二百二十一、日本で最も劣悪な宴会場

平成二十三年
十二月十日(土)「最悪の宴会場」
昨日、職場の忘年会が池袋西口であつた。ところが宴会場が最悪だつた。私も成人してから三五年間、多数の宴会に参加したがこれほどひどいところは見たことがない。
二時間飲み放題である。ところが次を注文しようとカウンタに行くと「コツプを持つてきてください」と言はれる。私はうまく対処するが、或る参加者は「どのコツプだつたかなあ」と飲み終はつて放置された誰のか判らない二十個くらいのコツプの一つを指差す。店員だつて「たぶん別の人のだらう」と思ふがそのまま事務的にビールやカクテルを入れる。
そのやうな光景を三回見た。私は店員指導係ではないから常時カウンタの前に立つてゐるわけではない。あちこちで歓談をする合間に通るだけだ。といふことは本当は五十回くらいあつたのだらう。店員が「コツプを持つてきてください」と参加者にいふとき丁度前を通りかかつたから、「客に対してその言ひ方は何だ」とカウンタを一回叩いた。
昭和四〇年代にオイルシヨツクがあつた。労使の団体交渉で「もつと上げろ」と机を叩くと千円上がつたそうだ。一叩き千円である。 この宴会場の場合、最初に店員が「コツプは省エネのため再利用します。持ってきてください」と言へば、皆が喜んで協力する。なにも言はないから普通の宴会場のように毎回新しいコツプなのだらうと参加者は考へる。
ここで思ひ出すのはペンシヨンである。経営者は世話好きといふか話好きといふか、団体で泊まると宿泊客にいろいろ指導する。二五年くらい前に職場の旅行で富士五湖周辺のペンションに泊まつた。そのペンシヨンだけかと思つたが、「ペンションの経営者は皆、理想主義者だが奥さんが疲れてゐるように思へた」といふ新聞の投書を目にして、なるほどと思つた。ペンシヨンほどはできなくても客と意思疎通を取るべきだ。

十二月十一日(日)「違法行為は小さいうちに解決」
厚生労働省と保健所は、こんなコツプ使い回しは取り締まるべきだ。違法行為は小さいうちに解決しないと大変なことになる。
十八年前に私の勤める会社では、池袋の女子事務員を新宿の本社を通り越して横浜事業所に転勤させる命令を出した。その女子事務員はすぐ退職した。本社の総務部長を十人くらいゐた営業部長を増やして転職させ、実態は部下のゐない営業員で売上高、売上高と毎週言はれて数ケ月で退職した。こんな経営を放置したために、その後、私の所属する組合は中労委に申し立てる騒ぎになつた。

十二月十二日(月)「デユアル忘年会」
職場の忘年会の翌日は子供の学校のPTAの忘年会もあつた。二日連続、コンピユータの用語でいふとデユアルコアである。会費が四千円で飲み放題。料理も次々に出た。
それに比べてあの宴会場はいったい何だ。料理はまづサラダ(一人当たりパセリ二枚とジヤガイモサラダ三十グラム程度)。その後ずつと出ないので誰かがカウンタに苦情をいふとカウンタは「順番に出ます」と答へた。
実際はかなり経つてから一人当り鳥のから揚げ一つとフライポテト二本出た。それかなかなり経つてスパゲテイが一人当り二十グラム程度。これだけである。
費用はたぶん一人五千円程度で七十人。給料から強制で天引し会社からは一円の補助もない親睦会費から払われるから正確な額は判らない。PTAの忘年会と比較すれば二千五百円の価値しかない。ひどいぼつたくりである。池袋警察に相談したほうがよいくらいだ。

十二月十三日(水)「池袋消防署」
この宴会場をインターネツトで調べると「貸切可 :30名様~60名(立食時90名)」と書かれてゐる。九十名入つたら満員電車なみである。入口で火事が起きたらどうするのか。池袋消防署は立ち入り検査をすべきだ。

十二月十五日(木)「悪徳商売を退治しないと良質な商売が滅びる」
最近街頭で、ビニールに入つたちらしを二つ折りにして手渡す悪どい商売が出てきた。英会話学校のチラシが多い。どこが悪質かといふと、二つに折るから通行人からはテイツシユに見える。テイツシユを渡すふりをしてチラシだけを渡す悪質なやり方である。
私は、要らないと言つて返すがほとんどの通行人はそのまま受け取る。ここに悪徳商法が永続する理由がある。悪質な宴会場も、同じ団体が二度と行くことはない。しかし新しい客を次々に一回づつカモにする。
悪質な商売には声を上げるべきだ。さうしないと良質な商売が滅びる。日本国民の欠点ともいふべき事勿れ主義が悪質経営をはびこらす。(完)


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