千二百三十五(その二) 日産の株はアメリカに売却を
千二百三十九として書き始めたが、四日後に千二百三十五(その二)に移動させた
平成三十戊戌
十二月三日(月)
日産自動車がルノーの株を25%まで買ひ足したときに、ルノーは日産自動車の株を他の自動車メーカーに売却するとよい。日産も、ルノーが売却することが判れば買ひ足したりはしないだらう。
アメリカの日本に対する貿易赤字の八割は自動車ださうだ。それならアメリカに売るのが一番良い。

十二月四日(火)
ルノーが日産と提携を始めたときの会長シュバイツァーさんは、支配ではなく提携すると主張して日産を説得した。当時の新聞はさう報道した。
しかし今回の騒動で判ったことは、協定で日産の会長はルノーが指名するなど、目立たない支配をしてきた。ルノーに対しての印象が悪くなった。
ルノーの経営ノウハウ、技術力で支配すると、日産に不満が出る。だからルノーは日産の株を売って、日産と提携した慧眼の褒賞分を十分に受け取るとともに、日産はいづれ三流メーカーに転落するから、その前にアメリカの支配下に入ったほうがよい。
日産の幹部は、フランスの子会社は嫌だが、アメリカの子会社なら喜ぶだらう。変な話だが。

十二月七日(金)
二十年前と云へば、まだ英語公用語騒動の余韻が残る時期だった。ルノーはフランスの会社だから、日産にフランス語の通訳を配置し、幹部はそれで疎通を取るとともに、幹部はフランス語の勉強も始めるのだらうと期待した。ルノーは日本語の得意な人を雇ひ入れるのだらう。これも期待した。
シャープがうまく行ったのは、鴻海から日本語の堪能な台湾人を送り込まれたからだ。ここ一か月ほど親会社の経常利益が去年より下がっただとか、シャープが安売りをしたのでブランド力が下がったと云ふニュースが流れたが、これは些細な問題だ。シャープの幹部は中国語を、鴻海のシャープ担当者は日本語を学習することにより、鴻海とシャープのシナジー効果が生まれることだらう。
それに比べてルノーと日産は、英語を疎通手段とした。これだと表面的には協業ができる。しかし日本語を頭の中で英語に訳して発言なり文書に書き、フランス人が英語をフランス語に訳すと、多くの情報が消滅する。真のシナジー効果は生まれない。
日産の度重なる検査の不正と、カルロスー・ゴーンがそれに無関係を装ってきたことは、その表れではないのか。英語を途中に挟み、数字しか残らなかった。会社の数字だけではない。ゴーンへの数字もだった。

十二月八日(土)
シャープは、日本人幹部が台湾への関心を深め、鴻海が日本への関心を深めれば、今後大成功するだらう。一方でルノーと日産は、英語を間に挟むから、相手の言語、文化を理解する機運が生まれない。
フランス語は、日本語に似て母音が優勢だ。だからフランス人は英語が苦手だし、嫌ひだ。そして日産の幹部は、ルノーの英語に劣等感を持たない。一方で、本場の英語で指示をされるのなら従順になるだらう。ルノーが株をアメリカに売却し、日産自動車が米産自動車になっても、問題は起きない。(終)

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