千二百四 国民は大相撲を見捨てよう。大相撲は観るな、聴くな、読むな
平成三十戊戌
九月二十九日(土)
貴乃花が廃業することになった。貴乃花への思ひは複雑だ。まづ、先代貴ノ花(藤島親方、後に短期間二子山親方)の葬儀で、兄ではなく弟を喪主にしろと主張した。これはよくない。とはいへ若いのだから仕方がない。今ではさう思ふやうになった。
弟子への日馬富士の暴行を巡る一連の騒ぎでは、貴乃花の拙劣な言動に眉を潜めた。その後の理事選出馬にも眉を潜めたが、得票数が二票だったことから、それ以降は貴乃花同情に宗旨替へをした。親方たちの特権意識、理事長など上層部への忖度意識が不愉快だった。
以上のやうに貴乃花へは善悪感情が複雑に絡むが、今回の貴乃花廃業ではっきりしたことは、日本相撲協会が悪い。大相撲みたいな利権と権力と既得権の固まりに対し、国民は大相撲を見捨てるべきだ。今後、大相撲は観ないほうがよい。時間の無駄だ。
九月三十日(日)
七月に伊那、豊橋で一泊づつしたときに、豊橋のホテルで「あと一勝ですね」とフロントに云はれて、何のことか最初は判らなかった。翌日になって、御嶽海があと一勝で優勝だと知った。御嶽海は信州の出身だから、伊那で云はれるならともかくなぜ豊橋で、とあとで思った。
フロントに云はれてすぐに判らなかったのは、貴乃花の理事選騒ぎで、もはや大相撲を見なくなった。大相撲が開催中であることすら、知らなかった。日本相撲協会の醜い体質に、相撲を見る気がしなくなった。
九月三十日(日)その二
相撲協会が醜くなったのは、一つの団体しかないからだ。Jリーグのサッカーみたいに、各チームが完全に独立してゐれば腐敗は防げる。プロ野球みたいに各チームが独立してゐる上に2リーグ制なら、更に腐敗は防げる。Jリーグの場合は入れ替へがあるからプロ野球の2リーグと同じ効果がある。
それに比べて大相撲は一体なんだ。一門や部屋があっても、すべての権限は協会に集約される。それでゐて部屋の管理が十分できてゐない。
親方制度も暗黒そのものだ。親方株を所持すれば、定年まで高給が約束される。親方株がないと現役時代は上位でも部屋を追はれる。さすがに株では聞こへが悪いから、名跡と変へた。しかし二所ノ関や芝田山など情緒ある名称に騙されてはいけない。あんなものは親方株以外の何物でもない。
九月三十日(日)その三
この際、相撲協会は東西に分離したらどうか。かつてはさうだった。東日本相撲協会と西日本相撲協会。或いは巡業のみにして一門どほし二つがあちこちで対戦する。一門の勝率で優勝一門を決めるとともに、各一門の勝率一位力士が優勝戦を行ふ。
親方制度は廃止する。貴乃花は今回の騒ぎを作った功績で、再び一門結成を認める。行事の衣装は江戸時代に戻す。このくらいやらないと駄目だ。それまで国民は大相撲にそっぽを向かう。相撲から美学を取ったら、肥満児の醜い争ひだ。(終)
(追記)今回の記事を終へるにあたり、七月場所の日程を調べたところ、会場は愛知県体育館だった。豊橋は愛知県だから、なるほど豊橋のホテルで大相撲が話題になったのはそれが理由だったのかと、七十日ぶりに判った。
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