千九百十五(うた) JR東日本の話題
壬寅(西洋野蛮歴2023)年
西暦元日後一月四日(水)(2023.1.4)
JR東日本パスが3月2日~15日の利用期間で販売される。今回は二回目で、一回目は10月14日~27日だった。三日間で、JR東日本全線、青い森鉄道線、IGRいわて銀河鉄道線、三陸鉄道線、北越急行線、伊豆急行線、富士急行線、えちごトキめき鉄道線(直江津~新井間)。新幹線や特急の普通車自由席は乗り放題、指定席は4回まで、 大人2万2150円、小人1万150円。大人の休日倶楽部パスを一回り小さくしたものだ。
それを紹介するITメディアの記事は
新幹線も特急も乗り放題「JR東日本パス」が3月に再販決定! 前回の体験から「過酷な旅」懸念も?

「過酷な旅」とは、乗り放題なので早朝から深夜まで乗ることだらうと思った。ところが記事を読むと、第一回の時は週末に東北地方のホテルが満室になったさうだ。記事では
指定席の予約も、乗車1カ月前では比較的簡単に確保できていたものが、乗車日に近づくと全席満席の状態に。当日は自由席も混雑が激しく、在来線ではホームを埋め尽くす大勢の乗客の姿や、混雑による遅延が発生する様子も見られました。一方で新幹線は座席数自体が多く、臨時列車も運行されていたためか、在来線の混雑と比べるとまだ余裕があった印象です。

更に
日本海側を走る特急「いなほ」「つがる」など、普段はそこまで乗客が多くない路線でも当日には指定席が満席となっていました。そのため自由席に旅客が殺到し、発車30分以上前から待ってないと座席を確保できず、自由席だけでは足らずに指定席の通路まで乗客があふれている状況を目の当たりにしました。

小生が大人の休日倶楽部パスを使ふときは、混まない路線を選ぶ。JR東日本パスとは、客層が正反対(中高年と若者、平日と週末)なので、記事を読まないと「過酷な旅」の意味が分からなかった。
思へば青春18切符で旅行したときも、混む列車、混む区間があった。全車指定の夜行列車や、東北本線の黒磯郡山間、東海道本線の熱海静岡が印象に残ってゐる。これらを避け、利用期間が始まる直後を選んだ。北陸本線は一車両に乗客が小生だけで冷房が効き過ぎたことが印象に残ってゐる。
六十を過ぎて入会休日の倶楽部ミドルで のんびりとすいた列車で 着く駅は街ものんびり 鉄道と街と乗客皆が幸せ

(反歌) 六十五過ぎは倶楽部のジパングで東海道へ旅行始める

一月四日(水)その二
JR東日本は、通勤定期を1.4%値上げし、新たにオフピーク定期券を新設して10%値下げすると発表した。オフピーク定期券の新設はよいことだ。それによってピークを下げれば、必要人員と施設を減らせるからだ。しかし同時に1.4%値上げはよくない。JR東が経費節減のために行ふことに、一般乗客を巻き込んではいけない。
同じ話がもう一つある。バリアフリー料金として、切符で10円、通勤定期で1ヶ月280円(三ヶ月、六ヶ月は多少割引される)が加算される。このお金は、全額をバリアフリーに使ふさうだ。
JR東は、どちらも増収を目的とした改定ではないとするが、この主張はよくない。JR各社とも、コロナ禍で乗客が減った。その対策を優先しなければいけないのに、なぜ無関係だと主張することを優先させるのか。それは増収策だからだ。
コロナ禍で減収になったと云へば、乗客は納得する。それなのにオフピークで値下げするからJRは増収にならないだの、全額バリアフリーに使ふだのと、いいかげんな理屈でごまかすからよくない。
もう一つある。Business Journalのホームページに
JR東日本、突然にSuica未使用残高を「利益」計上→黒字転換し物議…苦肉の策か

が載った。未使用残高を利益に計上する一番悪い理由は、来年以降に使へないことだ。
このJR東日本の突然の方針転換には疑問の声があがる一方、資金調達や税制優遇などへの影響を考慮しての苦渋の決断だったと評価する声も出ている。そこで今回は、武田公認会計士事務所所長で公認会計士の武田雄治氏に、今回の決断の背景について解説してもらう。
(中略)Suica未使用残高を利益計上すること自体は問題ないのだろうか。
「それは特に問題はないでしょう。Suicaはデパートの自社商品券と同じです。そして通常、未使用の自社商品券は負債として計上されることになるのですが、一定期間以上、商品券が使われないと、負債を取り崩し、収入として会計処理することが慣行となっています。
ただ今回のようなイレギュラーな会計処理の変更に伴う収益計上は、特別利益として計上するのが一般的なのですが、今回JR東日本は(売上高に相当する)営業収益に計上しています。JR東日本は負債のSuica未使用残高を営業収益に計上したい理由があったのでしょう」(同)

そのとほりだ。特別利益なら問題はない。営業利益では、来年以降も同等の数字になると誰もが思ってしまふ。
JR東日本がそこまでして、営業利益に計上することにこだわった理由とは何か。
「一番はやはり資金調達対策でしょう。JR東日本の主要事業である運輸業の営業利益は21年度3月期から赤字になっており、仮に今年が赤字であれば3期連続でした。企業が3期連続で赤字になれば、金融機関の「債権者区分」(格付け)が「破産懸念先」へと格下げされる場合があります。(中略)苦渋の決断でSuica未使用残高を営業収益に計上したのではないでしょうか」(同)

さう云ふ事情なら、分からなくもない。要はきちんと説明することだ。

一月五日(木)
本日或る駅から電車に乗った。そして別の駅で京浜東北線に乗り換へようとしたところ、いつもより待たされた上に、南浦和行きではなく大宮行きだった。一月からダイヤを改正したのだらう。さう思ったのは、いつもの南浦和行きに乗らなかったとして、その次の大宮行きよりは待ち時間が短かったからだ。
家へ帰った後にインターネットで調べると、ダイヤ改正は三月だ。最初は狐につままれた思ひだったが、或いは最初の電車が遅れてゐたのではないかと気付いた。大宮行きの待ち時間が短く感じるくらいに、最初乗った電車は遅れたのだった。
この場合に、最初の乗車駅は無人駅ではない。なぜ遅れることを放送しないのだらうか。普段は放送するのに、たまに放送しないと、今回のやうなことになる。
車掌も遅れて運転してゐることを放送しなかった。これも、普段は放送するのにたまにしないから、今回のやうなことになった。
分割民営化されて三十年経過すると、国鉄より更に役所的になる。前にさう主張したことがある。小生がさう感じた理由は、駅長のなかで東京駅だけが執行役員だと知ったときだ。
たまたま東京駅の駅長が執行役員になったのならよい。東京駅の指定席だとすると、五百三十円高い。あ、これは特急券の話だった。さうではなく、上中里駅の駅長が執行役員になってもよいし、十条駅の駅長が執行役員になってもよい。東京駅固定だと、執行役員は責任職ではなく階級になってしまふ。
コロナ禍への増収策を見ると、やはり役所的との主張は正しかった。とは云へ、コロナ禍を好機として役所体質から脱皮することも可能だ。
国内の組織すべてに云へるのは 役職名は責任だ 権威名誉であってはならぬ

(反歌) 第二次の大戦にても陸海は権威名誉で敗戦となる(終)

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