千四百二十五 1.テレビ局は、老若男女の楽しめる番組を作れ(「信濃のコロンボ」「麒麟がくる」)、2.信濃の話題
庚子(仏歴2563/64年、西暦2020、ヒジュラ歴1441/42年)
三月二十二日(日)
「信濃のコロンボ」と云ふ番組を四回連続で観た。中村梅雀主演なので好番組かなと見始めた。一回目は日曜昼間に放送するのに不適切な男女関係の場面があり気になったものの、主役と奥さんや、主役が今でも署長と呼び続ける長野県警刑事部長との人間関係が面白く、それほど気にならなかった。
先々週もそのやうな場面があり、そして本日もあった。せっかく全体では面白い番組なのに残念だ。昼間から夜11時くらいまでに放送する番組は、老若男女の楽しめるものでなくてはいけない。ここで老とは大人、若とは20歳未満を指す。

三月二十三日(月)
二週間前の番組で、地元警察署刑事が犯行動機を詳細に推定する場面があった。そこまで推定はできないはずだ。主役と地元警察署刑事の対立がこの番組の魅力だとしても、こなれてゐないのかな、とそのときは感じた。
今回の問題点は、その感想を吹き飛ばす内容だった。この番組は、三週間前も今回も、性的暴行場面がある。犯罪を誘発するやうな番組を作ってはいけない。
小説とテレビドラマでは、感受度がまったく異なる。小説や劇画をテレビドラマにするときの注意点が、ここにある。せっかく里見浩太朗が県警刑事部長を演じながら、残念だ。

三月二十六日(木)
我が家と長野県警は、二つの接点がある。一つ目は、母が25年くらい前に云ふには、母の伯父(つまり私の大伯父)は皇宮警察に勤務しそのとき同僚だった人が、後に松本警察署長になった。
この話には変なところが一つある。皇宮警察なら定年まで勤務するだらう。おそらく戦時中に近衛連隊はマレー作戦などで出征し、徴兵された大伯父と戦友は留守近衛連隊に転属したのだらう。
後に松本警察署長が定年退職して、松本電鉄の自動車部長になり、母は自動車部で事務の仕事に従事したから、部長にはよくしてもらった、と述懐してゐた。
私の記憶する松本電鉄の情報を書くと、小学校低学年のときに浅間線に母や祖母と乗り、日よけが木製で蛇腹の片側を切り取った形状だった。あと浅間温泉駅の切符売り場では、新宿までなど国鉄の切符も販売してゐた。路面電車なのに国鉄の連絡切符とは珍しい。
あと、母が云ふにはお金が余るとどこの営業所が間違へたかきちんと追跡して返却したが、お金が足りないと給料から引かれたさうだ。余ったときを貯めて足りないときに使へばいいのに、と言ってゐた。
今から50年くらい前に母が云ふには、お札を数へるときに或る銀行はお札の下を持って大きく曲げるが松本電鉄では横を持つ。だから私もお札を数へるときは横を持つ。その後、今から40年くらい前に銀行ではお札をパッパと広げて数へる方法が出て来た。インフレなのに10万円札を発行しなかった政府の責任だ。私はこの数へ方ができない。

三月二十七日(金)
二つ目は、母の姪(つまり私の従姉)が昔、交通事故を目撃し、裁判の証人を警察から頼まれるうちに担当の警察官と仲良くなり結婚した。
以上は25年くらい前に聞いた話だから、皇宮警察の話みたいにまれに勘違ひはあっても、正確な話だらう。25年前に母は63歳だから、今の私より1歳下だ。今回、相手の警察官は後に諏訪の警察署長になり、K子は玉の輿だったねえと云ふ新たな話を聞いた。最近10年ほどの話は、正しいとは限らない。或いは副署長かも知れないし違ふ役職かも知れない。
昨日の松本電鉄の話題に戻ると、私が聞いた別の話は、昔、松川事件があり労組関係者が逮捕された。国労の担当者が松本電鉄労組にも説明にきて、逮捕者のなかに頭が悪く大食ひの人がゐて食事を与へてから「この人たちがやったのだな」と訊くと「さうだよ」と答へるので皆、逮捕されてしまったさうだ。
別の話で、国鉄バスが松本から美ヶ原まで路線を新設する話に、松本電鉄労組が反対運動をした話も聞いた。尤も昭和四十五年頃に、浅間温泉から美鈴湖まで歩いて登ると、急カーブに「エンジンブレーキ 国鉄バス」と書かれた縦棒があった。標識と崖の境界を兼ねたものだ。国鉄バスも参入したらしい。

三月二十八日(土)
NHKの大河ドラマ「麒麟がくる」は、昨年の「いだてん」があまりにひどかったので、その反動から高い視聴率で始まった。ところが回を追ふごとに急落し、1回目19.1%が5回目は13.2%にまで下がった。10%割れが噂されたが、その後は持ち直して一進一退を繰り返す。
このとき思ったのだが、視聴者は老若男女だ。すべての人が安心して観れるものでなくてはいけない。だから視聴率が下がる。合戦の場面があるのは、物珍しいからよい。しかしいつまでも繰り返したり、毎週やってはいけない。
主役が刀で延々と切り合ふ場面もあった。これも短時間ならよいが、延々と続けると「水戸黄門」や「遠山の金さん」「暴れん坊将軍」みたいだ。
遊郭の話もあった。鉄砲職人に会ひに行き、密談も聴いてしまふ内容だが、こんな話は遊郭を巻き込まなくてもできる。遊郭は老若男女が安心して観れる話ではない。
前々回に、駒と云ふ不相応に過大扱ひされる役が、信長と婚礼を挙げる前の帰蝶と話す場面があった。一瞬駒が間抜けな表情を見せた。身分が違ふのだから、あんな間抜けな表情ではいけない。見逃した演出も悪いが、あの程度の演技力の女を過大に扱ふからこんなことになる。

三月三十日(月)
昨日の「信濃のコロンボ」は、問題の場面はなく良かった。場所が松本市内と浅間温泉だった。「信濃のコロンボ」は一回おきに良いものと問題のあるものが現れる。
ここでコロンボを知らない人が、今では多いことだらう。NHK総合テレビで昔、放送された。調べると昭和47(1972)年から昭和56(1981)年までで、そんなに古かったのかと感慨深い。アメリカで放送されたものを吹き替へ、最初に犯行を見せてから刑事コロンボが一つ一つ解決する、普通の推理ドラマとは逆だった。「うちのかみさんがね」が流行した。人気のある理由は、問題のある場面がなかったからだ。老若男女が安心して観ることができた。

四月五日(日)
Youtubeで、寺脇康文版の「信濃のコロンボ」を見た。2013年から1年にほぼ1作づつ制作され、このうち1『死者の木霊』の前半、3『北国街道殺人事件』を低画質低音質、5『「信濃の国」殺人事件』の前半を観た。3つとも不完全なのは、著作権の関係だらう。
中村梅雀版のやうに変な場面がなく、誰もが安心して観ることができるのはよいことだ。三つを見終って(二つは前半だけだが)、寺脇康文が『相棒』の初代相棒だとは気付かなかった。私は出演者名に無頓着なためだが、寺脇が名優で、コロンボ役に徹したためでもあった。
1『死者の木霊』は、コロンボの実家が旅館経営で、奥さんが若女将として切り盛りするところは「温泉若おかみの殺人推理」にそっくりだ。これは誉め言葉で、決して模倣ではない。中村梅雀版はどうだったのか、気になるところだ。
警視庁の岡部刑事との出会ひも、興味深い。中村梅雀版でも、岡部刑事は目立たないのに好感を持てる脇役だ。ここがNHK大河ドラマの、目立ち過ぎるのに観る人が不快になりしかも演技力が不足する脇役との違ひだ。
中村梅雀版に問題場面があるのは、2001年から2009年の放送業界、更にはCM料は支払ふ経済界を反映してのことか。

寺脇康文版のスピンオフで『警視庁岡部班』と云ふ作品がある。これはYoutubeに載ってゐないので、近藤真彦版第2作「多摩湖畔殺人事件」を観た。今回も岡部警部が近藤真彦だとは気付かなかった。ずいぶん名優だと思って観た。岡部の部下神谷の病死した娘と被害者の娘がそっくり(二役)、岡部と被害者の娘の淡い恋心と、見どころのある作品だった。
ここがNHK大河ドラマとの違ひだ。大河ドラマは演技力不足の脇役が直接的に恋心を表現したり、昨年の番組だと観る人を不快にさせるやうな人間が何回も出てきたりと、まったく面白くなかった。
寺脇康文版の「信濃のコロンボ」スピンオフも第2作は「多摩湖畔殺人事件」だ。信濃のコロンボとその相棒が長野県警捜査1課でレギュラー出演するから、あらすじは異なる。

午後二時からテレビ朝日の『信濃のコロンボ第13作「盲目のピアニスト」』を観た。前回に引き続き、誰もが楽しめる内容になりよかった。前回から県警刑事部長を相変はらず「署長」と呼ぶこともなくなった。
今日は、Youtubeで1時間半ものを二つと前半のみの45分ものを二つ、テレビの再放送1時間半を1つ観た。こんなにたくさん観るのは生涯で初めてだ。(終)

追記四月十日(金)
Youtubeから「信濃のコロンボ」関係が消えた。前半だけだったり画質が悪かったりするので著作権をクリアしたのかと思ったら、それでも違法だったやうだ。

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