阪市立大学名誉教授西谷敏氏」
集会では西谷敏氏の記念講演があつた。
法律制定時に硬直的原則論(悪法反対運動)と現実主義といふ二つの偏向に陥りやすい。国会の議席と輿論に合はせて最善を勝ちとるべきだといふのが西谷氏の主張である。衆議院選の前までは民主党などが過半数を制してゐた。それをひつくり返したのが菅直人である。
労働者派遣法の改正が不十分だつたのも、今回の有期雇用規制が今のところ不十分なのも菅直人が原因である。今でも輿論が民主党に冷淡なのは野田が原因である。労働組合こそ野田追放運動の先頭に立つべきだ。

四月二十八日(土)「入口規制と出口規制」
無期雇用が原則で、有期雇用には合理的理由が必要といふのが入口規制である。通算期間で制限するのが出口規制である。今回の案は5年だが、4年11ヶ月で雇い止めする事件が続発することだろう。出口規制の理由は、使用者側に使ひ勝手の悪いものにして、無期に誘導しようといふものである。
だから5年では長い。クーリング期間(一年契約は6ヶ月間を空けると通算が0に戻る)まである。不更新条項の禁止がない。不更新条項とは契約に「これを以て最後とする」と入れることである。契約しないと雇い止めに合ふ。契約すると次期に雇ひ止めに合ふ。実に悪質な条項である。
西谷氏は、つぶれても惜しくはない法案であり、本来は労組がやるべきだが、日本は法律の役割がヨーロツパより大きいと述べられた。議員を動かすには草の根運動が必要だとも述べられた。
日本の労働組合は大いに反省すべきだ。本来すべての組合を一度解散し新規に作り直すべきだ。有期雇用者であるかないかを問はず、良識ある国民は団結して非正規雇用を禁止すべきだ。

四月二十九日(日)「東京新聞」
「現場からの発言」では6人が登壇した。まづ東芝の子会社で契約期間3ヶ月を76回更新し事業所閉鎖で雇い止めになつた50代の男性、ダイキン工業で17年偽装請負だつた男性が大阪労働局の指導で直接雇用されたが、有期雇用で2年半働き雇い止めされた50代の男性が紹介された。
三番目に東京新聞の契約カメラマンが登場した。東京新聞の社説では非正規雇用を無くせと書いてあるではないか、と団体交渉でいふと「社説とはこういふものだよ」「ほかの新聞社もやつてゐる」と言はれた。そのとき私の後ろの席にゐた女性2名が「朝日だよ」と言つた。朝日新聞は新自由主義の船橋洋一を主筆にして以来、とんでもない新聞になつてしまつた。

四月三十日(月)「中小労組と全労連の違ひ」
私の所属する労組は中小企業が多いし、労組が加盟する中小ネツトや地域ネツトも中小企業が多い。だから今回初めて全労連と共闘して強く感じたことがある。それは全労連が終身雇用を受け入れてゐることである。全労連は公務員や医療関係が多いからそのことに自身も気付いてゐないと思ふ。
地方自治体の非正規雇用労組の専従役員が、公務員は雇用ではなく任用といふ行政行為だが、民間労働者の解雇権濫用法理(東芝柳町工場)を活用して「雇止め」を阻止してきた、と発表した。或いは別の人の発表で、正規雇用はそれだけの手続きで雇用されるが非正規は手続きが簡単だから雇止めも容易だと判例があると述べた。無論これは判例を紹介したものであり判例に賛成といふものではないが、制度そのものへの批判が2人ともなかつた。
マルクスが分業こそ搾取の原因と述べたのは正しい。あまりローテーシヨンを頻繁にすると効率が低下するが、適度のローテーシヨンは必要である。かういふと私が中小企業だからローテーシヨンを主張するのだらうと邪推する人がでるから予め述べておくと、私が転職権を主張したのは富士通労組時代である。労働者が不利にならないで簡単に転職できる世の中にすることは、世の中の創造性を高めるとともに、経営者、労働者の双方の利益になる。

五月一日(火)「資本主義の欠陥を修正する方法」
資本主義最大の欠陥は失業者が出ることだ。失業者は弱い立場だから非正規雇用でも応じざるを得なくなる。失業問題を解決すれば非正規雇用問題は自ずと解決する。
大企業は財閥解体で既に社会主義化されてゐる。農村も農地改革で社会主義化されてゐる。あとは中小企業と失業者の対策を立てればよく、大企業関係者が反対する理由はない。これが資本主義の欠陥を修正する唯一の方法だし、これは社会主義でもある。つまり資本主義者と社会主義者を分類する必要はない。(完)


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