千八十二(その九十) 中途半端は犬も食はない、その四(イヌ、ネコ、モリ、カケ)
平成三十戊戌
一月三十一日(水)
犬や猫の寿命が、ここ二十年で二倍になった。その理由は、かつて残飯を与へたものがドッグフードやキャットフードになったためだ。この記事を読んで、残飯を与へた時代はナカマロだったと気づいた。
つまりネコが穀物倉庫に集まるネズミを狙って住み着く。犬を番犬として放し飼ひにする。この状態だとどちらも肉食ができた。明治維新以降だらうか、犬と猫の飼ひ方が西洋の猿真似になった。この時点で犬と猫の寿命がナカマロになった。

二月一日(木)
犬と猫は、野生だと長く生活ができない。それは人類とともに歩んできたからだ。今後再び野生で生活するやうになって何千年もたてば、また野生が合ふやうになるだらう。しかしそれまでの数千年はナカマロだ。
話を政治に戻すと、日本の政党政治は西洋猿真似がまだ定常状態になってゐない。つまりナカマロだ。世襲議員もナカマロだ。特区はお友達利権で更にナカマロだ。安倍ナカマロは二重の更にナカマロだ。

二月二日(金)
朝日新聞ディジタルに、橋下徹さんのインタビューが載った。
僕の持論は、戦力の不保持と交戦権の否認を掲げ、自衛隊に必要最小限度という過度な制約を課す根拠となっている9条2項の削除だ。だが、今の国会議員には必要最小限度という制約のないフルの自衛権を任せられない。国会議員の人間性、判断力。実際に間近で見てきたが、ひどいものだった。それに、森友学園・加計学園問題における財務省・文部科学省のいい加減さ。文書は廃棄した、記憶にない、事実調査はしない、のオンパレード。さらにPKO日報問題に関する陸上自衛隊幹部の隠蔽(いんぺい)体質。こんな政府組織にフルの自衛権を委ねるのは恐ろしすぎる。

橋下さんはよいことを云ふ。それに比べて今の維新の会はよくない。一部の議員とは云へ、加計学園は規制緩和だ、と奇妙なことを云ふ。維新の会は橋下さんがゐるから魅力があった。ゐないときの運営は未定常でナカマロだ。

二月三日(土)
東洋経済オンラインに、日本歴史宗教研究所所長武田鏡村さんが安倍首相の施政方針演説に「白虎隊」の違和感と題して立派な主張を投稿されたので、これを紹介したい。鏡村さんは五十冊以上の歴史、宗教関係の著作があり、浄土真宗の僧侶でもある。安倍の施政方針演説について
明治新政府は、たいへん寛容で、すばらしい人材登用策を実行したと思われるのではないだろうか。(中略)しかし、史実はまったく逆である。

具体的には
木戸は、幕末京都での経緯からか、病的なほどに会津藩士を恐れ忌み嫌い、根絶やしさえも考えていたようである。会津藩側も皆殺しにされることを覚悟していたようで、会津人の血を絶やさぬよう、降伏後の謹慎中、最も優秀な2人の若者を逃がした。このうちの1人が山川健次郎なのである。

二人の若者以外の生活は悲惨で
薩長閥の中で会津出身者として異端視されながら陸軍大将にまで登りつめた柴五郎は、少年期に斗南藩で悲惨な生活を体験した1人である。
(中略)塩漬けにした野良犬を20日も食べ続けたこともあった。最初はのどを通らなかったが、父親から、「武士は戦場では何でも食べるものだ。会津の武士が餓死したとなれば、薩長(さっちょう:薩摩と長州)の下郎(げろう)どもに笑われるぞ」と言われて我慢して口にした。
住まいの小屋には畳はなく、板敷きに藁(わら)を積んで筵(むしろ)を敷いた。破れた障子には、米俵を縄で縛って風を防ぐ。陸奥湾から吹きつける寒風で炉辺でも食べ物は凍りつく。炉辺で藁にもぐって寝るが、少年・五郎は熱病にかかって40日も立つことができず、髪の毛が抜けて、一時はどうなるかわからない病状になった。(中略)「寛容」とは正反対の、明治政府による「会津処分」であった。

あの男は次回の施政方針演説には柴五郎を登場させて「明治新政府はたいへん寛容で柴五郎は陸軍大将になった」と云ふつもりかも知れない。(完)

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