千九百二十三(新和語、和語のうた) 左富士と右日の出
壬寅(西洋野蛮歴2023)年
西暦元日後一月十五日(日)(2023.1.15)
東海道を江戸から京大坂に向かって歩くと、富士山が左側に見える場所が何ヶ所かある。それと似た現象に、東北本線で赤羽から上野方面に乗ると、午前中に尾久駅の手前で太陽が右側にある季節がある。左富士ならぬ右日の出である。
東北本線は、概ね南北に走るから太陽は東京駅に向かって左側から上る。ところが尾久駅の手前は線路が大きく左側に曲がるため、十月十日から三月一日くらいまでは太陽が右側から上る。左富士ならぬ右日の出である。
陽の光右へ上るは珍しい 上野に向かふ鉄の道 赤羽のおく尾久の手前に

(反歌) 左富士相模茅ヶ崎二つ目は富士麓なる駿河吉原
最初、逆さ富士ならぬ逆さ太陽と思った。しかし、逆さ富士とは湖面に移った富士山のことだ。左右逆方向に見える富士を左富士と呼ぶところを見ると、この時代は既に京大坂名古屋より、江戸が中心だったのかな。描いた浮世絵師が江戸在住なだけかも知れない。
江戸の世に江戸から向かふ左富士お上の影は浮世絵に響く

枕詞、序詞、掛詞、縁語のほかに、現代に合った修辞法を考へた。「影響」を和語に分解して、「影」と「響く」を用ゐた。

一月十七日(火)
他にも右日の出が無いか調べてみた。埼京線(平行する東北新幹線も同じ)で浮間舟渡の少し赤羽寄りでも、十月十日から三月一日くらいまでは太陽が右側から上る。
尤も埼京線は東北線と比べて西側に迂回するので、それほどは驚かない。それより東北線も、実は東側に迂回する。どちらも荒川を直角に渡るためだ。距離では18.0キロと17.1キロで900メートルしか違はない。こちらのほうが驚く。
早走る新たな線は西側を廻り向かふは赤羽へ 東を向きて右日の出かな

(反歌) 引っ張りて離すと戻るばね仕掛け赤羽に向け西引き寄せる(終)

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