千百八十四 役立つ記事二題(1.「のれん」など無形固定資産、2.農村の問題点)
平成三十戊戌
八月十八日(土)
役立つ記事を二つ見つけた。一つ目は日経ビジネスオンラインに載った財部誠一さんの
スシローGHDの増益見通し、もう一つの理由
だ。記事を見ると
欧米の投資ファンドが日本企業を買収する時は抜け目がない。(中略)なかでも彼らの利益を極大化させる手法がLBO(レバレッジド・バイアウト)だ。買収する相手企業の現金や不動産などの資産を担保に、買収資金を金融機関から借り入れ、買収完了後に、その借金を相手先企業に付け替えてしまうのだ。
その典型例が
スシローグローバルホールディングス(GHD)だ。2017年9月期の売上高は1564億円。2018年8月8日には連結売上高が前期比12%増の1750億円、連結純利益(国際会計基準)も12%増の78億円との見通しを発表、報道によれば、スイーツなどが好調で順調に売り上げも拡大しているとのこと。
ここまでだけならよい話だ。だが
それはあくまでもPL(損益計算書)上のお話。ひとたびBS(貸借対照表・バランスシート)に目を転じるとまったく違う顔が見えてくる。BS上では、「のれん」や「ブランド」など無形固定資産が膨張し、「借金漬け」の会社になっている。
総資産に占める資無形固定資産の割合は67.6%になってしまった。その理由は
ユニゾン・キャピタルが『あきんどスシロー』株購入時に借りた巨額の借金がそっくりそのまま『スシローGHD』に付け替えられているということです
その結果
国際会計基準では(のれんの)均等償却はしませんが、無形固定資産に対して毎期減損テストを義務付けています。のれんの価値が認められなくなった途端、一気に損失計上されます。万が一そうなれば巨額の損失を計上することになります
日本国内の会計基準のつもりで国際基準を見るから、かういふからくりを仕組まれてしまふ。国際基準で見るときは無形固定資産の比率を考慮しないと駄目だ。
八月十八日(土)その二
東洋経済オンラインに清泉亮さんが執筆した
恐怖!田舎暮らしは「地獄の沙汰もカネ次第」 場所によってはこんなにヤバい「お金の話」
と云ふ記事が載った。それによると
現在、40歳を越えた高藤泰之(仮名)さん夫婦は、高校生になった長女とともに、長野県佐久市内で暮す。佐久は長野新幹線で東京に出るにも便利で、地元電気会社の営業マンとして働く高藤さんにとっては首都圏へのアクセスも悪くなかった。
就農を目指し、32歳のときに関西から移住したのは、佐久からもさらに車で小一時間ほど走る山間部の集落だった。
ところがこの集落は
土地柄もあっただろうが、とにかく金絡みの損得勘定の始末にはうるさかった。仕事から帰ってくれば、玄関前には収穫物のおすそ分けが置かれていたりする。
田舎の返礼はもらったものの「倍返し」が基本になる。(中略)時期によっては、毎月の収入の3分の2が、こうした“交際費”で霧消したという。
倍返しの地区で物を置くのは、嫌がらせだ。その証拠に
さすがに思い余った高藤さんは、周辺に1つだけの県警の「駐在所」に駆け込んだ。長野県内の駐在所を転々としてきてまもなく定年を迎えようかというベテランの駐在はこう教えるのだった。
「あんたも出て行くか。あんたなんかは長いほうだったよ。もうね、入れ替わり立ち替わり、だからね。定住なんかとはほど遠いよ」
住民どもも、嫌がらせをすれば出て行くと思ふから、嫌がらせを繰り返す。しかし悪いのは県庁、市町村役場だ。きちんと行政で解決すべきだ。
別の記事で、確か山梨県だったが、市役所のゴミ収集場所は地元組織に入らないと使はせて貰へない。地元組織は一人意地悪な人がゐて、入れてくれない。市役所に相談したところ、何人かで組を造らないと市役所は収集できない、と云はれたさうだ。これは市役所が100%悪い。
農村が疲弊するのは、農村の住民も悪い。農業は株式会社が経営したほうがよい。
今回、無形固定資産と農村の記事を紹介したのは、どちらも行政の怠慢が原因だ。国際会計基準を導入するときは問題点を予め説明すべきだし、問題があるときはきちんと公表すべきだ。さもないと投資家が損をする。農村を活性化するには、農林水産省、県庁、市町村役場の努力が必要だ。
民間企業は常に努力をする。役所は黙ってゐても税収があるから、怠慢になる。(終)
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