一四七、国民の九割は派遣が邪悪だと知っている

平成二十二年
十二月九日(木)「派遣に行きたがらないのが国民感情(一)」
今から7年ほど前だろうか。或る月の給料が五万円くらい少ない。それ以外にも五万円が給料から削られ裁量給と名前を変えている。会社に問い合わせると私の給料の一部を裁量給に変更し、裁量給は残業手当と同じだから半月分が翌月払いになる。だから退職時には五万円余分に貰えるから損はしない、という話であった。しかし私の業種は法律で認められた裁量職には該当しない。そもそも本給には残業分は含まれていない。
東京都労働相談情報センターに相談し、まず労働相談情報センターに行政指導をお願いし、それでも解決しないときは労組の団交という二段構えを取った。 東京都労働相談情報センターは以前は労政事務所と呼ばれていた。各都道府県が設置し労働相談や行政指導を行ってくれる。労政事務所はよい名前である。旧称に戻したほうがよい。

十二月十日(金)「派遣に行きたがらないのが国民感情(二)」
飯田橋の相談センターを訪問した際、一階にはパソコンがたくさんあった。労働相談情報センターとは別の東京都の就職支援の組織があり、そこが運営している。登録すれば使用できるというので登録した。就職のためのセミナーもあり、これにも試しに参加してみた。求人内容が派遣だからと避けるのではなく、吉野家の社長はアルバイトから社長にまでなった。そのような内容であった。

一昨年の派遣切り騒動の時に、派遣だとわかっていて就職したのだから本人が悪い、と主張する評論家がいた。こういう連中はだいたいが拝米の月刊誌や新聞に定期執筆している。就職する側も派遣を避けるべきは百も承知だが、就職先がないからやむを得ず派遣をやる。
派遣があるからその分の正規求人が減る。派遣と契約社員とアルバイトは禁止すべきだ。そうすれば雇用が増える。

十二月十一日(土)「労働者派遣法の問題点(一)」
労働者派遣法はでたらめな法律である。雇用するときに派遣労働者だと言うか、既に雇用されている労働者の場合は同意を得れば派遣労働者にすることができる。
まず普通の人は派遣がどんなに劣悪なものか判らない。会社の命令で一旦派遣に従事したら最後、同意したことになるからその後はずっと派遣をやらされる。新規に雇用するときも派遣ももしかするとあり得る、と言っておけばそれで派遣に従事させることができる。

十二月十二日(日)「労働者派遣法の問題点(二)」
東京都から委託された講師が吉野家の例を挙げながら求職者を派遣に誘導したように、派遣が悪いことは国民の九割が知っている。二番目に悪い理由は、経済の調整機能を破壊する。
利益を上げた企業は人件費が上昇し抑制が働く。ところが派遣や下請けを認めると、企業は更に利益を増やし制御が利かず暴走するようになる。

十二月十三日(月)「法律の抜け穴を探す」
偽装請負という悪質なやり方が数年前に問題になった。だからソフトウェア業界でも多くの会社が職業安定所の指導で派遣登録をするようになった。偽装請負から派遣になって唯一よかったのは多重派遣は違法だからできなくなったことだけである。

だから多重派遣になりそうなものは相変わらず請負契約にする。客先が派遣契約にしないとまずいという場合は下請け会社の従業員を契約社員にして客先に放り込む。そんなビジネスが続いている。つまり技術者の待遇はまったく改善されなかった。
年齢が上がれば仕事がなくなる。大企業の雇用調整役だから不景気になれば嫌がらせ退職が続出する。残った人もボーナスが少ない。私の勤めている職場も今年の年末一時金は一人平均三万円であった。普通の会社の三〇分の一。
派遣と偽装請負と下請けは禁止すべきだ。どれも経済成長期の遺物である。(完)


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