千六百八十七(歌)(モリカケ桜疑獄二百十三の三) 佐渡金山
壬寅(西洋野蛮歴2022)年
ニ月二十三日(水)
ABEMA TIMESのホームページに
橋下氏「安倍さんや高市さん、“歴史戦”を主張する人たちは、韓国と揉めれば揉めるほど世界遺産登録が難しくなることを国民に説明すべき」

が載った。橋下さんは
安倍政権が(中略)ユネスコ改革をやった。(中略)みんなの合意が取れたものだけ登録するというコンセンサス主義を日本が強化したわけだ。(中略)韓国と論戦するのはいいが、紛糾すれば登録できないという話にもなってくる。(中略)そのことを国会議員たちに聞いてみると、知らない人がすごく多い。ただ、“歴史戦”という論戦に勝利して、登録を目指すんだと言う。ちょっと待ってよと。今のユネスコのコンセンサス主義、全会一致原則を強化したのは日本なんであって、紛糾すれば紛糾するほど、登録が難しくなるんだと。

安倍のやることは矛盾だらけだ。

ニ月二十四日(木)
石原慎太郎と盛田昭夫が「Noと言える日本」を出版したのは昭和64(平成元、1989)年だった。都知事は、美濃部も石原も最後の一期が悪かった。この本は都知事になる十年前だから、内容が立派である。
この本は日本人向けに執筆したものなので、アメリカ人に読まれることは想定外だった。特に盛田は、誤解されたとして手を引いた。
この本は、アメリカに対し弱腰だった当時の日本政府を批判するもので、貴重な提言だった。しかし今では、修正すべき点がある。「Noと言ったあと相手を説得できる日本」でなくてはいけない。「No」だけなら誰でも云へる。安部でも云へる。
安倍に近い人たちは、本当に佐渡金山を世界遺産に登録する意思があるのか。単に騒ぎたいだけではないのか。石原慎太郎と盛田昭夫の「Noと言える日本」は、相手がアメリカだから価値があった。北朝鮮問題もあるのに、韓国と揉めることは得策ではない。

ニ月二十五日(金)
朝日新聞のGLOBE+と云ふホームページに
佐渡金山、歴史的価値はそっちのけ 世界遺産推薦の舞台裏にただよう政局と外交の思惑

が載った。
文化審議会は昨年12月28日、佐渡金山遺跡を推薦候補に選んだ。この時点では、文部科学省や外務省は「推薦見送りの流れ」(関係者)とみていた。(中略)「本気で推薦するときは、前年の秋までに選ぶのが通例」(同)だったからだ。
実際、文化審議会世界文化遺産部会の答申には「推薦書の提出までに(中略)一部修正すべきという課題はある」というただし書きもついていた。外務、文科両省は「議論を尽くすため、結果的に今回は推薦見送りになっても仕方がないという意味だ」と受け止めたという。

これには伏線がある。一つは橋下さんも指摘した全会一致原則だ。
外務省は首相官邸などに「韓国が反発する佐渡金山の登録を目指せば、国際社会から、日本は二枚舌だと批判される。日本の国際社会での信用に傷がつきかねない」と説明していた。

日本の信用に傷がつきかねない問題を、安部とその周辺はごり押しした。LGBT、「イスラエル~」に続いて三つ目だ。モリカケ桜藪と黒川定年問題を含めれば八つ目だ。
佐渡ヶ島 世界遺産に金山を推薦するに当っては 島全体が遺産にて 島を推薦するが近道

(反歌) 佐渡ヶ島朱鷺と流刑地たらい舟観ると楽しく行きて楽しい

ニ月二十六日(土)
二つ目は
2015年に世界文化遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」(23施設)に端を発した問題も影響していた。
当時、韓国は、長崎市の端島炭坑(軍艦島)などを挙げ、日本統治時代に朝鮮半島の出身者が労働を強いられた施設が含まれていると主張した。日本は同年7月の世界遺産委員会で(中略)当時の徴用政策を理解できるような措置を講じると説明。説明戦略の策定に際し「真摯に対応する」と約束した。

ところが
ユネスコの世界遺産委員会は21年7月、「明治日本の産業革命遺産」を巡る日本の対応に「強い遺憾」を表明する決議を採択。同時に、日本政府に2022年12月1日までに取り組みを報告するよう要請した。

こちらを解決することが先決だ。
韓国政府は「佐渡金山でも端島炭鉱と同じように、朝鮮半島出身の労働者が働かされていた」と主張していた。政府内では「佐渡金山を推薦すれば、もめている端島の問題に更に火がつきかねない」という危機感が漂っていた。


ニ月二十七日(日)
ユネスコの状況を考えれば、たとえ推薦しても、佐渡金山が登録される可能性はほとんどないという見方が、政府内の大勢を占めていた。(中略)外務省は「佐渡金山を推薦しても、韓国が阻止に動くだろう。ただでさえ、端島を巡る日本の対応に強い遺憾を示したユネスコで、日本の主張が全面的に支持される可能性は低い。今年5月には韓国で新政権が誕生する。状況を見ながら、改めて推薦した方が得策だ」と政府与党内で説明していたという。

これが正しいやり方だ。
文化審議会の答申が出るまで、佐渡金山を巡る自民党内の動きは鈍かった。(中略)雰囲気を変えたのは、韓国外交省が文化審議会の答申を受けて昨年12月28日に出した報道官論評だった。(中略)韓国では従来、「強制連行された朝鮮人労働者が佐渡金山で働かされていた」という主張が社会的に大きく取り上げられたことはなかった。この関係者は「軍艦島(端島)を巡る韓日合意が守られないうちに、同じような案件を進める日本の姿勢が問題視された」と語る。

そして
それまで、佐渡金山に大きな関心を示さなかった自民党保守派からも、韓国の反応を契機に、強硬な意見が上がり始めた。安倍晋三元首相が顧問を務め、自民党の保守系議員らがつくる「保守団結の会」は1月18日、政府に早期推薦を求める決議をまとめた。



ニ月二十八日(月)
高市氏は24日の衆院予算委員会で佐渡金山問題を取り上げたが、林芳正外相に答弁を求める場面が目立った。自民党のベテラン議員は「高市と林は次のリーダーを争うライバル関係にある。高市にしてみれば、佐渡金山を取り上げれば、保守派の支持が増えるし、林の人気も下がるから一石二鳥だ」と話す。
政府関係者も「佐渡金山で閣議了解を求める担当は文部科学省。でも、高市さんが何度も林さんの答弁を求めるところに、政局のにおいがする。末松信介文科相は安倍派だから、いじめないということだろう」と語る。

それで佐渡金山が指定されるのならよい。しかし
佐渡金山の推薦を強く働きかけていた新潟県選出議員ですら、政府関係者に「保守派が騒ぎ出して、手がつけられなくなった」と漏らすほどだった。(中略)この騒動の間、佐渡金山の価値について真剣に考えた政治家は一体、何人いたのだろうか。


三月一日(火)
佐渡金山で強硬に主張する人たちは、佐渡ヶ島のことを思ってはゐない。日本のことも思ってはゐない。国益を損ねても自分たちが目立ちたいだけだ。
LGBT、「イスラエル~」、モリカケ桜藪、黒川定年問題に続く、八つ目のニセ保守だ。広島の河井夫妻事件を含めれば九つ目のニセ保守だ。(終)

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