千四百五 年末年始のテレビ番組
庚子(仏歴2563/64年、西暦2020、ヒジュラ歴1441/42年)
一月四日(土)
年末年始に観たテレビ、途中でスヰッチを切ったテレビ、見なかったテレビと、その理由を紹介することにした。
まづ一日の実業団駅伝、二日と三日の箱根駅伝は見なかった。実業団は、日本語の話せない選手が存在することが変だ。そんな人に実業ができるのか。
箱根駅伝は、大学名の宣伝のためにある。三が日は家にゐるから見ることもあったが、ここ数年は見なくなった。
以下、放送日の日付に前後する。

十一月十七日(日)名演技
昨年11月に巻き戻した。14時から16時。「鉄道警察官 清村公三郎10 SL大井川殺人ルート」。この番組の特長は、清村公三郎役の小林稔侍の名演技だ。今回だけ出演の本庁の女刑事を演じる村井美樹も光る。たまたま女刑事と混浴に遭遇するが、公三郎はその場から逃げ出さうとするなど、怪しい雰囲気ではない。

十二月一日(日)再放送のため間隔が五年間から二週間に
14時から16時。「鉄道警察官清村公三郎5 人情列車殺人事件」。演歌歌手の出演。私は巣鴨駅前で本物の演歌歌手が歌ふのを、40年くらい前に遭遇した。周りを囲むのは20人くらいだったので、たまたま通りかかった私は熱心なファンのふりをした。
歌手とは演歌歌手とクラシックの2種類だ。それ以外は無い、と言ひたいが、今回は年末年始のテレビ特集なので、これ以上触れない。
驚いたことに、また混浴風景があった。一回ならまだしも二回はしつこい。10と5は五年間の開きがある。今回は再放送で二週間だからしつこく感じたのだが。

十二月十四日(土)社会の公序良俗を破壊してはいけない
13時から「特命係長」を途中で切った。大手広告会社で普段はうだつの上がらない係長なのに、会長から特命が来ると職場を抜け出して調査をする。演技がわざとらしいのと、やたらとベッド場面が多く、未成年者も観る昼間にこんな番組を放送してよいはずがない。コミックを単純にテレビ化するから、かういふことになる。

一月一日(水)途中で切った
21時から23時10分まで「相棒18元日スペシャル テレビ朝日開局60周年記念」を途中まで観た。特命係2人が警視庁ゴルフコンペに駆り出され、帰りに爆破事件があり地下に閉じ込められる。そのあと犯人の暴力団組員を2人が取り押さへる。
ここまでは問題ない。ところが死んだと見せかけた人はこの暴力団員と組んだ芝居だったのに突然裏切って人質を取りナイフを突きつける。ここでスヰッチを切った。推理小説は逆転がある。だからと言って、こんなつまらない逆転はいけない。
話には流れがある。犯人を逮捕して観る人がほっとしたときの逆転はいけない。この先、つまらない逆転が連続することを予感させる。だから観るのをやめた。

一月三日(金)その一芸術作品並みに優れる
13時から15時まで「新春相棒祭り 相棒7 #19スペシャル」。奥多摩の山村で起きた病死事件に、殺人事件が疑はれ、更に保険金が支払はれるために、無理心中を装はうとしたものの、絵の天才の知的障害の若者に見られ、それを誤魔化すため騒動になる。
前に観たことがあった。しかし二回目も退屈しない。次の要素で、芸術作品と呼んでもいい内容だ。
(1)知的障害の若者は動物以外は描かないので、絵は殺人現場ではなくその中に小さく書かれたネズミだった。
(2)最後に若者が雨の中を山道で足を滑らせ、お姉さんが発見したのに見逃して凍死させてしまふ。
(3)お姉さんが最後に言った「ごめんね」の口の形を描き、これが唯一の動物以外の絵になった。
二日前に見た「相棒18元日スペシャル テレビ朝日開局60周年記念」には、この芸術性が無かった。

一月三日(金)その二筋書きに無理があるが、最後まで観た
15時から17時半まで「新春相棒祭り 相棒12 #10スペシャル」。交番爆破現場から裸足で逃げた少年の体に爆弾が巻き付けられ、首からかかったスマホのカメラでJBと名乗る男に監視されてゐる。
話に無理が幾つもある。それらの無理とは別に、嫌味な公安部長が実は頼りになり、しかし最後にこの公安部長こそ真犯人。この無理は公安部長の頼りになると見せる演技力で、観る者を退屈させない。
同じく、JBと名乗る男は登場のときは嫌味な印象を与へるが、途中から悪人ではないのでは、と思はせる。これも演技力が見事だ。

一月四日(土)前は嫌ひだったが、最近面白くなった
14時から「新・科捜研の女4#1」。前に科捜研の女を観たときに、沢口靖子が演じる主人公だけが賢く振る舞ふのと、研究所が捜査するところが変なので、あまり見なかったが、最近は面白く感じるやうになった。
設定を見慣れたためか、或いは20年間続く番組なので制作に変化があるためか。

一月五日(日)正月の娯楽番組として
21時から、「教場」後編と、西村京太郎トラベルミステリー71(十津川警部&亀井刑事のニセモノ現る)のどちらを観るか迷ったが、トラベルミステリーを選んだ。
「教場」は前編が警察学校と云ふ珍しい場所が舞台だったので退屈しなかったが、後編では退屈するだらう。すると、つまらない筋書きと暗い話が前面に出てしまふ。
だから、明るく人間性もあるトラベルミステリーを選択した。舞台が松本なのも選択理由だ。母にも最初だけでも見たらと話した。松本城の石垣が道にある場面で松本城の裏だ。繩手通り、アルプス公園でも解説があった。母は最初のCMまで観た。
私は最後まで観た。悪人を演じたニセモノの十津川警部と亀井刑事が見せる温かい人間性、民芸館の親切な店員が途中で怪しい目つきに代はり、最後は善人の目に涙。
筋書きで矛盾する部分もあった。ニセ刑事二人は前に殺された悪仲間の奥さんから子供を誘拐されたと嘘をつかれたし、奥さんは本物の刑事に二人のことを口汚くののしる。民芸館の店員はモデル紹介会社で恋人が突然失踪したとき、社長たちに殺されたのではないかと疑はなかったのか。
これら矛盾を、松本と宮城県松島と云ふ二大観光地を舞台に、しかもニセ刑事まで登場させ、お正月の特別企画として楽しむことができた。(終)

追記一月九日(木)推理小説がテレビ時代には
かつて推理小説は人気があった。推理小説に登場するのは、探偵だったり普通の会社員だった。テレビではほとんど推理小説を取り上げない。探偵や普通の会社員だと、映りが地味なためだらう。

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