千二百十三 経済界の話題(1.エム・テックの倒産、2.ドン・キホーテ、3.ユニクロ、4.浄土真宗の電力進出)
平成三十戊戌
十月十六日(火)
経済界で、気になるニュースが四つあった。まづはエム・テックの倒産だ。エム・テックは初めて聞く会社名だが、登記上の本店は浦和の駅前通りだ。九年前に一部上場の勝村建設を吸収した。この二つが目に留まった。浦和の本店は小さなビルだ。社長は少し前にエム・テックの創業社長から旧勝村建設の社長に替はった。そして倒産した。
倒産の直接の理由は、港湾工事で許可が出る前に開始し、これは違法なので入札停止になったさうだ。

十月十八日(木)
ユニーは、ユニーファミリーマートホールディングが6割、ドン・キホーテが4割の株を持つ。これをドン・キホーテがすべて引き取ることになった。ここまでなら普通のニュースだ。20年前に伊藤忠がファミリーマートほしさに、ユニーまで買収してゐたのは多少気になるが。
今回注目すべきは、ファミリーマートがドン・キホーテに2割出資するさうだ。つまりドン・キホーテは創業者に頼った経営から2割脱皮するとともに、ドン・キホーテ自身が海外に進出する。これは悪い話ではない。

十月二十日(土)
ドン・キホーテの逆を行くのがユニクロだ。二人の息子を取締役にした。ホンダ技研みたいに息子に跡を継がせないのは一番よい方法ではあるが、日本の場合、部長職(昭和六十年辺りまでの感覚で、部長を最高位とした。事業部長も部長を名乗った)と、社長(及び本来の取締役)が分化してゐない。だから息子が後を継ぐのは必ずしも悪いとは限らない。
ところがユニクロは、息子を社長にするでも、ホンダ技研みたいにするでもない。中途半端な取締役にした。本来の取締役は、社長が駄目な場合に自分が代はりに社長を継げる人のことだ。中途半端なやり方は、長期ではうまく行かないと思ふ。

十月二十一日(日)
浄土真宗本願寺派が、電力事業に参入するさうだ。檀家減少に対応し、檀家の多い中国地方で始めて、価格は2%下げる。市場調査はしただらうから、短期では成功する。長期ではうまく行かないと思ふ。その理由は、お金が入ると長期ではお寺の固定費がその分、増加する。あと、将来は競合会社が値段を下げてくるだらう。
私は、お寺がやるなら「何でも屋」がよいと思ふ。檀家だと顔見知りだ。お寺だから良心的に働くに違ひない。大掃除や荷物運搬、犬の散歩などを頼む。
それならすべてのお寺の墓地は、農地改革みたいに共有地にしたほうがよい。農地改革は小作農に分けたが、墓地改革は共有地にする。土地売却代金はの一部または全部をお寺に入れ、これは基金として積み立てさせる。土地は住職のものではなく檀家全体のものだから全部である必要はないが、寺の経営は成り立つやうにすべきだ。
あとは何でも屋の働き方次第で、どこのお寺に葬儀を依頼するか、どこのお寺の行事に参加するかが決まる。まじめな僧侶、働き者の僧侶にとっては浄土だ。(終)

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