千百十四(その百六) <加計問題>「消せない傷を負った」文科省職員
平成三十戊戌
三月三十一日(土)
昨年十一月十一日毎日新聞のホームページに<加計問題>「消せない傷を負った」文科省職員と題する良質な記事を見たので紹介したい。今頃になって紹介する理由は、安倍が次々とやらかすので紹介を忘れてしまった。パソコンのデスクトップを整理してゐて見つけた。記事は
加計学園の獣医学部新設計画を巡り、内閣府から「総理のご意向」と早期開学を迫られたとされる文書が見つかった文部科学省。幹部の一人は、当初10月末の予定だった設置審の答申が延期された理由について「衆院選直後に認可の答申をして『首相から選挙後にしろと指示された』と思われたらまずいからだ」と明かす。

で始まる。

四月一日(日)
記事は公判で
中堅職員は「総理のご意向」文書の発覚以降、文科省が厳しい立場に置かれたことに触れ「結局、首相官邸や内閣府が描いたシナリオ通りに進んだ。道理の通らないものを押しつけられ、文科省は消せない傷を負った」と憤る。

それなのに前川さんの授業に横やりを入れ、新たな傷を作ってしまった。
別の幹部は「不透明な部分はまだ残っているが、国会で野党が追及し切れなかったのも事実。これ以上この問題を引きずっても、誰の得にもならない。反省すべきは反省して前を向くべきだ」と総括した。

ここで「反省すべきは反省して前を向く」とは、特区が特区として機能せず普通の獣医を目指すことが明らかになったのだから、特区を廃止して原状回復することだ。口先で反省しても反省にはならない。

四月二日(月)
次のデスクトップは十月二十二日の毎日新聞ホームページだ。<衆院選>萩生田氏「有権者に一定の理解」 加計問題でと題する記事で、これによると
首相側近で自民前職の萩生田光一氏(54)が5回目の当選を確実にした。(中略、ここには【萩生田氏と首相、加計氏との3ショット】と題する写真もある)加計学園の獣医学部新設計画を巡っては6月に、萩生田氏が文部科学省幹部に早期開学を迫ったと記された同省の内部文書が明らかになった。選挙期間中の街頭演説では、加計問題を自ら口にする場面はほとんどなく、「やましい仕事はしていない」と繰り返した。
万歳後の取材に「街頭演説でやじを飛ばされることもあったが、支援者には説明してきたし、有権者に一定の理解をいただいたと思う。政府としても説明を続けると思うし、私の関与についても疑念があれば説明していく」と話した。

「疑念があれば」ではなく疑念だらけだ。しかも「説明していく」と言ったが説明してきたのか。これと似た表現を用ゐたのが麻生さんだ。
「森友の方がTPPより重大だと考えているのが日本の新聞のレベル」と発言し、後になって「誤解を招くような発言があったとすれば謝罪する」と発言した。あったとすればではなく、あった。しかも誤解を招くと云ふ言ひ方には、誤解する国民が悪いみたいな云ひ方だ。しかし今は萩生田と異なり麻生さんは批判しない。
それは安倍への反乱を期待してのことだ。財務大臣がお推小臣(お友達濡れ手に粟商法推進小臣)の家来、茶坊主、ご機嫌取り、太鼓持ち、草履取り、奴隷になってはいけない。すべての大臣(小臣を含む)は同格だ。

四月三日(火)
次は十月十七日の朝日新聞Digitalだ。「発言録」と云ふ記事に、自由党参院会長の森ゆうこさんの演説が載った。
(加計学園問題について)安倍(晋三)首相は「議事録は全て公開されていて、一点の曇りもない」と説明していなかったか。それは誤りです。そもそも「議事録」はまだ公開されていない。今、公開されているのは「議事要旨」だ。2年前の6月5日、国家戦略特区の会議に加計学園幹部が出席をしていた。
でも、その該当部分が全て議事要旨に掲載されていないことが今年8月になって分かった。(中略)「一点の曇りもない」どころじゃない。真っ黒けだ。(以下略)(千葉市緑区での街頭演説で)

真っ黒な政権は早く退陣したほうがよい。

四月四日(水)
次は十一月十四日の毎日新聞だ。
学園が新たな獣医師の需要を示すために設置審に提出したアンケート結果に対し、専門家が「統計学的な信頼性が不十分」との見方を示すなど、疑問と課題が残っている。

と云ふ前書きで始まり、本文には
アンケートは今年6月、大手予備校のグループ会社が学園の委託で実施した。(中略)回収率は12.3%だ。
学園が特色に掲げる「創薬等の先端ライフサイエンス研究や地域における感染症対策」などの獣医師が必要かとの問いに対し、必要と答えた事業所は「現在」「将来的に」を合わせて38.8%。一方「どちらでもない」は57.5%だった。
学園が育成する獣医師の将来的ニーズについては「極めて高い」「ある程度高い」との回答が、ライフサイエンス分野に関連する事業所では46.4%、医獣連携獣医分野の事業所では49.9%となった。ただし、卒業生を採用するかについては「ぜひ採用したい」はライフサイエンス分野で3.7%、医獣連携獣医分野で5.3%。「検討したい」も両分野で8%超にとどまり、「採用しない」はともに36%前後だった。
企業のマーケティング調査に詳しい埼玉大経済学部の朴英元(パク・ヨンウォン)教授は統計学の観点から「系列大の求人データを使っていて対象の選定に恣意(しい)性があり、需要があるという結論ありきの調査に見える。統計学的な信頼性は十分ではない」と分析する。その上で「無回答の3632事業所は無関心か否定的な回答群と言え、実際の需要はアンケート結果より大幅に低くなる可能性がある」と指摘する。


次は十一月十五日の毎日新聞だ。
逢坂誠二氏(立憲)は2015年に安倍政権が閣議決定した「既存の獣医師養成でない構想」「ライフサイエンスなど獣医師が新たに対応すべき具体的な需要がある」など、獣医学部新設を認める4条件について「(加計学園の計画が)いつクリアしたと判断したのか」と質問した。  これに対し、長坂康正・内閣府政務官は「山本(幸三)前地方創生担当相が問題ないということを確認し、文科相、農林水産相も異論をとなえることなく(新設は広域的に獣医学部が存在しない地域に限ると決めた)昨年11月9日に4条件の充足性を確認した」と答弁した。

山本は三人組の一人だし、 文科相、農林水産相はお推男に忖度してしまった。(完)

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