千六百五十一(和語の歌) 御宿、勝浦、安房鴨川旅行記
辛丑(2021)
十二月三日(金)
本日は特急「わかしお」で、御宿、勝浦、安房鴨川を巡った。目的は
1.東京発の京葉線特急に、初めて乗る
2.房総西線の特急に、初めて乗る
3.御宿、勝浦、安房鴨川の市街を歩く

在来線の特急に乗って思った。回転振動(ヨーイング、車体が横方向にがたがた振動する)がある。新幹線には無い。新幹線は線路の保守がよいのでは、とまづ考へた。しかし在来線特急の回転振動は、周期性があり不規則ではない。新幹線が、台車の揺れ枕を廃止して車体を直結したのは昭和三十九(1964)年だから、今は在来線もさうなのかと思ったが、違ふのかもしれない。
新幹線の回転振動防止装置に対し、在来線特急は横揺れ(ローリング、車体上部が左右に揺れる)防止装置が、隣の車両との連結部にある。これも役立つのだと思った。東京から御宿までの車輛は、男子小便器が斜めに設置してある。御宿から鴨川と鴨川から東京は、それより新しい車両で縦だ。すると横揺れで尿が床にこぼれる。掴まり棒があるので、これに掴まるやう表示をすればよいのにと、前回の旅行で思ったが、今回は新しい車両は古い車両より、設計が劣化したと感じた。
第一部
御宿で驚いた。周辺と調和しない高層マンションが幾つもある。あの辺の土地は安いが、首都圏に住んだ人はそれまでに比べれば安いから、喜んで買ふ。しかも海が見えるし、温暖だ。
マンションは、建物の価格が減価償却でどんどん下がるが、土地が安いから限りなく零に近づく。修繕積立金の不足で、解体費用さへ出なくならないよう、御宿町はきちんと規制と管理をしなくてはいけない。
私がこんなことを主張するのは、周辺と調和しないからだ。マンション近くの料理店の立場はどうなる。民宿の立場はどうなる。今後の建築は不可とし、既存分は改修と云ふ名の再建築を禁止し既得権を防ぐべきだ。
クアハウスと云ふ温泉浴場が一階にあるマンションがある。或いはここが一番古いのだらう。クアハウスは、コロナ禍の影響か、廃業して数年が経過した様子だ。この建物なら、まだ地域のためになる。海水浴客も喜ぶだらう。しかしマンションが一軒できたため、あとは真似をしてマンションが乱立したのではないか。
楼(たかどの)が 建ちて周りは 景(かげ)悪く 風強き日は なほ強く 地(ところ)の値 大きく下げる

(反歌) 昼前の 日の輝きで 海の色 見える果てまで 黄金に光る
第二部
勝浦は、駅前通りを海岸に向かって歩き、朝市の開催日ではないので人通りがほとんどないがその通りを歩き、先ほどの道に駅前通りに戻る手前の酒屋で勝浦市内の酒造の「腰古井(こしごい)生貯蔵酒」300ml瓶を買って飲んだ。駅前通りが左に折れ漁港を右に見て、先ほどの朝市の一本手前の道で、駅に戻った。原則として昼に飲酒はしないが、職場の新年会忘年会(今は無い)、旅行の時だけ特別だ。
朝市が 無い日に路(みち)を 歩き見る だが跡形は 見つからず よく片付けた 美しい街

(反歌) 街中に 魚の臭ひ ごみやちり 一つも無くて 住みやすい路
第三部
安房鴨川は、房総東線と西線の終点だ。だから賑はひを予想したが、普通の市街だ。バス待合所は古い建物だ。誘導係の老人に、今まで一番古いのは青森県の五所川原だったがここは更に古い、と話した。さてはダブルクラッチでギアチェンジするのか、と云ふ話ではない。亀田病院からのバス路線が多いさうだ。バス待合所を見ると、その街の雰囲気が分かりますね、と話した。

(写真クリックで大きな写真。建物に向かって右側に張り出した看板に「行川アイランド」の懐かしい観光施設名が見られる)

安房鴨川を14時6分の特急に乗った。家には四時過ぎに着くかと思ったら、五時過ぎだった。新幹線の感覚に慣れてしまったやうだ。
鴨川は 安房の端にて 西東 二つの道が 再び出会ふ
(終)

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