千四百三十五(モリカケ疑獄百九十四の二) 検事総長人事問題
庚子(仏歴2563/64年、西暦2020、ヒジュラ歴1441/42年)
五月十六日(土)
刑事裁判に於いて検事と裁判官は、車に譬へればアクセルとブレーキだ。片方でも壊れれば車の運転はできない。だから大阪府知事の吉村さんの
「僕は検察庁の内部でトップの人事権を持つべきではなく、内閣が人事権を持つべきだと思います。検察庁のトップを検察内部で決めるべきではない。内閣が決めた人事がおかしいとなれば、その人事を決めた人、(中略)政府を我々はクビにする権利がある。民主的コントロールが間違ってるなら、国民がその政権を倒すべき」

と云ふ発言は変だ。まづ、国民は検事総長の人事が適任かどうかで首相を選ばないし、ましてや国民が選べるのは議員だ。
法律に「都道府県知事はxxxxxxxxをする」と書いてあるからといって、実際に都道府県知事が現地に行って作業をするのではなく、決めるのでもなく、部長なり局長の決めたことを知事が決裁する。知事が、お友だちを要職に任命したり、勝手に公金を引き出したりしないやうに、公印の管理規定があるはずだ。
吉村さんの言ってゐることは、これらに反する。

五月十七日(日)
安倍のやることは、いつも不公平が付きまとふ。お友だち優遇、後援会優遇、お友だち検事優遇。特にお友だち検事優遇が通ると、国民を弾圧した東條内閣と変はらないことになる。
中日スポーツホームページによると
フリーアナウンサーの久米宏(75)が16日、(中略)安倍晋三首相の母、洋子さんにインタビューしたことを回想しながら、安倍総理を皮肉った。
洋子さんにインタビューしたのは、テレビ朝日系「ニュースステーション」のキャスター時代のことで、私邸で初めて対面した洋子さんは、「頭がよくて、おきれいで、とっても気が利いて人柄がいい」と振り返った。
そして一呼吸おいて、「不思議なんですよね」と言った後、「検察庁改正法案について、ただされた時の今の総理の答弁ですが、『自らの疑惑隠しのためにやっているのではないかというご質問がありましたが、そのようなことは全くありません』。この答弁ね、全部原稿読んでるんです」と独自の視点で解説。

安倍のビジネスモデルは、官僚の書いた文章を棒読みすることだ。
さらに、安倍総理の記者会見にも触れ、「左向いたり右向いたりして、(中略)左右にあるアクリル板に映ってる文章を懸命に読んでるだけなんですよ。自分で考えた言葉は全くしゃべってません。とにかくカンペ(カンニングペーパー)というものを読んでるだけなんです」と話した。

結論として
「なんであれだけ素晴らしいお母さんから、今のような…トランプみたいな息子が生まれたのか。分かりやすく言うと、イマイチってことですね」と強烈に皮肉った。


五月十八日(月)
公明党は、牧口さん、戸田さんが逮捕され、牧口さんは獄死したことを忘れてはいけない。東條内閣と同じことをしようとしてゐるのが安倍だ。お友だち検事優遇を認めてはいけない。連立を解消してでも阻止すべきだ。

五月十九日(火)
安倍が、検察庁法改正案について、今国会での成立を断念した。毎日新聞Web版によると
政府・与党による方針転換には、インターネット上で異例の規模に拡大した国民の抗議の声が強く影響したとみられる。「政治を動かすことができた」などの手応えとともに、廃案に向けて「声を上げ続けよう」との声も多く集まった。

コロナ騒ぎで大変なときに、安倍はこんな法律を成立させようとした。とんでもない男だ。

五月二十日(水)
文春オンラインに、検事定年問題を扱った週刊文春2020年2月13日号の記事が全文再公開された。官邸関係者の言葉として
「黒川氏は菅義偉官房長官から絶大な信頼を寄せられ、いまも定期的に会食をする仲です。また、官房副長官の杉田和博氏とは菅氏以上に近しい関係で、頻繁に電話で連絡を取り合い、時には捜査の進捗状況などの報告を行なっているとみられています。杉田氏は中央省庁の幹部人事を握る内閣人事局長を兼務しており、黒川氏の人事発表後にも『国家公務員の定年延長はよくあること』と囲み取材で語るなど、今回の人事のキーマンでもあります」

安倍は、黒川とは会ったことがないと言ひ、マスコミは過去に会ったことを先日突き止めた。そのこととは無関係に、この記事から安倍と黒川はお友だちであることが判ってしまった。記事を読んでも判らない人は、水前寺清子の「友達の唄」(作詞星野哲郎、作曲叶弦大)を思ひ出さう。
「〽友達の友達は友達だ」

五月二十一日(木)
記事は後半で
16年1月、「週刊文春」は安倍政権の屋台骨を支えていた甘利明経済再生相の口利き疑惑を当事者の生々しい証言で詳細に報道。あっせん利得処罰法違反の疑いは明白だったが、特捜部は甘利事務所への家宅捜索さえ行なわず、不起訴処分とした。
「14年の小渕優子元経産相への捜査ではハードディスクを電動ドリルで破壊する悪質な隠蔽工作まであったが、議員本人までは立件せず。いずれも黒川氏による“調整”と囁かれました。そして政権中枢の疑惑を立件しなかった論功行賞といわんばかりに、官邸は同年夏に黒川氏の事務次官昇格人事をゴリ押しするのです」


五月二十二日(金)
「皮肉なことに黒川氏の犬の散歩以外の趣味は麻雀とカジノ。休日にはマカオや韓国にカジノに出掛けることもあるそうで、カジノの内情を知る彼はIR捜査に一見積極的だった。河井氏についてもかつて法務副大臣だった頃の高圧的な態度が我慢ならなかったようで、捜査にはっぱをかけていた。つまり、彼は捜査を煽る一方で、官邸には調整役として恩を売る。彼が“腹黒川”と揶揄される所以で、そうして自分の存在意義を高め、総長の座をほぼ手中に収めたのです。
禁じ手人事の見返りに、黒川氏は今後官邸側から、河井捜査だけでなく、菅原一秀議員の公選法違反の捜査でも議員らを無罪とするための役回りを負わされかねません」

昨日は、この記事が霞んでしまふ大ニュースがあった。黒川が、産経、朝日の記者と賭けマージャンをしたといふのだ。多くの国民は次のことを知ってゐた。
「〽官邸とマスコミは友達だ」
しかし次のことまでは判らなかった。
「〽黒川とマスコミも友達だ」
近代思想史では、次の事実も興味深い。
「〽産経と朝日は友達だ」
かうなった理由は
「〽マスコミは特権意識と友達だ」(終)

前、(モリカケ疑獄百九十四の一)次、(モリカケ疑獄百九十四の三)

メニューへ戻る 前へ 次へ