百六十五、三井住友フィナンシャルグループ奥正之を許すな


平成二十三年
四月十五日(金)「奥正之の妄言」
三井住友フィナンシャルグループ会長奥正之の妄言は許し難い。朝日新聞によると

14日の定例記者会見で、福島第一原子力発電所の事故の損害賠償は大半を政府が負担すべきだとの考えを示した。
 奥会長は「地震や津波の規模は想定以上。因果関係を冷静に分析すれば、東電の免責が検討される余地がある」と語った。政府の支援が「東電の経営だけでなく、株や社債の市場全体に好影響を与える」とも述べた。

この発言を聞いて、まず三井住友に損害が及ばないよう画策してゐることがわかる。三井住友は東京電力の六番目の大株主である。
今回の震災で家を失つたり工場が崩壊したり職を失つた人は多数に及ぶ。奥正之に従へばこれらの人たちも想定以上だから政府が損害を負担すべきことになる。奥正之はそのようなことは考へてはいまい。株式を持つ東京電力だけであろう。
奥の考へはまつたく逆だ。被害を受けた多くの人たちには最大限の援助をすべきだ。一方の東京電力は官僚化した組織でずさんな想定を行ひ原発を運用してきた。政府の保護下で大儲けをし、天下りを大量に受け入れ、原発御用学者を作るために多額の寄付金を大学に払つた。そのような会社に国民の税金をつぎ込む必要があるのか。

四月十六日(土)「東電から六億円」
ライブドアに次の記事が載つた。

提供:ゲンダイネット
●東電から大学院に6億円の寄付
 原発事故が起きてから、原子力関係の東大教授がやたらとテレビに出るようになった。たいていは現状を追認して「心配ありません」と言うだけなのだが、これには理由がある。(中略)東電の寄付金の額を全部足すと、6億100万円に上る。(中略)東電からもらったカネで研究している学者が、東電に不利なことを言えるわけがないのだ。
 東大の工学系の准教授が、匿名を条件にこう明かす。

「(前略)原子力関係は特にカネがかかる。電力会社に研究資金を出してもらえる原発推進派でないと偉くなれないのが現実です。第一、原発がなくなれば、自分たちの食いぶちがなくなってしまうのだから、必死で安全性をアピールするのです」
●「関村教授、班目委員長、岡本教授…
(前略)東電のカネで研究してきた東大教授は、自分の意をくんだ院生を助手にして後を継がせたり、息のかかった学生を東電や、東芝・日立などのプラントメーカーに送り込んできたという。
「関村教授と同様にNHKに頻繁に出演する東大の岡本孝司教授も、『大丈夫です』しか言いませんが、彼は原子力安全委員会の班目春樹委員長が東大工学部教授だった時の教え子です。班目さんは原発推進派の頭目みたいな人ですから、岡本教授が安心を強調するのは当然のこと。みのもんたの『朝ズバッ!』に出ている東大特任教授の諸葛宗男氏も、東電の寄付講座のおかげで、東芝の技術顧問から東大教授に転身したといわれている人ですから、批判なんてできるワケがありません」(前出の准教授)
 諸葛氏が「朝ズバッ!」で「こないだの雨で放射能が洗い流されて奇麗になった」とか(中略)牽強付会な自説を披露するのには、そういう背景があるのか。
 中部大学の武田邦彦教授が、ブログでこう暴露して話題になっている。
〈テレビで「福島市の毎時20マイクロシーベルトはレントゲンの30分の1だから心配ない」と発言した当の東大教授が、自分の大学では「換気扇を止めろ」と指示した〉(以下略)
日刊ゲンダイ2011年4月7日掲載


四月十七日(日)「蓮舫は嘘をついたから解任しろ」
菅直人のすべきはまずこれらの教授を大学から追放することだ。大学が自治だとか言つたら東大そのものを解体すべきだ。あれだけ人災をもたらした連中である。菅直人にできるか。

菅直人はもう一つすべきことがある。蓮舫の罷免である。蓮舫は「夜間は電力は余つてゐる」と述べたがこれは嘘だつた。東電の稼動原子炉数から夜間は揚水発電に回す電力が不足すると私は見た。しかし情報がないから、夜間も節電して石油を東北に回すべきだと取りあえず穏健に主張した。しかしやはり揚水電力は不足してゐた。朝日新聞によると
 東電は、今夏の電力需要を最大5500万キロワットと見込み、供給力のアップを急いできた。大震災で被害を受けていた火力発電所などが110万キロワット分、新たに立ち上げ可能になった。また、設置が比較的簡単なガスタービン発電機などの導入も当初は40万キロワットにとどまるとみていたが、120万キロワットまで確保できる見通しになったという。
 夜間に余った電力で水をためて発電する揚水発電分も新たに追加。これまでは夜間に余る電力が少なく、供給力として織り込んでいなかったが、夏場に稼働できる火力発電所が増え、揚水発電も400万キロワット分を見込めるようになった。

ITMediaニュースは更に詳しい。
東電によると、7月末の供給力は5200万キロワット、8月末は5070万キロワット。7月末の供給力の内訳は、▼一般水力:300万キロワット▼火力:3800万キロワット▼原子力:500万キロワット(柏崎刈羽)▼揚水:400万キロワット。
3月末の見通しでは揚水発電2件を含めていなかったが、揚水発電に必要な夜間に水をくみ上げる電力にめどがついたため、見通しに加えた。

つまり夜間に節電すればその分を揚水発電に回せる。蓮舫は嘘をついた。節電啓発担当大臣が「知りませんでした」では済むまい。計画停電の経済の混乱と国民の苦難を何だと思つてゐるのか。信号が消へて交通事故の死者まで出た。蓮舫を任命した菅直人はこれだけでも首相辞任に値する。
なお揚水発電のめどがついたからと言つて夜間に電力を浪費してよいわけではない。ガスタービン発電は熱効率が悪い。昼間も夜間も節電をすべきだ。

四月十九日(火)「証券会社は日本に有害だ」
三井住友フィナンシャルグループの奥正之が株主としての発言ならば、震災直後に外資系証券会社の幹部が別の立場から発言した。
株主責任は問はれるが倒産させると厖大な債務が不払ひになるから倒産は避けるべきだ、といふ内容だつた。この証券会社は東電の社債を大量に所有するのだろうと想像した。
それにしても最近の証券会社は有害だ。会社を買収し資産価値を高めて売り抜けることばかり考へてゐる。そのようなことはアメリカでは許されても日本では許されない。ところが野村證券まで同じ事を行つた記事を最近読んだ。短期の株売買の利益には高率の税金を課し復興資金に当てるべきだ。

四月二十日(水)「金融業はボーナス袋が立てられた」
今から二五年くらい前に私が富士通グループに所属してゐたときの話で、富士通の従業員が銀行員に「おたくのボーナス袋は立たないでしよ。」と言はれたそうだ。当時は給料がまだ銀行振り込みではない人もゐた。富士通は製造部門の現業職が過半数だつた。
その後プラザ合意の円高で日本の製造業は激減した。事務所のOA化で事務の従業員も激減した。企業は利潤を求めて暴走する。株主も抑制の役割は果たさず暴走に加担する。だから労働者こそ抑制の役割を担ふ。ところが当時の銀行は現業職が少なかつた。だから皆のボーナス袋は札束が詰まつてゐて立てられた。

四月二十二日(金)「プロレタリア制御」
マルクスを百%信じてはいけない。百%信じないのもいけない。正しい主張は採用すべきだし時代に合わない主張は捨てるべきだ。プロレタリア独裁は採用すべき主張である。
人間は堕落しやすい。だから例へば仏教には戒律がある。しかし戒律があつても堕落はする。しかし戒律が無い場合より遥かに堕落しにくい。
マルクスはプロレタリアは堕落しないと考へた。当時は帝国主義の時代だからプロレタリア独裁と名付けた。独裁といふ言葉は今に合わない。だから資本主義社会にあつてはプロレタリア制御と名付け、企業の暴走を抑へるべきだ。
金融機関の従業員は労働者とは言へない。ボーナス袋を立てられる。金融機関は儲けすぎである。だから国民と感覚がずれて三井住友グループの奥正之のような主張が出る。銀行は信用金庫と信用組合に解体すべきだ。

四月二十四日(日)「炉心溶融した日本社会」
現業職が社内から激減し雇用が労働ではなく身分になつた。日本社会はこのとき炉心溶融したと言へる。東電と三井住友グループを解体しよう。そして会社が解体しても生活ができる社会を作ることを奥正之と内閣特別顧問で東電労組出身の笹森清は考へるべきだ。(完)

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