千四百五十七 (和歌)黒部への仮想旅行で創ってみた
庚子(仏歴2563/64年、西暦2020、ヒジュラ歴1441/42年)
八月十五日(土)
私は旅行のときだけ和歌を創る。Youtubeで、信濃大町から黒四ダムを経由して富山駅までの車窓風景の動画を見つけた。さっそく観て、旅行に行った気分で、口語の長歌を創ってみた。口語の長歌なんて普通の人はやらない。これを復活させたら、日本の社会はよくなる。さう確信してのことである。
大町を 発車してより
富山まで 車窓の動画
これを見て 六首を創る
中腹の 扇沢へは
路線バス ここで乗り換へ
電気バス すぐトンネルへ
16分 気温は10度 黒部ダム着
一度だけ 中学の時
みこもかる 信濃の祖父の
家を立ち 家族でここへ
そのときは 扇沢から
珍しき トロリーバスに
乗車した わずかな記憶 それのみ残る
電気バスに 去年転換
空走る 電線撤去
短距離に 合ふメカニズム
蓄電は リチウム資源
大量に 車が消費
電気車と ハイブリッドに
偏在も だから目立たず 価格も安し
黒部ダム 今造るなら
景観と 自然破壊に
大非難 しかし当時の
人たちの 苦労の跡が 偲ばれるダム
黒部から 富山側まで
降りるには ケーブルカーと
ロープウェイ トロリーバスと
路線バス またケーブルで
立山駅 ここから富山地方鉄道
以上創ってみた。しかし乗り物の話ばかりではないか、と云はれさうだ。実際に行った訳ではないから、乗り物しか印象に残らなかった。いくら長歌が初めてとは云へ、改良の余地がある。
八月十六日(日)
再度動画を観て、新しいものを創った。本日はダムの名称が出てくる。昔は黒四発電所のダムなので黒四ダムと呼ばれた。同じ頃に確か御前沢ダムとも呼ばれたと記憶し、インターネットの地図を見るとダムの近くに御前沢の地名がある。
トンネルに 青い照明
破砕帯 工事を阻む
かなり先 黄色の光
県さかい 分水嶺下
少し先 赤い照明
両端の 工事が出会ふ
その直後 二車線になり
対向車 待ち合はせ経て
終点の あと半分で 地下駅に着く
これはまだ、乗り物の話題だ。続いて
名称は 黒四ダムか
黒部ダム 御前沢ダム
二つの名 今人知らず
観光に 放流毎秒
10余屯 虹が現れ
欠点は 魚道造れず
山越えて 称名滝は
通常は 1屯前後
しかしまた 豊水期には
100屯と ダムを圧倒することもある
地獄谷 室堂平の
名勝地 硫化水素は
要注意 谷を離れて
雷鳥に 会ふこともある
日本一 落差を誇る
称名の 滝こそ二百五十メートル
八月十八日(火)
雷鳥について、動画を二つ見た。
雷鳥は 二万年前
大陸に 広がり今の
日本にも そのころ星は
氷河期の 只中そして
終りには 日本に孤立 今に至る
三十年前に三千羽ゐたのに、今では二千羽以下になった。
雷鳥は 世界に流布し
列島は 人を恐れず
大陸は 狩りの対象
茜さす 日の本にては
あしひきの 山は神体
ちはやぶる 神の使ひに
人々は 危害加へず
しかし今 温暖化にて 危機に直面
後白河院宣はく
しら山の 松の木陰に かくろひて やすらにすめる らいの鳥かな(終)
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