千七百三十一(歌) 旅行や車で老後貧乏になってはいけない
壬寅(西洋野蛮歴2022)年
五月一日(日)
この半年間に、四回の旅行をした。総日数は十三日になる。このうち十二日は大人の休日倶楽部東日本パスで、一日四千円弱。残りの一日はジパング倶楽部でJR東海の熱海まで往復した。
十三日とも日帰りなのは、母がデイサービスから帰宅後に一人にしておくと危なく、妻はまだ六十五歳未満なので八時間勤務だ。宿泊費を節約しようと考へた訳ではない。それどころか前回の信濃二日越後二日なんかは、一泊すれば楽なのに、と思ったものだった。
尤も宿泊するなら、予算の都合で旅行は四回から二回に減る。お金を無駄に使ってはいけない。大人の休日倶楽部に入る前は、青春18切符で旅行した。一日二千三百円で五日。今は一日四千円で四日。昔のやり方を、年齢相応に多少改めただけだった。
旅に出て初めての街 美しい山と湖川や海 自然に帰り心も帰る

(反歌) 昔から続く街並み懐かしく心落ち着き当時に帰る

五月二日(月)
高齢者が気をつけなくてはいけないのは、(一)切符を紛失する、(二)東日本パスで東日本以外に乗る、(三)旅行パンフレットの高額ツアーに何回も参加する、の三つだ。
切符はかつての長距離用より小さい。硬券時代よりは大きいが、硬券は厚さがあった。あと他の動作を先にしてはいけない。切符は自動改札を出たらすぐ財布に入れる。その前にゴミを捨てようなどと考へると、ゴミといっしょに捨てたり、床に落とすことがある。自動改札では、切符が戻るので取り忘れにも注意が必要だ。切符をポケットに入れると、財布を取りだしたときに落とすことがある。
二つ目の東日本以外に行くとは、在来線の熱海駅で少し先まで行ってみようだとか、塩尻駅で木曽方面に少し乗らうと考へてはいけない。それらはJR東海だ。北海道新幹線の奥津軽いまべつ駅は、本州にあるがJR北海道なので、特に注意を要する。
三つ目に、大人の休日倶楽部とジパング倶楽部の小冊子と旅行パンフレットが毎月送られてくる。旅行専門家が企画しただけに高品質だが、値段の高いものも多い。たまに高品質のものに参加するのは良いが、毎回ではなく普段は手ごろな値段のものがよい。
事故が無く紛失も無く過労せず 土地の食べ物土地の酒 土地の香りを心身ともに

(反歌) 旅に行く心を豊かにするためだ高いだけでは豊かになれぬ

五月四日(水)
知らない街に行くことが私の旅だ。観光地に行くと、駅に着いたあとバスに乗り換へなくてはならない。今は本数が少ないから不便だ。
とは云へ、かつて一般周遊券で旅行した時代は指定周遊地を二ヶ所回るから、観光地に行くことは楽しみだった。グリーン往復割引切符(遠距離のときは指定席往復割引切符も)は寝台車に乗れたから、これもよく利用した。寝台車は早朝に着き、帰りの夜まで時間が有り余る。街の中と観光地を巡ることは必須だった。
青春18切符や大人の休日倶楽部パスを使ふやうになって、私の旅が変化した。そして昨年十一月(大人の休日倶楽部ジパングに入会した月)からは、母のデイサービス帰宅に合はせて、日帰りで四回旅行するやうになった。
お金がある人は高級な旅を楽しめばよいし、それぞれ自分に合った旅を楽しめばよい。年齢や周囲の環境によっても旅は変化する。そして百人が百人とも老後貧乏にはなってはいけない。旅行のし過ぎで老後貧乏と云ふ記事を目にしたので、今回の特集を組んだ。
百人は百種の旅で楽しもうそれぞれに合ふそれぞれの旅

書き終へる前に、題を見て車について書き忘れたことに気付いた。六十歳または六十五歳になったら、車は不要だ。老化は足腰からやってくる。
私は、上の子が中学生になる前までは、「独身貴族とその延長」で来た。その後は塾や学費で「中の下」かなと思ったが、そのうち「中の中」かなと思ひ、今では「中の上」だったと思ふ。その秘訣は車を持たなかった。経費が掛からないし、足腰が丈夫だから病気にならなかった。
還暦を迎へた人は車捨て歩き強めて健康になる

足腰で一言追加すると、かばんを肩から下げてはいけない。かばんが軽くても、ひざと腰に来る。私は手で持つだけではなく、肘を少し曲げる。手の運動にもなる。(終)

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