二千三百四十五(朗詠のうた)悪質記事『職場の「働かないおじさん」を辞めさせるたった1つの方法』
甲辰(西洋未開人歴2024)年
五月二十一日(火)
ダイヤモンドのホームページに
『職場の「働かないおじさん」を辞めさせるたった1つの方法』
と云ふ悪質な記事が載った。まづ題に「たった一つの」が入る記事は、悪質なことが多い。次に前文
とかくネットで話題になる職場の「働かないおじさん」。働いていないのに、なぜ会社をクビにならないのか? 弁護士に素朴な疑問をぶつけてみた。
企業は指揮命令で働くので、働かないのはその上司が悪い。次に弁護士を登場させて、如何にも公平を装ふ。しかし弁護士は
「大手企業と中小企業で状況はだいぶ変わります。大手企業では、労働組合・世間の監視が厳しいので、まずは退職金の大幅な増額などを前提に『キャリア支援プログラム』などが会社側から提示されることになります」
法律は、大企業と中小企業の適用に差が無いから、ここまで読めば、中小でも大企業と同じに出来ると気付かなくてはいけない。ところが
「中小企業の場合は、弁護士に委任するなど法的手続きを進める人は少ないだろうことを見越して、かなり強引な解雇や減給などが実態として広く行われています。ひどいことをしても、マスコミに取り上げられることもなく、(以下略)」
これを、強引な事をしてもよいとダイヤモンドの記事を書いた人は取るらしい。弁護士は
「実務上、いきなり解雇を検討する経営者はさすがに少なく、『基本給は下げられない』『ボーナスはかなり自由に増減できる』『手当の削減はグレーゾーン』ということを念頭に入れつつ、税理士・社会保険労務士・弁護士らのアドバイスを踏まえた『人件費の削減』を何とか実現しているのが良くも悪くも日本の会社の実情です」
かういふことをやれとは言ってゐない。しかし悪徳税理士・悪徳社会保険労務士・悪徳弁護士を使へと取る人はゐるだらう。
「会社の持つ『賞与査定権』と『人事権』は強大で、このパッケージに労働者が1人で対峙するのは非常に困難です。会社側と労働者側を比べると、資金力の差が圧倒的なパターンが大半です。会社側は弁護士などの専門士業や再就職あっせん業者に簡単に100万円、200万円といった単位で資金を投入できます」
「一方、労働者側はそうはいかず、成果金・成功報酬などで採算を取ろうにも勝てる見込みが微妙なケースも多い。地上波テレビや大手新聞で派手に広告する法律事務所でも、こうした労働サイド案件は敬遠されがちです」
逆に中小企業は会社もそれほど資金を投入できない。そのことをこの記事を書いた人は気付かないらしい。
「そこで労働組合の登場となりますが、組織率・組合員数いずれも長期低迷の状況が続いており、組織率が比較的高い大規模工場の組合幹部ですら、『ストライキ(団体行動)が憲法28条に定められた権利であり、刑事免責・民事免責などがある』ことを知らないといったことがよくあります」
それは大手の場合だ。大手組合に、中小労働者が加入させてくれと言っても門前払ひだ。そんなところの話と混同するとは驚く。記事は最後に
「働かないおじさん」は、案外あっさり退職させることができるようだ。非常に驚いた。
小生は、あっさり退職させることはできないと読んだ。どう読むと「あっさり退職させることができるようだ」になるのか不思議だ。
世の中の目を気にせずに文(ふみ)書くと 醜き人と思はれる 辞めさせられるあっさりと思ふ人こそ あっさり辞めよ
反歌
働く場上が云ふのを従ふに働かざるは上に訳あり(終)
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