千四百十三 ミャンマー語教室に出席
庚子(仏歴2563/64年、西暦2020、ヒジュラ歴1441/42年)
一月二十一日(火)
中板橋のお寺で、オバササヤドーのミャンマー語教室があることを知ったのは、二か月ほど前だった。オバササヤドーは三か月ほど帰国され、この度日本に戻った。そこでミャンマー語教室に参加することにした。
午後六時なので、会社が終ってからでは間に合はない。45分の早退手続きを取った。平日の夜に参加すると、新たな発見がある。数軒先のミャンマー兼アジア食材店が開店してゐる。これまで行くのは日曜の午後なので、廃業したのかと心配だったが、平日は開店するので安心した。
本日の参加者は私を含めて五名。私と二名は経典学習会の常連、一名は二年ほど経典学習会に来てゐない、一名は経典学習会には来ないものの瞑想専門僧が来日したときに参加するさうだ。
一月二十五日(土)
私以外の四名は、これまでも参加してきた。私だけ始めてなので、一ヶ月半ほどミャンマー文字を独学で勉強した。ミャンマー語の難しさは文字にある。
子音が33、母音は7つに声調が3つで7×3=21。母音は、声調と文字にかなり法則があるので、覚へる内容は12程度か。
子音は33が7列に並ぶ表のうち、最後の2列を除いてだいたい判ったつもりで、あとは単語を覚へるつひでに完全なものにしようと考へた。
ミャンマー語教室に出席してみて、子音と母音の表が無いと無理だ。まだ一回目だが、文字を見て瞬時に発音が判るやうになるには、時間が掛かりさうだ。
一月二十六日(日)
ミャンマー語教室に参加すると、週に一回お寺に行くことになる。これはよいことだ。ミャンマーのカレンダーは、新月の日と満月の日に、黒い丸と赤い丸の記号が入る。新月と満月の八日後はウポウで、新月または満月からの日付が赤い字になる(カレンダーなので太陽暦の日付が大きなアラビア数字で書かれるが、小さくミャンマー文字で新月または満月からの数字が入る。例へば新月の次の日と、満月の次の日は、ミャンマー数字の1に当たる၁が入る。八日目は8の၈が入る)。
これら四つの日に信者は八斎戒を守るほか、僧侶の説教を聴きにお寺に行ったりもする。我々はミャンマー語の説法は判らないから、せめてミャンマー語教室に毎週参加したい。
一月二十八日(火)
ミャンマー語教室は、ブッダ称賛文(ナモタッサ、バガワトアラハト、サモサンブッダッサ)の三唱で始まる。終了のときはブッダは永遠(ブッダ、ササナン、ティラン、テッタウー)の三唱と賛意(サードゥ)を三唱する。ミャンマー語教室は仏道の儀式に組み込まれてゐることを意味し、これは善いことだ。
私がミャンマー語学習を始めたのは、仏道のためだ。この年になってミャンマーからソフトウェア技術者受入れを考へる訳ではない。ミャンマー語が少しでも判れば、上座の仏道、更には日本の大乗にも役立つと確信してのことだ。
早速本日の授業で仏道と関係することがあった。ガ行4文字目のဃはパーリ語だと強く発音する、ヤ行2文字目のရはヤ/ラだが、パーリ語はラとのことだった。仏道とは無関係だが、ヤ行1文字目のယはあまり使はないとのことだった。
二月一日(金)
子音33文字のうち、パーリ語でしか使はない6文字を除いた27文字に付いて、表を見ないで書けるやうになった。と言ひたいが、少し間をおいて書くとまた間違へる。つまり書いて表と比べて間違へた文字を書き直し、最初から再び書く。それを繰り返し最後までできるやうになったのだが、時間が経つとまた間違へる。
それでもひと通り最後までできるから、文字を見た場合に読むのが早くなった。ここまで到達するのに、幾度か改良した。読むのはカ、カハ、ガ、ガ、ンガと表に沿ふのだが、書くときは一字づつ覚へた。ところがこれがは非効率だ。読むときと同じで1行づつ書くと効率がよい。
二月五日(水)
昨日は、母音のアイウについて、復習(これまで参加した人たちについては。私も自習したから復習組に入る)した。これまで参加した人たちを含めて、新鮮な気持ちで学習できた。私以外の男性二名は都合があり欠席した。二人分の母音の資料は、私が預かった。
本日から新しいことを始めた。ミャンマー文字を書いて一文字づつ切ってばらばらにする。一つを選んで発音を云ふ。これは効果がある。今まで表を一列づつ覚へたから、急に文字を見ても発音が出て来なかった。
早速仏道に役立つ効果が現れた。အမျှとသာဓုが出て来てアニャー(回向)とサードゥーだと判った。どちらも読経のあとに唱へる語句だ。
二月十四日(金)
三日前のミャンマー語教室では、母音のエ(エは二種類あり、口が狭いエ)オ(オも二種類あり、口が広いオ)について学習した。
日本のミャンマー語教材は、促音、低音、高音の順に並べる。オバササヤドーの資料も、アイウはこの順だが、エは低音、促音、高音の順だ。
アイウは、促音に「丸か縦棒」を追加したものが低音、それに「:」を追加したものが高音だから、日本の教材とオバササヤドーの教材は同じだ。それに対しエは、低音に「。」を追加したものが促音、「:」を追加したものが高音だから、オバササヤドーの資料は文字に注目した順番だ。
オは更に異なり、高音に「。」を追加したものが促音、「。」は追加せず文字の上にシェトー「小さなc」を付けたものが低音。
オバササヤドーの資料は、カタカナの発音が入り、しかし合ってゐるか判らないと先週云はれた。アイウは促音にx(例へばア)、低音にxー、高音にxーーーとカタカナが入る。エは低音がx、促音がxッ、高音がxーーー。問題はオだ。高音がx、促音がxッ、低音がxーーー。これでよいかどうか来週質問してみたい。
ミャンマー文字の母音が判り難い理由は、エとオにある。文字の追加度に注目すると、この順番になる。
二月十五日(土)
今週の授業では、အမျှ(アニャー)とသာဓု(サードゥ)についても説明があった。သာဓုは賛意と訳してゐたが、うれしいと云ふ意味ださうだ。またသာဓုの発音はタードゥーなので、次の経典学習会のときに通訳さんに質問しようと思ってゐたところ、オバササヤドーから解説があり、ミャンマー語ではタードゥー、パーリ語ではサードゥとのことだった。経典学習会ではサードゥ、ミャンマー語教室ではタードゥと発音すると説明があった。
回向について「自分の功徳を(生きとし生けるものに)持ってください」とのミャンマー語も書き写したが、ミャンマー語の入力がまだできないので紹介できない。今までの文字は「コピー」「貼り付け」だった。
二月十九日(水)
昨日の授業で、発音を聞いて判った。文字優先の並べ方だ。本日、ミャンマー文字の入力方法を見つけた。Unicode表から入力するのだ。早速、昨日の学習会で出た
ဆရာတောၲ
ယူတောၲမူကြပႃကုနၲလော့
これは記念すべき文字列だ。私が初めてパソコンで入力した。ミャンマー文字は、見たあと1分くらい考へれば発音が判る。これだと文字を見ても、話はずっと先に行ってしまふ。瞬時に判るやうになるには、まだ時間が必要だ。
単語をほとんど覚へられない。これはミャンマー語に慣れてゐないためだ。特に声調が原因だ。英語を学習したときを思ひ出すと、ヒアリングに集中した時期、LとRの違ひを気にした時期、単語を覚へられる時期があった。
今は文字と声調の時期だ。
二月二十四日(月)
日本語とミャンマー語は、語順が同じで、助詞もある。つまり言語の基幹部分が同じだから、理解しやすい。しかし語源は異なる。
西洋は基幹部分が共通だから、専ら語源で語族を分ける。この分け方は、西洋には有効でも、アジアには当てはまらない。
西洋人は、ミャンマー語を中国語と同じシナ・チベット語族に分類したが、基幹部分(ミャンマー語と日本語は共通)、文字(ミャンマー文字と漢字)、借用語(ミャンマーはパーリ語からの借用が多い)で、大きく異なる。
日本と中国は語族が異なるものの、漢字が共通のため、日本人は少し学習すれば中国の文章を理解することができるやうになる。
同じやうに日本とミャンマーは、言語の基幹部分が共通だ。日本の財界人の多くは、最後のフロンティアなどと呼んで商売ばかりを考へるが、言語の基幹部分にも注目したほうがいい。性格や行動にも影響し、それは日本との共通点だ。(終)
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