二千五百十九(うた)ジュニア版古典文学 源氏物語
甲辰(西洋未開人歴2024)年
十月十八日(金)
「ジュニア版古典文学 源氏物語」を読み始めたが、どうも好きになれない。そればかりか、中に埋め込まれた歌も好きになれない。この本はこのまま返却かと思はれたが、末尾の「解説 『源氏物語』の世界」だけは読むことができた。
律令政治とはいえ、実際はごくわずかの支配階級である貴族だけが政治を動かしていた。(中略)貴族者たちは役人としての自覚をすっかり失ってしまい、実際の役所の仕事は下級の役人にまかせて、自分たちは年中行事となったいろいろの儀式や遊びなどに参加することで日々をすごしていた。地方の大衆との結びつきはまったくなくなってきた。紫式部の父・為時のように、地方官として、赴任する中級・下級の役人のほかは、平安京のうちにとじこもり、春は花、秋は月と四季のうつり変わりを賞し、官位が昇進することや遊ぶことに心をかたむけていたのであった。

古今集がつまらなくなったのは、これが原因である。
古今集堕落貴族と共に在るつまらぬ歌はそれが理由か


藤原氏は(中略)土地の管理を地方の領主や庄官にまかせ、収益の何分かを都にいながら徴収する(以下略)

ますます古今集がつまらなくなる。紫式部には
惟(のぶ)則(のり)という兄がいた。

大河ドラマでは弟である。式部の結婚生活は二年で、夫が突然亡くなる。このころの歌に
消えぬ間の身をも知る知る朝顔の露とあらそふ世を嘆くかな
(訳略)
この歌では亡くなった夫を直接には詠んでいないが、夫をなくしたことで、人間として生きていく真実の姿をじっと見つめようとする式部の姿がうかがわれる。

同感である。大河ドラマでは式部と道長の不倫と云ふ安直な設定にしてしまった。
紫式部は(中略)道長の娘で、一条天皇の中宮(中略)に仕えることになるが、宮仕えにでる前に、すでに物語は書きはじめられていた。

これも大河ドラマは変だ。
著者は熊本大学付属中学の教員を経て熊本県教育庁の職員。アララギ会員。源氏物語五十四巻の中から、中学生に興味がありさうな十巻を抜き出した、とある。今までのジュニア版古典文学は、著者が高校教員だったが、今回は中学教育関係者。
その差は本文がつまらなかったこととは関係ない。源氏物語は本当につまらない。その理由は、貴族の物語だからだ。(終)

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