千七十七 漢字は正字体(正字體)を正字に
平成三十戊戌
一月七日(日)
漢字は正字体を正字とすべきだ。なんて云ふとなんのことか意味が判らない。正字体とは「東京都臺東區」「神奈川縣横濱市」のやうな字体、正字とは正式の字だ。
かつて手書きの時代は正字体で書くことは時間が掛かるし覚えるのも大変なので、略字や草書体が用ゐられた。しかし今はパソコンが一般的だから、正字体を使用することに弊害はない。

このやうに主張すると、正字体は旧字体で封建主義だと思ふ人もゐよう。「封建主義とは領地を介して支配する政治体制のことで、文字は関係ない」とする正式な解説は脇に置いて、中国共産党の江沢民が上海郵政局の揮毫に「江澤民」と署名してゐる。共産党でさへ正字体を使ふのだから、封建主義とは無縁だ。

一月八日(月)
私がこのことに気付いたのは、公共の表示だ。渋谷駅は「渋谷駅」「涩谷站」、英語、韓国朝鮮語と4つある。地域、公共機関によっては正字体(台湾、香港、マカオで使用)の表記もある。
この場合、国内で使用するのは渋谷駅、世界の使用人口が一番多いのは涩谷站、国内伝統に基づくのは澁谷驛、中国伝統に基づくのは澁谷站。どれを使へばよいか。
一番使用していけないのは涩谷站だ。日本では多数決が民主主義と教へられてきたがこれは正しくない。これまでの経緯を考慮しなくてはいけない。過去の人を含めた多数決ならよいが。
過去の使用人口も考へた澀谷站が正しい。ただしこれは東アジア全体を考へた話で、国内を優先させて渋谷駅を一番大きく書くべきだ。二番目に澀谷站であとは英語。
これが正しいのだが商業戦略も考へる必要がある。中国大陸からの旅行者は多い。だから涩谷站は必要だ。韓国朝鮮語も同じだ。日本から韓国に旅行する人は激減したが、韓国から日本への旅行者は多い。商業戦略で韓国朝鮮語を入れるのはよいことだ。
将来は日本人と中国大陸に正字体が読めるやうにする。さうすれば涩谷站は省略できる。渋谷駅は澁谷驛に変更することができる。

一月十二日(金)
パソコン時代を迎へて、尚のこと日本と中国は正字体を読めるやうにすべきだ。書くのはそれぞれの略字で良い。これによって正字体が共通字体となる。
逆の流れもある。スマホなどの普及で字は簡単なほうがよいのかも知れない。だったら日本や中国の字体は有利だ。公共の場所は正字体、パソコンやスマホは使用者が選択できるのがよいのかも知れない。(完)

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