千二百三十三 為になった記事(1.都道府県ランキング、2.若年人口比、3.中途採用してはいけない人、4.星野リゾート)
平成三十戊戌
十一月十八日(日)都道府県ランキング
ダイヤモンドオンラインと、東洋経済オンラインに、それぞれ都道府県ランキングが載った。
ダイヤモンドオンラインによると、上位は北海道、京都府、東京都、沖縄県、神奈川県と続く。最下位は茨城県で、徳島県、佐賀県、栃木県、埼玉県、群馬県と続く。私は神奈川県に25年間住み、最近埼玉県に戻った。その経験から云ふと、埼玉県のほうが神奈川県より少し住みやすい。だからこの順番は変だと思った。
そこで東洋経済オンラインの順位を見ると、上位は福井県、東京都、長野県、石川県、富山県と続く。埼玉県は15位、神奈川県が16位で、こちらのほうが私の実感に会ふ。その理由は、東洋経済オンラインは幸福度ランキングだ。
それに比べてダイヤモンドオンラインは民間会社の行った地域ブランド調査だ。都道府県名を聞いての直感で点数を付けたものだから気にする必要はない。それなのに知事や都道府県庁の担当者が「残念な結果でした」などどコメントするのは変だ。
埼玉県が順位を上げようと思ったら、武蔵県或いは北武蔵県と改称すればよい。武蔵国の多くは埼玉県で、そのうちの中心部が東京だから、武蔵県で問題はないが一応、北武蔵県でも順位は上がるだらう。
茨城県だって、水戸県と改称すれば順位は上がる。群馬県、栃木県は上野県、下野県がよい。

十一月十八日(日)その二人口と経済の危うい関係
次は日経ビジネスオンラインに載った
人口と経済の危うい関係、中国はどうなる

と云ふ市岡繁男さんの記事だ。
若者人口比率が高まると動乱が起きる傾向に
戦前の日本も30歳未満が総人口の6割強を占めるなど、似たような状況にありました。これは子供の数が多かったからですが、(中略)戦前の日本は10年に一度の割合で戦争や海外派兵を行っていましたが、若者主体の国なので良くも悪くもエネルギーが過剰だったためなのかもしれません。
これは日本だけの現象ではありません。戦後の各国統計をみても、若者人口比率がピークを迎える前後に戦争や動乱が起きている傾向があるのです。

次に
では若者が少なければ事件が起きないかというと(中略)ソ連の崩壊(1991年)は若者人口比率がボトムの時に起きていますし、1997年の日本や2011年の欧州での金融危機も、若者人口比率の低下が加速する局面で起きているのです。

次に
国家の若さを計るうえで、逆依存人口比率([15~64歳人口]÷[15歳未満人口+65歳以上人口])という尺度があります。これは1人の被扶養者が何人の働き手に支えられているかという指標です。(中略)日本では1968年と1992年の2回、逆依存人口比率がピークを迎えています。(中略)日本の逆依存人口比率は1992年以降、低下する一方なのですが、それでもまだ戦前より上の水準にあることに注目してください。戦前は軍事費負担が重かったせいもあるのですが、それ以前に被扶養者である子供の数が多すぎたので、国民は経済的な豊かを感じにくかったわけです。戦後の高度成長は人口動態の好転でもたらされた側面があるのです。それが今度は老人の数が多すぎることが原因で、1~2年後には逆依存人口比率が戦前と同じ水準まで低下し、人口動態上の隘路にはまってしまう。一体なんという巡りあわせなのでしょうか。

これは貴重な情報だ。

十一月二十日(火)中途採用してはいけない人
Diamond onlineに載った小宮一慶さんの中途採用面接で採ってはいけない人を見極める「3つの質問」を読んだとき、一回目は不思議に思った。私はこれまで小宮一慶さんの主張はほとんどすべて賛成だ。今回は読み終はって一つ疑問が残った。会社の履歴には、何人を嫌がらせ退職させたか、何人が会社の人事政策の不手際で退職したかが残らない。その一方で、従業員は一回転職するごとに履歴書に残る。だから小宮一慶さんの主張は労使のうちの使用者側に偏ってはゐないかと云ふことだった。
二回目に読んで、小宮さんは「採ってはいけない」と書いたのであって、嫌がらせ退職させなければいけないとは書いてない。従業員の転職階数を減らすためにも、執ってはいけない人を執らないことが重要だ。
小宮さんは、採用基準としてまづ「素直」を挙げる。これはよいことだ。小宮さんは経営コンサルタントだから、多くの経営者が相談に来る。素直ではない経営者が来た場合は、小宮さんと話すうちに素直になると信じてゐる。
私は労働組合の役員をしたことがあるから、素直ではない経営者とも何回も対峙した。その場合に労働者側も素直さに欠けることがある。しかし話をするうちに、経営側と労働者と双方が素直に近付いたと信じてゐる。

十一月二十二日(木)星野リゾート
数年前までならば既存施設の運営に着手する場合、星野リゾートの代表を務める星野佳路は自ら先頭に立って現地入りしていた。しかし社員の成長に伴いこうした業務をどんどん任せるようになり、最近では運営着手にあたって星野が施設を訪れるケースはほとんどなくなっている。
その理由は
星野リゾートでは以前、新たな施設の運営を始めるとき、「コンセプト委員会」をつくり、半年ほどかけて目指す方向を決めていた。しかし2010年ごろからブランドづくりに着手し、(中略)ブランドごとにコンセプトを明確に定めているため、新たに運営を手がける場合も所属するブランドが決まれば、施設ごとにコンセプト委員会を開く必要がなくなった。

その一方で
それでも旭川の場合、運営が始まる約4カ月前の16年12月にはコンセプト委員会がスタート。星野も定期的に旭川に通うようになった。  以前のやり方を採用したのは、星野リゾートにとって都市観光ホテル向けブランドの最初の案件になるためだ。

そして
星野はこの日、「フラットな組織」の導入を宣言することから始めた。
星野リゾートではさまざまな経営情報を公開。社員はお互いに言いたいことを言いたいときに言いたい人に言いながら業務の改善を進める。そのためのツールとして一人ひとりがメールアドレスを与えられ、社員は突然、星野流で自由に議論するフラットな組織に置かれた。

そして出来上がったものは
次のコンセプト委員会の当日。メンバーの1人が(中略)「せっかくユニークな店がたくさん近くにあるのだから、宿泊のお客様はホテルで食事するのでなく街に出て食事をして滞在を楽しんでもらったらどうか」と提案した。ユニークな戦略を次々に打ち出してきた星野にとっても予想外のアイデアだったのだろう。第一声は「それで大丈夫?」。しかし、メンバーの説明を聞くうちに、やがて「それは面白い考え方だ」と理解を示した。(中略)やがて、都市での観光を楽しんでもらうOMOのコンセプトに合わせ、街の案内役として5色のユニフォームを着た「OMOレンジャー」を置くことが決定。

これらを実行できる前提として
フラットな組織は徹底していて、星野リゾートでは星野はいつも社員と本気で議論する。「『社員に意見を出していただき、私は思っていることを言わない』などというのではない。フラットな組織というのは、お互いに言いたいことを言える組織文化があるということ。だから私もどんどん言っているし、そう簡単に議論で負けると思っていない」と笑う。会議の場で社員が星野の意見に反論するのは日常的だ。

経営には、(1)カルロス・ゴーン型、(2)京セラ型、(3)星野リゾート型がある。それぞれ、数値丸投げ型、社長率先型、フラット議論コンセプト型と言ひ換へることができる。カルロス・ゴーン型は倒産寸前のときには役立つ。しかしそれ以降で駄目なことは、今回の逮捕騒ぎで明らかになった。私は、星野リゾート型が一番良いやうに思ふ。(終)

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