千二百七十七 役所と公共産業は感性が悪い(5.鶴見社会保険事務所と鶴見税務署)
平成三十一己亥年
三月五日(火)
かつて社会保険庁と云ふ役所があった。鶴見社会保険事務所は対応が悪い事務所だった。私が二十六年前に、何かを訊きに事務所を訪れた。ところが受付の中年女が列に並べと云ふ。さうではなくてどこの担当か訊くだけだと云っても並ぶやうに云ふ。並んで私の順番が来て、三秒ほど話して終了した。終了のあと、受付女に、こんなすぐ終はることに、なぜ並ばせるのかといったところバツの悪さうな顔をした。
この件はそれで終了したが、それから十年ほどして社会保険庁は不祥事が多すぎるため解体され、今は日本年金機構になった。あの中年女の対応を思ひ出し、解体は当然だと思った。

それから二十四年を経過し、一昨年に鶴見税務署に行ったときに、これと同じことをされた。用紙をもらふのはどこに行けばよいか訊くだけなのにここに並べと云ふから並んで、私の順番が来たので訊いて、別の場所だと云はれた。入口で案内をするはずの男(実態は立ってゐるだけだが)に注意すると往生際の悪い男で「私は何々だと言っただけだ」とか云ふ。社会保険事務所の件があるから、更に強い口調で注意したところ、その男も言ひ返すから、こちらは更に強い口調で言ひ、傍から見ると口論みたいになったことがある。
昨年は引っ越したので港北税務署に行った。ここは対応がよかった。二十六年前の鶴見社会保険事務所と、一昨年の鶴見税務署。鶴見の対応が悪いのは偶然だらうか。

三月六日(水)
昨年は六十二歳になったので、年金事務所に行った。かつての社会保険事務所は、社会保険庁の解体で年金事務所になった。これはここの年金事務所が悪いのではなく、全国どこでも同じたと思ふが、相談を受けるには予約が必要だ。提出なら予約は不要だ。また、提出なら何かの書類(マイナンバーだったか?)の提示でよいが、郵送なら別の書類が必要だ。
私は提出に行ったところ、郵送で来たものを受け取るのと同じ扱ひだから別の書類が必要だと云ふ。どうせもう一回来るのなら相談にしたほうがよいと、相談の予約を取ったことがある。相談では配偶者の書類が必要だったり別のことも判り、有意義だった。それならホームページもさう書くべきで、相談と提出のどちらかを選べるみたいに書くから、二重手間になった。
余談だが、年金事務所で手続きをしてゐると、一人の職員が私に挨拶をする。何年か前にその人が別の職場にゐたときに、団体交渉は私が担当した。その人は社会保険労務士の資格を持つので、年金事務所に臨時雇用されたらしい。
前の職場の団体交渉では、会社側の総務部長や弁護士を相手に、私が99%しゃべった。社会保険労務士の資格を持つのだから、もう少し話せばよいのに。まるで会津藩の藩士が千葉道場免許皆伝者と歩いてゐると、向かうから薩摩長州の多人数がやってくる。途端に免許皆伝者が「拙者は背後を固めますので」と後ろに下がるやうなものだ。

私は過去に転職をしたので、年金事務所だけではなく企業年金連合会、私学共済組合にも手続きが必要だ。企業年金連合会とは、国民年金と厚生年金に加へて、企業年金がある場合に厚生年金を企業年金が代行するものだ。まづ企業年金自体が、中小企業や個人経営者と比べて不公平なものだ。その上、厚生年金を企業年金が代行するから更に不公平になる。
企業にとり代行するほうが利益が出れば代行するし、利益が出無くなれば解散すればよい。そもそも定期昇給やベースアップなどの労働運動を無効化させるものだ。
こんな不公平な制度を存続させる議員と厚生労働省こそ、感性が最も悪いと云へる。

三月七日(木)
私が人事採用に所属してゐたときは、週に一回は職業安定所に行った。或る時、露店のおっさんぽい人が「これは派遣の請け負ひだ」と悪びれもせず堂々と求人の書類を出した。受付の職員は事情を訊くでもなくおとなしく受理した。
二重派遣は違法だ。しかし派遣の一方を請負に偽装すれば違法ではなくなってしまふ。派遣法違反を取り締まる部門と、求人受付窓口は、職業安定所の中で組織が別だから、こんな言動がまかり通ってしまふ。
都道府県の職員も、昔は労政事務所や労働委員会に社会党員など労働者側に立ってくれる人がゐた。厚生労働省の職員は、もっと労働者保護の立場に立ってもよい。(終)

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