千八百六十五(和語のうた) 経営者保証の制限
壬寅(西洋野蛮歴2022)年
十一月五日(土)
ニュースで、経営者保証を来年から制限する記事を読んだ。昭和四十年頃に実施すべきだった、さうすればあの悲劇は防げたのに。或る会社は赤字になり銀行からの借金が増えた。社長の自宅も担保に入った。その後、赤字は無くなったが膨大な借金が残った。社長は残りの取締役全員を部長に格下げした。これで会社がめちゃくちゃになった。
ここで「取締役全員を部長に格下げ」の表現自体が、まづ変だ。取締役は株主に対し責任を持つ立場で、部長は各部の責任者だから、取締役兼部長が部長になったのは、町内会で清掃当番を交代するのと同じで格下げではない。しかし日本のほとんどの企業では格下げと感じるだらう。この感覚を改善することが日本の企業にとり急務だ。
日経新聞のホームページによると
個人保証の慣行は高度成長期に確立されました。(中略)起業や事業拡大のための融資をする時に信用力を補うものとして定着しています。

役職の階層化と個人保証は、高度成長期に確立された。高度成長期ではない今となっては、廃止すべきだ。

十一月六日(日)
ではあの会社が経営者保証をしなくてよい方法とは何だったのだらうか。それは新株式を追加発行し、それを社内や関係者に売却することだった。これで借金のほとんどを返済できるし、発行株式を抑へて銀行から借金をする方法もあった。一人とその持ち株会社が50.1%を握って離さないやうな会社には融資はしない。株が分散し、株主は事業をよく知る人たちとなれば、銀行は融資を続けただらう。
ある男半ばを少し超える株持ちて亡くなり持ちて行かずに

中途半端が一番いけない。よく云はれる言葉だ。あの世にも手放さず持って行ってくれれば解決した。残したから騒動はその後も続いた。株の90%を持つならよい。50.1%を持つから、残りの49.9%の意見が無視された。

十一月七日(月)
日経の記事は更に
一度事業に失敗すれば失うものが大きく、再び事業にチャレンジすることが難しくなります。起業や新たな事業への意欲はあっても個人保証がその意欲を阻害する一因ともされています。

新規企業が次々に出れば、肩書にしがみつく階層企業も淘汰される。
さらに、日本の中小企業は経営者が高齢化しています。事業を引き継ぐ時、負担の重い個人保証を理由に後継者が見つからないといったこともあります。

この文章をみたとき、思はずうなった。ある会社は住友金属から来られた方が社長のときに、そのまま続ける話もあったさうだ。ところが借金も引き継がなくてはいけない。別の元取締役が云ふには、借金はすべて返済した。会長(前社長)個人の借金かと思ったが(前社長の持ち株会社は銀行からの借金で、店頭公開の折りにこの分を売って返済の予定だった)、今回の記事を読み、この分の個人保証だと気付いた。(終)

メニューへ戻る うた(四百四)へ うた(四百六)へ