千二百三十五(その一) カルロス・ゴーンが日本にした最悪は、日産自動車を復活させたことだ
平成三十戊戌
十一月二十二日(木)
カルロス・ゴーンが逮捕された。五年間に収入を50億円少なく発表してきた。しかしカルロス・ゴーンが日本にした最も悪い行為は、日産自動車を復活させたことだ。世界の自動車メーカーは、1位がフォルクスワーゲン、2位がルノー日産三菱、3位がトヨタだ。
日本に二つも超大型自動車メーカーは要らない。円高の原因だし、自動車の輸出や現地生産の代償として、日本への輸入関税の削減で国内の基本産業が被害を受ける。
シャープが台湾系企業になったからと云って、誰も心配しない。同じやうに日産がフランス系企業になっても、何も心配する必要はない。オリンピックの競技ではあるまいし、日本中が日産自動車を応援してはいけない。

十一月二十三日(金)
ルノーが日産自動車を取り込まうとする最近の動きは、ルノーの元会長シュバイツァーさんの構想とは異なる。シュバイツァーさんは、ルノーが日産を取り込むのではなく、それぞれが独立を保ちながら世界で中堅クラスの連合体として事業を継続することだった。
カルロス・ゴーンさんは、その上を行ってしまった。三菱自動車まで取り込み、ルノー日産三菱を世界二位の連合体にしてしまった。フランス政府もあわてた。日本の比重が異常に高くなったから、このままではルノーが取り込まれる。或いはルノーが切り捨てられる。だから不可逆の関係なんて言ひ出した。
ルノーと日産は、緩やかな連合体を構成しながら、それぞれが国内の二流メーカーとして生き延びるのがよい。三菱自動車も三流メーカーとして生き延びるのが良い。三菱自動車を三流自動車と改名してもよいくらいだ、と云ふのはもちろん冗談だ。

十一月二十四日(土)
ルノーが日産の株式を持つことにより配当で得た金額を以って、日産はルノーに十分恩返しをしたと云ふ議論が日本側にある。しかしこれは金利を考慮してゐない。例へば8%の複利だと、元金は9年後には2倍になる。ルノーが配当を受け取ったのは、当然のことだ。
とは云へ、ここまで来た以上、日産はルノーの株式を25%まで買ひ足す。一番よいのはルノーが増資をして日産が購入すれば、ルノーへの貢献となる。市場に出回る株を購入しても、株価が上がるからルノーへの貢献となる。日産は敵対的ではなく、双方の友好のために投資すると、双方が納得することだ。
フランス国民と日本国民は、ルノーと日産が世界の二流自動車メーカーとして末永く協力することを望んでゐる。一流企業になっても、トップが贅沢と傲慢になるだけだ。(終)

(追記)十一月二十五日(日)
ルノーが日産に出資した翌年に、水面下でルノーと日産の統合の話があり、ゴーンさんが統合すると余計に経費が掛かるとする報告書をルノーに送ったと云ふ記事を、本日読んだ。このときにルノーと日産が統合したのなら、反対は起きなかった。
判り易く云へば、翌年以降に成功するかどうか判らない会社を合併しますと言はれれば、皆が喜ぶ。しかし成功して十八年を経過してから十八年前の申し出どほり合併しますと云はれたら、皆が怒る。ルノーと日産は互ひに出資して利益共同体となった上で、互いに独立を保つのがよい。

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