千三百七十(その二) 一旦はページ読みで済ませたが、有益な情報を紹介(なぜ中国企業は人材の流出をプラスに代えられるのか)
己亥、西暦2019、ヒジュラ歴1440/41年、紀元2679年、仏歴2562/63年
九月二十八日(土)
新宿中央図書館に始めて行った。中国建国七十周年の特別コーナーがあり、一冊借りた本が、表題のものだ。少し読んだだけで、読むのが嫌になった。それは、はしがきの
グローバル化の波にのって中国に進出した(中略)「チャイナ・リスク」の1つが(以下略)
グローバルやチャイナなんて言葉を用ゐる文章は駄目だ。
経済人類学者のポランニー(括弧内略)が唱えたように、経済活動とは自由放任で市場に任されるようにみえるものすら、実はその社会に深く埋め込まれたものである。
そんなことは引用するまでもなくあたり前だ。欧米人の名前を先頭に入れる論文にろくなものはない。
十月五日(土)
アメリカを中心としてタレント(高度人材)マネジメント研究が(3)
タレントは英語では高度人材の意味があっても、日本語では芸能人の意味が強い。高度人材と云ふ適切な言葉を使ったのだから、それをそのまま使へばいいではないか。表現は大切だ。内容が正しくても表現が悪いと反感を呼ぶ。
社会主義革命以降、中国は男女共に働くことを当然とする(11)
日本も江戸時代まではさうだったし、明治以降も農業、個人商店ではさうだった。給料をもらふことが広まったのは、昭和三十九年の東京オリンピックあたりからだ。
人材の総数は、2008年に1億1385万人(29)
これはよいことだ。アメリカは地球の癌細胞だ。そんな国が世界を引っ張ったら、地球は滅亡する。
中国ではしばしば「上有政策、下有対策(上に政策あれば下に対策あり)」(22)
日本も中国ほど多くはなくても、事情は同じだ。そして欧米も、少ないとは云へある。日本が欧米より多く、中国がそれより多いのは、欧米のやり方を、そのまま取り入れたからだ。
他の都市へ行ってしまうと待遇がよくても情報が来ない(29)
日本もかつてはさうだったし、インターネット以外は今も同じだ。
W女史(59)
この表現は、この本で唯一良い。
中国社会における転職の限界は35歳と言われており(84)
日本も少し前まで、事情は同じだった。
1つの営業課は、3人から多くても10人ほどの小さな規模のもので(以下略)。
1つの営業課内で仕事が完結するようになった結果、中会社同様の機能を持つようになった(102)
世界の工場と呼ばれた時代に合った体制で、今は事情が異なってきたと思ふ。
訴訟や裁判など、なぜ法に実効性がないと思われるのか(168)
日本や欧米も、多少の差はあっても同じなのは「上に政策あれば下に対策あり」で説明した。
「中国」社会と、後者の「中華圏」の社会とを明確に区別するために、後者については「チャイニーズ」(中略)と称する(176)
経験ではチャイナやチャイニーズと云ふ表現を用ゐる人間にろくなのがいない。
十月八日(火)
唯一興味深く読めたのは、著者がインタビューしたW女史の職歴だった。そして書籍を最後まで読み、著者が女性だと判った。
今回は、新宿中央図書館が中国建国70周年記念コーナーの棚を臨時設置したので、賛意を示して一冊借りた。それだけに留まった。
せっかく中国語を勉強し、中国に滞在し、中国を調べたのに、西洋の感覚で見たり書いたりしては駄目だ。それがはっきりする本だった。(終)
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