二千百五十六(和語のうた)メモ書き歌(曇天、乗り換へ、寒さ戻る、キョン、高層ビル、旅)
壬寅(西洋野蛮歴2023)年
十一月十日(金)
昨日より暑さ和らぎいつもの年に 今日の空雲が多くもまだ薄日あり

これは朝家を出るときの旋頭歌。
乗り換へに時が余りて店の街図(ゑ)を眺めると 北口の中にある街端の店背が南口外の壁 片側塞ぎ南口中のほとんど店今閉じる

反歌  南口中の店では拡げるの改め築きどう変はるのか
赤羽駅でエコキュートの図を見た。よく見るとエキュートだった。南口で営業してゐるのは改札外の僅か。残りは閉鎖し、面積を拡大中だ。拡げることで、店に来ることを目的とする人たちを集客する為だらう。長期では、北口内を南口内に拡張し、南口は廃止し南東口と南西口にするのがよいのではないだらうか。
あかねさす陽が弱まりて風は無く 穏やかな日に見えるとも 陽強き日より晴れざるは 空に限らず心も同じ

反歌  空の色心の色と連れ添ふは月満ちる日の心と同じ
曇天だと心が沈むと云ふ簡単な話で、うつ病など深刻な話ではない。満月の日は心が和む話を、満月の日に成道と深く解釈してもよい。
いよいよか 雲低くなり厚くなり 僅かに赤き陽の色が残るとは云へ 外に出て微かに雨が降り出すを知る

反歌  予め報せる空は雨が降るその如くにて驚きは無し
空に赤色が残るので、まだ降ってゐないと外へ出ると、降り出したところだった。
歌を詠む 心正しくする為に 心濁るを除く為 心乱れを止め保つ為

反歌  歌を詠む或る人心落ち着かせ或る人心動かす為に
反歌  歌を詠む仏の心神ごころよこしまを取り智慧が湧き出る
昭和四十年代に「指圧の心は母心押せば命の泉湧く」が流行った。二番目の反歌は、その本歌取り。

十一月十一日(土)
今朝からは寒さ現れ 冬立つの三日のちにて 体には慣れるの働きある故に 今朝の寒さに体驚く

反歌  冬立つの三日のちにて年ごとの寒さになりて暦に戻る
今まで夏日など暑かったため、体がそれに慣れてしまった。
うなる風夜明け前から吹き始め 今日も朝には大風に おとといの日は嵐にて 今日は木枯らし 初木枯らしか

反歌  木枯らしでたき火に当たる幼き日歌で馴染みも今たき火無し
反歌  たき火から出る煙には障りあるもの含む故燃やすこと無し
反歌  枯れ葉でも燃やすと星を暑くする誰もが分かりこれも訳あり
反歌  今の世は家に広がる暖かさ外のたき火に当たる人無し
三つ目の反歌の「星を暑くする」を解説すると、二酸化炭素を出すので暑くする。そのままにしても長い年月を掛けて土の中で多くが二酸化炭素になるが、感覚としては燃やしてはいけない。
木枯らしを過ぎて吹く風なほ寒く だが木枯らしを覚えるは 初の寒さにまだ慣れぬ故

反歌  ぬばたまの夜が最も長い日もその先にある大きな寒さ
反歌  吾妻はや東の武蔵雪積もる日の前にある水が凍る日
「木枯らしを過ぎて吹く風」とは、真冬の風だ。「大きな寒さ」とは大寒だ。「吾妻はや」は東の私的枕詞、「吾妻はや東の」は武蔵の序詞。武蔵に限ったのは、上野や下野は雪の積もる前に水が凍る日が来るし、安房や上総は水が凍らない地域が多いことだらう。
安房上総 獣に教へ見せる園 獣の群れが逃げ増えて 可愛い顔も草や実を食べて多くに障りもたらす

反歌  海の外棲む生き物を持ち込みて逃がした悪しき園今は無し
反歌  浦安に外の国より園作り行川と谷津大船閉じる
キョンが行川アイランドから逃げて大繁殖してしまった。谷津は谷津遊園、大船は大船ドリームランド。
池袋高きを超える楼が 今でも見える いそ年の昔に北はこれのみが のちに淀橋立ち並ぶまで

反歌  牢(ひとや)跡巣鴨の跡に楼が 一つの街を入れる先駆け
池袋の超高層ビルは、中に百貨店、飲食街、水族館なども含む。一つの街が入り、これは社会的責任を果たしたものと云へる(その後、事務所だけなど偏った形態の超高層ビルが出て来た。これは社会的責任を果たしてゐない)。
吾妻はや東概ね行き終へて 今は駿河と伊豆多し 越後に残る良寛の所縁ところに行くこともあり

反歌  越後では良寛所縁ところへと日帰り故に一つづつ行く
反歌  伊豆駿河越後の旅へ駆け巡る武蔵上野相模と信濃
最後の歌の後半は、出発地と経由地。
次の旅 下田富士見に地蔵堂昼から浦佐 富士見では左千夫がかつて考へた公の園 地蔵堂良寛所縁 思ひは巡る

反歌  富士見へは佐久平より乗り換へに武蔵上野甲斐信濃へと
反歌  地蔵堂武蔵上野越後へと柏崎にてやや遠回り
反歌  下田へは武蔵相模を越し伊豆へ伊豆南へと東を走る
次回の旅行計画だ。最後に
目の前や心の中を入れ替へて歌作る時佳き歌出来る

旅で歌を詠む利点だ。(終)
(追記)木枯らしについて広辞苑第二版に従ったが、気象庁では
1:期間は10月半ば~11月末までの間
2:気圧配置が西高東低の冬型となって季節風が吹くこと
3:東京における風向が西北西から北
4:東京における最大風速が、おおむね風力5(風速8m/s)以上

を目安に決めるさうだ。そして本日は7.4m/sのため、第一号にはならなかった。小生は、広辞苑式第一号とした。

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