二千三百三十八(朗詠のうた)旅と鉄道
甲辰(西洋未開人歴2024)年
五月十九日(日)
宿泊する鉄道一人旅は、三年半ぶりだ。前回は六十五歳以前だったので、ジパング倶楽部ではなかった。もう一つ大きな変化があった。鉄道への興味を消失した。今鉄道を調べるのは、国鉄時代それも貨車を全国に輸送できた時代の痕跡を調べるためだ。それは三年半前も同じだが、あのときはまだ痕跡があった。今では、鉄道が旅の手段に過ぎなくなった。
だから速いほうがいい。そして新幹線にばかり乗るやうになった。岡山から新倉敷迄在来線に乗り替へたのは、単に新倉敷での待ち時間を短くするためだった。三年半の変化は、JR東から客車がほぼ消滅した。また五年前から和歌を作り始め、三年前から良寛を調べ始めた。このことも大きい。
草枕目指すは旅に 乗り物は目指すに非ず床の下力持ちにて目立つことなし

反歌  旅先と旅のどちらを目指すのかこれは二つの考へがあり
今回の旅の次を最後に、ジパング倶楽部旅行は終はりにしようと考へた。それは梶原いろは亭に毎月何回か行かうと考へたからだった。今回の旅ではなく、その次なのは、新倉敷でジパング切符を購入しJR西日本についても調べようと思った。
新倉敷は十一時から十五時半まで、みどりの窓口を閉める。みどりの券売機プラスが設置してあり、これはJR東の話せる指定席券売機と同じだ。最初は、帰る日は十一時前だからみどりの窓口で買はうと考へた。しかしそれだと時間が無いときに一本待たされるから、着いた日にみどりの券売機プラスで購入した。
購入後に改札でスタンプを押してもらふと、新倉敷駅は01だ。改札に訊いたら、窓口の番号ださうだ。これでもう一回JR西で購入してみよう、となった。ジパング倶楽部は国鉄末期に作られた。だから調べる価値はある。これでジパング終了が延びた。
ジパング倶楽部の欠点は、「のぞみ」の特急券を購入できない。乗車券は割引きになるから、特急券は全額支払ひでもいいや、と考へる人もゐることだらう。小生は、名古屋から先へ行くことすら気が進まなかった。今回だけ特別のつもりが、もう一度JR西の管内へ旅行することになった。行くとすれば大阪か。
浪花にて浪花節観る時合へば いざ大阪へ母泊まり妻と妹空の外へと

反歌  船行かば海の外へと飛び行かば空の外へとはや離れたり
妻の延期した海外旅行のときに母を短期宿泊させるので、このときが大阪へ行く機会だ。「船行かば」は「海行かば」の本歌取り、「飛び行かば」は飛行の掛詞、「はや離れたり」は鉄道唱歌の本歌取り。(終)

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