千五百一 (和歌)鉄道従業員の挙手敬礼
庚子(仏歴2563/64年、西暦2020、ヒジュラ歴1441/42年)
十二月十三日(日)
敬礼には、頭を下げる方法と挙手による方法がある。世間では、挙手による方法を敬礼と称する。四十数年前に、隅田川駅で東京鉄道荷物株式会社のアルバイトをしたときに、定年間近くらいの従業員(或いは国鉄を定年になった後で鉄道荷物に再雇用されたのかも知れない)が「何々さんが小荷物総括のときは、朝礼や点呼で敬礼をしたのに、今は帽子を取って頭を下げるやうになった」と話すのを聞いた。
この話から二つの情報を見逃してはいけない。一つは、隅田川駅では駅長、首席助役の下に、小荷物総括助役がゐた。二つ目は、助役が敬礼をしたことだ。
隅田川 貨物駅だが 小荷物も 扱ふために 一般駅に 旅客と貨物


十二月十五日(火)
母に、松本電鉄の場合はどうだったかを聞いた。鉄道は敬礼をするが、バスや路面電車は手を上に上げる程度だと云ふ。貴重な話が一つあった。戦争末期や戦後まもなくは、女子が車掌などに勤務したが、女子は敬礼をしなかったさうだ。
鉄道は 連絡切符
貨車輸送 小荷物もあり
民営と 鉄道省は 共通ルール


十二月十六日(水)
自衛隊や警察で、挙手敬礼をするのは帽子をかぶった人、頭を下げるのはそれ以外の人とある。
国鉄本社の作った広報映画で、点呼のときに「敬礼」の号令で、助役は頭を下げ機関士と機関助士は挙手敬礼をする場面を観たことがある。そのときの動画を再度観ると、助役は制服だが、帽子をかぶってゐない。

十二月十七日(木)
母に、戦争末期や終戦後に鉄道に勤務した女子は帽子をかぶってゐたか訊くと、かぶってゐたと云ふ。母が電鉄に入ったのは昭和二十三年で、そのころはまだ女子の車掌がゐたさうだ。

十二月十八日(金)
助役が帽子を取って頭を下げる話は、帽子をかぶる人は挙手敬礼、それ以外の人は頭を下げる原則が守られてゐる。挙手敬礼は、帽子を取る手間を省く方法とも云へる。
母に昔の話を聞くときに覚えてゐないといけないので、動画でJR東日本とJR東海の乗務員が引き継ぐときに、塩尻駅は挙手敬礼をするのに、熱海駅は何もせず引き継ぎ事項を伝へるだけのものを見て、そのあと質問した。母は「敬礼をしたほうが、見てゐて気持ちがいいね」と感想を述べた。(終)

追記十二月三十一日(木)
二ヶ月くらい前に、松本電鉄の社員証で中央線の竜王駅まで乗れた話を聞いた。四十年くらい前には、信濃境駅まで乗れたと聞いたことがある。おそらく竜王が正しい。
国鉄の、東京鉄道管理局と長野鉄道管理局の境は、昭和四十五年頃に県境に合はせたからだ。

メニューへ戻る 和歌(四十三)へ 和歌(四十五)へ