二百六、靖国神社参道のタイフエステイバル


平成二十三年
十月九日(日)「靖国神社」
昨日は靖国神社に行つた。と言つても東条英機を拝みに行つたのではない。タイフエステイバルが参道で開催された。本来は五月に代々木公園で開催されるはずだつたが、東北大震災のため一旦は中止が決まつた。その後世の中が落ち着いてきたので今回の開催となつた。
もつともタイでは五〇年ぶりの大洪水で大変な被害が出てゐる。進出した日系企業も生産停止に追い込まれてゐる。地球温暖化の影響である。今こそ世界は化石燃料の消費を停止し、それに反対するアメリカ合州国を十三州に限定させるべきだ。人類と全生物が滅びるかどうかの瀬戸際である。

十月十日(月)「外交官は英語を使ふな」
フェステイバルは在日タイ大使館の主催である。日本の現役か引退した外交官であらう。来賓を示す花を胸に付けた日本人が英語で主催者側と話してゐた。あれはよくない。英語で話すと西洋の考へ方で外交を行ふことになる。大使はその国の言葉を話す人を育成すべきだ。或いはその国の言葉を話す補佐官を常時付けるべきだ。
これほど通信の発達した時代にあつて大使はゐらない。その国の文化、人脈、人心に精通した専門家を配置し大使は廃止すべきだ。
アジア各国で申し合わせて一斉に廃止すればよい。

十月十一日(火)「歴史に不連続を作つてはゐけない」
船橋洋一が英語公用語を発表し小渕私的懇談会が英語第二公用語を発表し大手マスコミが小学生に英語と騒ぎたて東京の鉄道が次々に英語放送を始めた。このことから逆に「歴史に不連続を作つてはいけない」と思ふようになつた。明治維新以前では鎌倉幕府が最大の不連続と誰もが思はう。しかし源頼朝が鎌倉に作つたのは武家を統治する機構である。だから公領や荘園を尊重してゐた。決して不連続ではない。明治維新と先の敗戦は、今のままでは不連続である。

靖国神社には戊辰戦争の薩長側の戦死者が祭られてゐることを考へると、明治政府は薩長の作つた幕府だし、靖国神社は薩長幕府の施設だといふことが判る。そのことが判ると二つの不連続を修復することもできる。

十月十三日(木)「南京事件の解決」
南京事件は発生直後から噂で陸軍上層部には伝はつた筈だ。事情を調査せず関係者を厳罰にしなかつた責任は重大である。陸軍省の怠慢のせいで今でも南京事件と聞くと過剰反応を示す日本人が多くそれが逆に日中交流の妨げとなつてゐる。
陸軍省が解体した今となつては是正は不可能だが、せめて南京事件以降の陸相四名のうち靖国神社に祭られた板垣、東條は責任を取つて退去してもらふことで日本側は是正すべきだ。
靖国神社は広大な境内を無駄に使ふのではなく、少しは世の中の役に立つてほしい。

十月十五日(土)「第二の敗戦」
広大な森は無駄な土地ではない。生態系と神社景観のために十分に役立つてゐる。やたらと広い参道や広場や駐車場などは無駄である。靖国神社は九段下から坂を上がるべきだ。小泉純一郎ではあるまいし自動車で参拝するのはよくない。体の具合の悪い人はタクシーでもよい。
南京事件は第二の敗戦ともいふべき弊害を日本人の心に与へてゐる。それが世界平和に結びつけばまだ良いが、アメリカ賞賛に陥つてゐる。アメリカの同時多発テロは日本にも責任がある。日本が拝米だからアメリカは軍事力で制圧すればアジアは拝米になると道を誤つてしまつた。
南京事件を日本側から処罰することで第二の敗戦を乗り越へるべきだ。

十月十六日(日)「敗戦前後のタイ」
タイは親日的な国である。先の戦争では東西の国境を挟んで日本軍とイギリス軍が対峙し中立を表明したが、日本軍はイギリス軍攻撃のため一方的に侵入した。
タイはそのため日本とともに米英に宣戦布告し、日本の敗戦のときは宣戦布告取り消しで切り抜けた。外交上手である。

ミヤンマーは日本で訓練を受けたアウンサンなどがイギリスと戦つたが、日本の敗戦直前にクーデターを起こし日本軍を攻撃した。これはやむを得ない。イギリス領で日本と共に戦つたのだから戦後は死刑であらう。形だけでも日本と戦う必要があつた。
辻政信など日本軍はミヤンマーからタイに避難したが、タイもいつ日本に叛旗を翻すか常に心配したことが著書「潜行三千里」に書かれてゐる。しかしタイは最後まで裏切らなかつた。政府高官も安心するよう日本側に言つた。
タイのこのときの信義に日本は今でももつと留意すべきだ。

十月十八日(火)「第二の敗戦はなぜ解消すべきか」
第二の敗戦を解消すべき理由は、一つには日本人の過剰反応がアジア交流の妨げとなる。二番目には人類史上三大犯罪の一つ、原爆にまでニヤニヤ追従笑ひを浮かべてしまふからだ。
人類史上三大犯罪とは、一つにはアメリカ大陸の先住民を滅ぼしたスペインとアメリカ、二つにはアフリカから黒人を奴隷として輸入したアメリカ、三つ目には人類史上初めて原爆を使つたアメリカである。アメリカが偶然に三つとも入つた。最初、五本の指に入る犯罪を考へたが一位と五位の差が大きい。次に二つにしようとしたらアメリカが両方に入つてまづいので三つにした。そうしたらやはりアメリカが入つた。いづれ地球温暖化による地級滅亡はアメリカの犯罪だが、それは未来の話である。
この人類三大犯罪の一つ、原爆に媚び諂ふのが日本である。今年は八月六日の広島原爆の翌日にリトルボーイ(広島の原爆名)のTシヤツを着たドラマがフジテレビで放送された。普通の国だつたらアメリカ大使館とフジテレビにデモ隊が押し寄せるであらう。

十月十九日(水)「原爆に諂ふもう一つの話」
日本能率協会の発行する「アーンドバリユーによるプロジエクトマネジメント」という書籍がある。それに次のような許し難い記述がある。
図5.2は、おそらく究極のプロジェクト・マネージヤーであるレスリー・グローブ中将がマネジメントした第2次世界大戦時のマンハッタン・プロジェクトついて想定したWBSである。(中略)立派なプロジェクト・マネージャーなら誰でもやっているように、グローブ将軍は(以下略)
この後に図5.2なるものが乗つてゐる。「原爆開発(ロスアルモス)」といふ長方形から線が下に出て「細身の人(銃方式)広島」「肥満の人(内破)長崎」といふ長方形に接続されてゐる。
こんな人類史上最悪の犯罪を載せるとは驚くばかりだ。日本能率協会は解散させるべきだ。

十月二三日(土)「遊就館」
タイフエステイバルでスタンプを三つ集めると抽選会が五時にある。時間があるので遊就館の特別展「スポーツと靖国神社」を見た。オリンピツク選手やその他我が国を代表する選手で戦死した人たちを展示してゐた。常設展は見なかつた。
出口のホールに零式艦上戦闘機と蒸気機関車のC56が展示してあつた。零式艦戦は見なかつた。見たからといつて東京大空襲や二つの原爆が取消される訳ではないからだ。

蒸気機関車は見た。戦時中に泰緬鉄道に使はれ戦後はタイ国鉄で使用された。操車掛が掴まる棒が撤去され、連結器とブレーキ管も日本とは形状が異なつてゐた。試しに操車掛の位置に添乗すると機関車前部は転落防止の手すりに何とかつかまることができる。後部は手すりがないから乗れない。タイの操車掛は運転台に乗るか地面から操車するのだらう。
本殿の前は合掌し一礼してから通つた。本殿の前を通るときは一礼するよう掲示板があるから従つたのだが、アジア式に合掌の挨拶に軍部に騙されたとは言へ大東亜の平和を信じて散つた英霊たちもアジア人が参拝に来たと喜んでゐることであらう。(完)


メニューへ戻る 前へ 次へ