千四百六十 (和歌)蜂の巣が乗っ取られた
庚子(仏歴2563/64年、西暦2020、ヒジュラ歴1441/42年)
八月二十二日(土)
朝、母が蜂に殺虫スプレーを撒いたので、中止させた。足長蜂は益虫だからだ。ところが夕方になって巣を見たところ、逆方向に急展開した。
庭に棲む足長蜂が巨大化し 巣の形まで変化した巣は球形で穴一つ雀蜂の巣そのものに 足長蜂のときはまだ蜜を採るかとふと思ふ こんな巨大な蜂ならば他の蜂食ふは当たり前かな

球形の穴から、不気味なほど巨大な蜂が、頻繁に出入りする。母が朝使用した殺虫スプレーを、室内から網戸を開けて10秒ほど巣に散布した。
巣から何匹か出入りした。数時間後に見ると、たまに出入りするので、3秒ほどを2回に分けて散布した。
雀蜂害虫捕れば益虫だ しかし許せぬ庭の木の足長蜂を全滅させた


八月二十三日(日)
昨夕の殺虫剤が効いただらう。高枝はさみで巣をつついたところ、中から15匹ほど出てきた。急いで網戸を閉めた。蜂も、室内からつつかれたとは気付かず、無関係に飛び回った。
一時間くらい後に、高枝はさみで巣の側面に亀裂を入れようとしたところ、高枝はさみを近付けただけで数匹出てきた。先ほどつついたので、まだ警戒してゐるみたいだ。
今朝もまた殺虫剤を何回か撒き続けたら 途中から噴出力が弱くなり缶を振り振り噴射した 直接当たるの巨大蜂 ゆっくり歩きて穴へと入る

これまで殺虫剤が効いたのか、まったく判らなかった。蚊や蝿、ゴキブリ用だからだ。ゴキブリへは直接噴霧する。しかもこれまでは、噴射したあと穴から出て来て勢ひよく飛び立つ。
しかし今回は、巣の表面を停止寸前にゆっくり歩いたあと穴に入る蜂を見て、効力を確信した。噴射が弱くなり、薬剤の粒が大きくなったかも知れない。噴霧距離が短くなり、ちょうど穴の位置で付着効果が最大になるのかもしれない。穴は横向きで、直接入れることはできない。
母に、これでほとんどゐなくなったと云って、自転車で買ひ物に出掛けた。川口駅前まで行ったので時間が掛かった。帰りに家にゐる妻からLineで、母が巣を壊したと連絡があった。家に帰り母に尋ねると、高枝ばさみで球面の壁を少し切ると、意外ともろく上部の1/5を残して崩れ落ちた、出てきたのは数匹だけだったと云ふ。
巣を壊しそのあと蜂は出てきたが 網戸の内には入らずに枝の周りを飛行する 僅かに切るも巣はもろく残り一板外壁僅か

球体の中は、蜜蜂や足長蜂みたいな板状の産卵飼育室の塊が何枚もある。その一枚と、外壁の僅かだけが残った。

八月二十四日(月)
今朝は、残りの一板も落下し、残ったのは外壁の一部だけになった。雀蜂はかつて、クマンバチと呼ばれたと思ふ。小学生の時にこの語を使った。しかしクマバチと間違へやすいし、地方によってはクマバチのことをクマンバチと呼ぶさうだ。そのため今ではスズメバチと呼ばれる。
雀蜂をインターネットで調べると、攻撃的、毒性が強い、毒液を空中散布することもあり仲間を呼び寄せるし目に入ると危険、業者に依頼して巣を駆除したほうがいい、とする記事が大量に出てくる。しかしこれらは皆、駆除業者のページだ。
市役所のページも、ほぼこれらと同じで、補助金の有無、防護具の貸し出しがあるところもある。1つの市だけ、スズメバチは有害な虫を食べるので、危険ではないときはそのままにすれば、冬には巣が放棄される、とある。これが正解だ。今回は、足長蜂を全滅させたので、仕方なく駆除した。
人類は雀蜂より有害へ プラスチックに温暖化 多く野生の生物が滅亡または減少し 人類もまた滅びるだらう
(終)

(その一)、和歌七の一(その三)、和歌七の三

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